SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2020年11月 6日

#720 齋藤 直人 『経験したことのない世界に行ってみたい』

新人インタビュー2人目。キャプテンとして大学をチャンピオンチームに導き、直後にスーパーラグビーにも参加した齋藤直人選手。ラグビーに関していろいろな視点から聞いてみました。(取材日:2020年9月下旬)

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◆レベルの高い選手と競争して成長したい

――日本代表の9番である流大選手がいても、サンゴリアスに入ると決めた理由は?

サンゴリアス以外のチームでトップリーグに出てアピールするということも考えなかった訳ではありませんが、当時監督だった敬介さん(沢木/現キヤノン監督)に「お前の目標は何なんだ?」と言われて、「日本代表に選ばれスタメンで試合に出続け、ワールドカップに出ること」と答えました。ユタカさん(流大)と同じチーム内での勝負を避けるという考え方もあるかと思いますが、敬介さんからは「他のチームに行って日本代表に選ばれたとしても、結局は日本代表で流とのポジション争いがある。同じチームでポジション争いに勝てれば、日本代表でもスタメンで出られるようになる」というようなことを言ってもらい、その通りだと思いましたし、サンゴリアスでレベルの高い選手と競争して成長したいと思いました。

――沢木監督から問いかけられた時に、どういう気持ちになりましたか?

前向きな気持ちで、挑戦したいと思いました。

――目標に向かって逃げないというポリシーがあるんですか?

それはあります。逃げないというよりは、3歳からラグビーを始めて、いちばん自分が伸びたと実感した時って、やっぱり競争している時だったので、社会人でもそういった環境でやりたいと思いました。

――既に20年ラグビーをやっていることになりますが、どういうきっかけでラグビーを始めたんですか?

最初は父親に連れて行かれたらしいんですが、3歳なので覚えていないですね。思い返せばずっと好きという感じではなかったんですが、それでもずっと続けてきました。父親も少しラグビーをやっていて、それで僕にもラグビーをやらせたんだと思います。

――成長していると実感した時は、振り返った時にそう感じたんですか?それとも実際に競争している時から感じていましたか?

それは振り返った時ですね。実際にやっている時は緊張もしますし、不安な気持ちになったりもしますが、改めて振り返った時に「あの時にこういうことをやってすごく成長したな」って思います。

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◆競争を経て伸びるという感覚

――成長したと実感したというのは、いつ頃ですか

まずは高校の時に、一度後輩にスタメンを取られたことがあって、そこで何か変わらなければいけないと色々と考えた時が、一皮むけた瞬間だったかなと思います。

――その時は何を変えようと思ったんですか?

その時にいちばん変えたことは、準備を徹底してやりました。練習の前にノートに今日の練習で何にフォーカスするのかを書いたり、試合前も入念に準備をするようにしました。

――その後にも成長を感じた時がありますか?

僕が大学4年の時に、同じ高校で同じポジションの後輩が早稲田大学に入ってきてたんですが、とても期待されている選手でした。その時に、絶対に負けたくないと強く思いましたね。ポジションを取られたという訳ではありませんが、そこでも成長できたと思います。キャプテンもやっていたので、いくつかの要因はあるとは思いますが、大学4年の1年間は変化のあった年だったと思います。

――その経験は自信にもなっていますか?

そうですね。サンゴリアスでのポジション争いに、その経験が直接つながるというよりは、競争を経て伸びるという感覚を掴んでいるので、チャレンジし続けたいですね。

――それほど挑戦したいと思わせるラグビーの面白さって何ですか?

上手くなりたいと思い続けられるのは、まだまだ知らない世界というか、スーパーラグビーは少し経験させてもらいましたが、ワールドカップや日本代表として世界と戦ったことがないので、経験したことのない世界に行ってみたいという一心ですね。

――スーパーラグビーのサンウルブズに参加した時は、どんな気持ちで参加したんですか?

選ばれた時は嬉しかったですし、ずっとテレビで見ていた選手たちと一緒に試合が出来るのが楽しみでしたね。

――2019年ラグビーワールドカップはどういう想いで見ていましたか?

絶対に目指したいと強く思いますね。何かのためにやるのではなく、やるからには極めたい、いちばんになりたいという想いがあります。ラグビーが好きでラグビーをやっている中で、いちばんになりたいと思うことは普通のことかなと。何でもかんでも負けず嫌いのわけじゃなくて、ラグビーでいちばんになりたいですね。

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◆誤魔化しようがない

――ラグビー以外にサッカー11年、水泳8年と他の競技経験も長いのですが、最終的にサッカーや水泳ではなくラグビーを選んだ理由は?

ラグビーとサッカーと水泳で、どれか1つに絞らなければいけないという時期があって、その時にラグビーの魅力に気づいていた訳ではありませんが、いま思うラグビーの魅力としては、人がすごく出るというか、試合などに出ると逃げられないじゃないですか。逃げてしまえば信頼されませんし、周りにバレますし、誤魔化しようがないところが男らしいと思いますね。逆に身体を張ったり、チームのために動ければ周りからも信頼されて、チームにも上手くコミットできて良い方向に進むので、そういうところが良いなと思います。

――ラグビーがいちばん自分の良さを出せるというところがあったんでしょうか

自分で言うのもあれですが、正直者というか、色々なことに対して逃げずに立ち向かっていけると思っているので、ラグビーの誤魔化しがきかないところに合っているのかなと思います。自分をいちばん表現できるのがラグビーだと思うんです。喋るのがあまり上手くないんですけど、一生懸命プレーするとか、絶対に諦めないとか、身体を張るとか、そういう部分が態度で示せるのがラグビーだと思います。

――身体を張ることが好きなんですね

好きではないですけど(笑)、そういうことに対して逃げたり、言い訳をしたりはしません。

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――喋るのがあまり上手くないとのことですが、早稲田大学でキャプテンを務め大学日本一、どうやってキャプテンシップを発揮したんですか?

まずはもちろんプレーで引っ張るというところ。プレーで引っ張るといっても自分のポリシーとしてグラウンドでは絶対に手を抜かないということをやり続けたことと、グラウンド外としては、喋るのが苦手とは言いましたが、必要なこととなると自然と喋ることができています。でもこういうインタビューになると、自分の中で上手く喋ろうと思っちゃうんで難しいですね(笑)。だから、チームのメンバーなどに対しては思ったことを話すようにしていました。

自分の理想のキャプテン像みたいなものはあって、堀越さん(康介)なんです。堀越さんとは高校も同じで、大学は違いましたが、ジュニアジャパンに呼ばれた時に堀越さんがキャプテンでした。どんなに上手いことを言えても、まずはグラウンド内外での手を抜かない姿勢がなければ口だけの選手になってしまうと思います。堀越さんのことを元々尊敬していたということもありますが、ジュニアジャパン以来、そこを自分の中でいちばん大事にしてキャプテンをやっていました。

あと、大学時代にサンゴリアスの練習に参加させてもらったことがあって、その時に本当に全員が手を抜かずに全力でやり切る姿勢を感じて、そこでもサンゴリアスというチームに惚れました。

――イヤーブックのインタビューではグラウンド外でも気づいたことがあると言っていましたが、それはどういった点ですか?

上下環境が無いところと、あとはファミリー感が強くて、今はコロナの状況があり出来ませんが、チーム行事とかお酒を飲む場でも全力なところが良いなと思います(笑)。

――これまでキャプテンをやる機会は多かったんですか?

高校でもキャプテンをやらせてもらいました。キャプテンじゃないから手を抜くということはありませんが、キャプテンという役割を担わせてもらうことで、より自分の責任感が強くなるのかなと思います。

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――将来的にはサンゴリアスでもキャプテンをやりたいですか?

今はそういう立場よりも自分にフォーカスしていきたいと思います。今回リーダーグループに入れさせてもらったので、キャプテンをやるやらないではなく、リーダーシップやリーダー陣がどう準備をするか、チームのことをどう考えているのかという部分を学んでいきたいですね。

――サンゴリアスに入り約半年が過ぎましたが、実際に入ってみてサンゴリアスというチームはどうですか?

いま毎回クラブハウスに行くたびに、上手くなりたいと思えるんです。それは行った時に誰かしらトレーニングをしているので、そういう姿を見て思います。外国人選手やワールドカップに出場した有名な選手がたくさんいて、その選手たちが黙々とトレーニングしている姿を見ると、そういう選手がやっているならば、自分はその何倍も努力をしなければいけないと思いますね。

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◆開幕戦でのスタメン

――コロナ禍で難しい状況だったと思いますが、いまの状態はどうですか?

コンディションはすごく良くて、フィットネス的にも筋力的にも良い状態です。強化しているところとしてはスピードのところで、スクラムハーフは繰り返しパワーを発揮しなければいけない場面が多いので、それに特化したトレーニングを翔さん(吉浦/ヘッドS&Cコーチ)と一緒にやっています。

――その部分の必要性をどんな時に感じましたか?

フィットネスには自信があるので、伸ばすところはそこかなと思っています。

――今シーズンに目指すところは?

個人的には開幕戦でのスタメンと、それ以降も9番で試合に出続けることですね。今はまだチーム練習が始まっていないので手応えは分からないんですが、目指したいという想いだけは強く持っています。

――日本代表も目指していると思いますが、2023年のワールドカップはどうですか?

必ず出場したいですね。

――目標や日々の課題のシンプルさが良いと思うんですが、そこは意識しているんですか?

定期的に土日とかでカフェに行き、「今週は何にフォーカスする」とか「現状の自分はどうなのか」と考える時間を作っていて、そこで目標に対して深掘りしていく作業をしているので、それが繋がっているんですかね。そういった作業は高校の時からやってきました。

――深掘りしていく感覚はどんなものですか?

目標に対してどんどん枝分かれさせていっている感じですが、最近はその中に人との比較、今はある程度選手が集まってトレーニングをするようになったので、そこはより具体的になったかなと思います。自分の成長も考えつつ、試合に出ることであったり、コミュニケーションのところであったり、そういうところで先輩の姿を見て、「この人はこういう部分で気を遣っているな」とか、まあ僕はユタカさんのことをすごく見ているんですが、ラグビー以外の部分でも他の人を見られるようになった分、具体的にイメージしやすくなりました。

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――どう比較させているんですか?

難しいんですけど、「この人がやっているから自分もやらなきゃ」と考えることは、内容によって違うかなと思います。例えば、ユタカさんは周りとの信頼関係や周りとの付き合いも長いので、それと同じコミュニケーションの取り方、フレンドリーさを今の自分に求めてもダメだと思います。ただ、そういうことがすごく大切だと学んでいます。「今の自分には出来ないけれど、じゃあ今の自分には何が出来るんだろう」と考えるようにしています。

逆にプレーであれば自分の強みと比較できますが、「この部分はあの人よりも上回っているから、これでいいや」という考えはありません。「今の自分の現状がどうで、どのくらい劣っていて、ここを伸ばさなければいけない」とか、どちらかと言うと、伸ばさなければいけないところ、自分が劣っているところに対してフォーカスすることが強いですね。

――長所を伸ばすことよりも劣っているところのレベルを上げたいということですか?

そうですね。ただ長所は長所として伸ばしていきたいと思っています。

――自分を客観視することは、昔から得意だったんですか?

結構、心配性なので準備は入念にやりますね。今の自己分析が正確かは分かりませんが、そこを正確にやらないと、あとで痛い目を見るのは自分で、慢心に繋がったりすると思うので、分析のところは確実にやろうと思っています。

――いくら時間があっても足りなさそうですね

先ほども言った通り、そこは今の自分に出来ること、出来ないことを割り切っています。

――仕事をやりながらラグビーをやるということは新しい経験だと思いますが、それについてはどうですか?

仕事は大変ですけど、最近、サントリーの文化について学ぶことがあって、これまでのサントリーの歴史を築き上げてきてくれた人たちは、今は結構プロ選手が増えましたけど、社業とラグビーの両立をしっかりと行って築き上げてきたチームですし、そういう先輩たちの頑張りがあって今の会社との関係があると学んだので、社業も疎かには出来ないと思いましたね。

――ファンに向けて、今シーズン注目してもらいたいポイントはありますか?

絶対にどんな状況でも100%を出し切る姿勢を見ていただきたいです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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