3セットを取り切るまで厳しさを持ち続ける

— シーズンが開幕しましたが、年内の試合で感じたのはどんなことですか?
昨シーズンは上位と下位の勝敗の差が結構ありましたが、今シーズンは、JTが開幕3連勝したり、プレミアリーグに昇格したばかりのジェイテクトが天皇杯であれだけ力を示して準優勝したりと、今年はどこがどうなってもおかしくないなというのが僕の感想ですね。
— 今季に向けてサンバーズが強化してきた部分は?
まずはサーブをチーム全体で攻める。その一環として、僕や岡本などフローターを打っていた選手もジャンプサーブに変えて、ジャンプサーブを中心に攻めて相手を崩したいという狙いがあります。例えば開幕のメンバーは6人全員がジャンプサーブでした。
— 鈴木選手はそのサーブが好調でしたね。
とにかく白帯を越すことだけ考えて、思い切って打っただけなんですけどね。そうしてサーブで攻めることを前提に、相手のサーブレシーブが乱れた時に、ブロックとディグでこちらがチャンスを作って、切り返して点数を取るという練習をひたすらやってきました。
— 開幕2連戦ではその展開が多く見られましたね。
逆にやられる場面もありましたが、思うような試合ができたのかなとは思います。ただ、初戦のFC東京戦で2セットを取った後、3セット目を失ったり、2戦目のジェイテクト戦や天皇杯準々決勝の豊田合成戦では、セットカウント2-0からフルセットに持ち込まれた。3セット取って勝ち切るまで、同じテンションで戦いきれる厳しさを、チーム全体が持たなきゃいけないと思います。それに、相手のフェイントや、ワンタッチを取ったボールを落としてしまうことが多かったので、そこを得点につなげられれば、もう少し余裕を持った展開になるのかなと思います。

「優勝を経験したい」とサンバーズへ

— 鈴木選手がバレーを始めたきっかけは?
中学に入学した時にバレー部に勧誘されたのがきっかけです。その頃から背が高かったので。小学生の時は野球をやっていたし、当時は「スラムダンク」が流行っていたのでバスケにも興味があったんですが、バレー部はすごくアットホームな雰囲気で、北村一将監督もすごく熱のある、信念を持った方だったので、バレー部を選びました。
— 将来はバレー選手になろう、といつ頃から考えるようになったのですか?
いやー、まさかバレー選手になるとは思っていなかったですね(笑)。中学、高校、大学とただガムシャラに頑張っていたら、次への道が開けていったという感じです。それで、代表に選ばれるところまで来られたので、努力は報われるのかな、と思いますね。
— 法政大学からサンバーズへ入団したわけですが、サンバーズを選んだ理由は?
当時はサンバーズがVリーグで5連覇していた時期で、僕は優勝というものを経験したことがなかったので、それができるチームに行ってみたいという思いがありました。それに、トレーニングの器具が一番しっかりしているチームでした。皆さん、ガタイの良さが他のチームとは違っていました。こういうレベルに来たら、トレーニングをしっかりやるチームじゃないと勝っていけないと思ったので。
— サンバーズに入って、オポジットからミドルブロッカーに転向されたんですよね。
はい。ユースやジュニアの時はミドルでしたし、大学でも1、2年はミドルだったんですが、3、4年はオポジットでした。でも当時のブラジル人コーチに「お前はミドルの方がいいから、やってみろ」と言われて。オポジットだと外国人選手の控えになってしまうから、ミドルの方が試合に出られる可能性が高かったので、やってみようと思いました。 オポジットの方が楽しいと思うんですけどね。駆け引きというか、相手が「そこに打つか?」と思うようなところに打って決めるのが好きなんです。高いトスを打っていたので、打つコースの選択肢がたくさんあって、その中から自分で選べる。でもクイックは下から上がってくるボールを打つので、上から来るトスを打つよりも選択肢が限られる。でも、ミドルに転向して、スタメンで出させてもらったりして、チームに必要とされているので与えられた仕事を精一杯やるだけです。
— ミドルブロッカーはブロック面の駆け引きがあるのでは?
そうですね。相手のパイプ攻撃(真ん中からのバックアタック)との駆け引きが一番面白いです。サイドへのブロックだと、まず追いつくことで精一杯なので、駆け引きどうこう言ってられないんですが、パイプだと、正面から思ったところに跳べるので。スパイカーの目線や、ボールと踏み込みの位置関係など、その時の状況から判断して跳んで、止まった時はやっぱり気持ちいいですね。

“悔しさ半分”を糧に、信頼される選手に

— サンバーズでは1年目からレギュラーとしてリーグを戦いました。
ポジションが変わったこともあって、1年目はただもう毎試合ガムシャラにやっていたという感じです。
— 2年目だった06/07シーズンに、念願のリーグ優勝を果たしましたね。
嬉しさ半分、悔しさ半分でしたね。その年は坂本(雄一郎)さんと宏太さんがずっとメインで出ていたので。まあ、自分が出られなかった理由はわかっていましたし、次は自分がコートに立って優勝したいなという思いでした。
— 出られなかった理由というのは?
いろんな部分で、プレーが不安定でした。レギュラーラウンドもそうですが、特にセミファイナル、ファイナルでは、プレーの安定感のある、計算できる選手が求められる。どこでどうなるかわからない選手は難しい。そのあたりで信頼を得られていなかったというか、自分は計算しづらい選手だったのかなと感じました。
— その部分を克服するために、どんなことを意識してきましたか?
サーブの安定と、精神的な部分ですね。ここ一番という競った場面で、「ミスしたらどうしよう」という不安が出てきて、硬くなってしまうところがあったんです。点差が開いていると、勝っていても負けていても、開き直ってできたんですけど…。だから常に平常心でいられるように。精神的なところは練習でなんとかなるものでもないので、試合でそれを心がけながらやっていました。いろいろ経験を積ませてもらったり、代表に行って他のチームの選手と話したりする中で、精神的に余裕が出てきたり、落ち着きが得られたかなと思います。
— 例えばどんな話をされたんですか?
そうですね…山本隆弘さん(元パナソニック)と代表で相部屋になることが多かったんですが、僕が「緊張するんですよね」とポロッとこぼした時に、「そんなもん、コートに立ったらやるしかないんだよ!開き直ってやれ!」って。ちょっとした言葉なんですけど、気が楽になりました。僕からすれば、大学時代から「日本のエースだ」と思って見ていた人が、そんな感じなんだなと思って(笑)。それに、今はパオロが「どんどん攻めろ」と常に言ってくれるので、自信を持って、開き直ってできているかなと思います。
— この先、選手として、最終的にこうなりたいというビジョンはありますか?
もちろんサンバーズでは、出る大会すべてで優勝したい。代表に行くチャンスがあれば、道のりは険しいですけど、オリンピックに出るという目標もあります。年齢が年齢なので、どこまで選ばれるかわからないですけど、ベストを尽くすことだけを考えてやりたいと思っています。
— リーグ優勝からは、悔しさ半分だった06/07シーズン以来遠ざかっています。
今年こそはという気持ちはもちろんあります。でも、目の前の一戦一戦に勝てるように試合をするだけ。まずはセミファイナルに進出して、そこで、ファイナルに行くためにいかに戦うか。僕は年末の試合で左手を負傷してしまいましたが、早く復帰して、チームが勝利を重ねていけるように頑張りたいと思います。
— 今シーズン、ファンの皆さんに注目してほしいところは?
サーブとブロックですかね。ブロックが仕事なので、味方にチャンスを多く作れるように、たくさんワンタッチを取りたいと思っていますし、サーブは思い切り打っていきますので、今年も応援よろしくお願いします。

鈴木 寛史

神奈川県鎌倉市出身。ミドルブロッカー。

その日本人離れしたパワー溢れる攻撃は、次々にブロックを打ち破り続ける。ベテランの域に達したが、衰えを知らぬの高さとパワーは必見。

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