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これまでのハイライト

生物多様性に富む「天然水の森」へ

サントリーの製品づくりは、全国の水源から供給される地下水に支えられています。そこで、良質の水を次の世代へ引き渡していく「水のサステナビリティ」を事業の根幹と位置づけ、工場が立地する水源涵養(かんよう)エリアの森をサントリー「天然水の森」として、守り育てる活動を続けています。基本方針は「工場で使う水量を上回る地下水の涵養」です。

  • 涵養:森が地下水を蓄えること
  • ※1
    上記図中では、1つの展開地で複数の契約・協定期間がある場合は、そのうちの長い期間を表記
  • ※2
    5年ごとに自動更新
  • ※3
    数十年にわたり契約更新の予定
  • ※4
    西山と天王山では、協議会のメンバーとして地域の森林保全活動に協力しています。この2つの協議会活動は「天然水の森」の総面積には算入していません。

「天然水の森」を、専門家の研究フィールドに

水源涵養エリアの調査過程で見えてきたのは、日本の森の深刻な状況でした。放置された暗い人工森や、作業道がない森、竹林の侵食やシカ・イノシシによる獣害、マツやナラの大量枯死など枚挙にいとまがありません。
そこで、私たちは森ごとの問題に応じて、それぞれの分野の専門家に研究を依頼し、その知見を整備に活かす「研究と整備を一体化した活動」を行っています。水文学はもちろん、土壌・植生・鳥類・昆虫・哺乳類・微生物・材利用・砂防など、多岐にわたる研究者とともにモニタリングを進めながら、理想的な施業方法を探っています。
また、研究成果をすべての関係者が共有・活用する場を設け、研究の促進や技術向上を図っています。豊かな地下水を育む理想的な森づくりに関する総合的な研究は、日本ではまだまだ未開拓で、確かな理論・技術も確立されていません。私たちは「水のサステナビリティ」を実現するために、一層の研究を進めるとともに、得られた成果を広く公表し、志を同じくするすべての皆様のお役に立てればと願っています。

多彩な分野の専門家が研究とモニタリングを行い、理想的な施業方法を探る

最新の測定法を駆使して、研究調査・施業をより精度よく効率的に

「天然水の森」の整備は、すべて科学的な調査・分析をもとに実施しています。たとえば、2011年には、「天然水の森 東京大学 秩父演習林プロジェクト(1,918ha:埼玉県秩父市)」、「天然水の森 東京農業大学 奥多摩演習林プロジェクト(156ha:東京都西多摩郡)」を皮切りに、ヘリコプターからレーザーを照射して精密な三次元データを得る航空測量を開始しました。
この測量データと、たとえば地上での植生調査を組み合わせると、崖崩れの危険性や竹林の侵食度、大規模な病虫害の危険性などをいち早く詳細に把握でき、緊急の対策が必要な場所の特定や、植生の違いによるゾーニング、今後の施業計画の立案などを効率よく進めることができるようになります。両大学のプロジェクトチームは、今後、この三次元データのポテンシャルを生かしきるために、さまざまな活用の可能性を探る多面的な研究を進めていく予定です。

レーザー航測による三次元データと植生調査を組み合わせ、調査研究や効率的な整備計画に活用

名人たちに熟練の技を、次の世代へ継承していくために

日本の森を救うために、いま最も求められているのは、若く優秀な人材の育成です。たとえば、森林整備に不可欠な「道」1つをとっても、環境への負荷が大きかった従来方式の大がかりな林道ではなく、山にある素材を100%利用した自然にやさしく、しかも長持ちする「作業道」づくりの普及が急がれます。
そのために、私たちは、「天然水の森」で、名人たちによる講習会を開いたり、熟練者を講師として派遣するなどして、若手の育成に力を注いでいます。また、名人の技や知恵の理論化・体系化を進めるべく、大学との共同研究も進めています。
こうして設置した作業道の中には、すでに周囲の自然に溶け込み、猛禽類の狩り場になるなど、生き物の多様性を高めている場所もあります。

森づくりの名人から環境負荷の少ない道づくりや施業の技術を学ぶ講習会

「森づくり」「水づくり」のキーワードは、「生物多様性」の再生

私たちが「天然水の森」の活動を通して気づいたのは、いま日本の森で起きているさまざまな問題の根源は、人間が自然を単調化してしまい、生物多様性の劣化を招いた結果なのではないかということです。
10種類の木しかない森よりも100種類の木がある森の方が、より健康でバランスに優れ、環境の変化にも耐える力を備えています。それは森に生きる哺乳類・鳥・魚・昆虫・微生物にも当てはまり、ひいては保水力の豊かな土づくりにもつながります。こうした知見から、私たちは多様な樹種の苗木を植える場合でも、単に品種にこだわるだけでなく、DNAまで地元産にこだわり、数世代先の生態系を乱さない配慮を行っています。
豊かな地下水を育むサントリー「天然水の森」を守り育てていく取り組みは、50年先、100年先を見据えた息の長い事業です。私たちは、今ようやく、そのスタート地点に立ったところです。

苗木を植える場合には地元樹種のDNAにまでこだわる

サントリーとともに森づくりをして

秩父演習林での成果を広く社会へ

病虫獣害や気象害だけでなく、人工林の手入れが不十分なことが原因で、荒廃している森林が少なくありません。東大秩父演習林は、「天然水の森」プロジェクトにより、これらの問題に対して適応的な管理の施業実験を進めていきます。秩父演習林での成果をほかの「天然水の森」のみならず、日本・世界に発信していきたいと思います。

東京大学 教授
鎌田 直人氏

美しい水を下流へ送り届ける。それが私たちの責任

東白川村の面積の91%は山林で、この緑豊かな自然がきれいな水を育んでいます。木曽川、飛騨川の上流部に住む私たちの責務として、その美しい水をそのまま下流へ送り届ける。そして全村民がその気持ちを持ち続けるためにも「日本で最も美しい村連合」に加盟しました。この度、サントリー「天然水の森」の協定を結び、企業と自治体、そして村民が志を1つに山を守り、美しい自然を後世へ残していくことが今一番大切なことと感じています。

岐阜県東白川村長
安江 眞一氏

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