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これまでのハイライト

「水のサステナビリティ」をめざした水源涵養活動

サントリーグループの事業活動は「水」に支えられています。お客様に提供している多くの商品は、いい水がなければつくることができません。その「水」がいつまでも安全で、おいしく、十分な量で次の世代にも受け継がれるように、私たちは水源涵養エリアの森を守る活動を行っています。
それがサントリー「天然水の森」。
事業の生命線である「水のサステナビリティ」を支えるこの活動を、私たちは基幹事業のひとつに位置づけています。

サントリー「天然水の森」の活動

サントリー「天然水の森」は、全国の工場の水源涵養エリアで、地下水を育む力の大きい森を育てる活動です。
工場で使用する地下水の量以上の水を育むために、2011年末までに水源涵養面積を7,000haにまで拡大することをめざしてきましたが、2011年7月、新たに約1,918haの森林を対象にサントリー「天然水の森 東京大学 秩父演習林プロジェクト」を開始。これにより「天然水の森」の総面積は約7,141haと、中期目標に掲げた7,000haに到達しました。
豊かな地下水を育むいい森とは、十分に水を蓄え、地下深くに導く「良質な土壌」がある森のこと。しかし、その「良質な土壌」は、森が荒れると、急速に失われてしまいます。大雨のたびに、土が流されるようになると、森が本来持っている、水を蓄える力(水源涵養力)もてきめんに衰えます。大切な土壌を、守り、深く育てていくためには、生物多様性に富んだ豊かな森づくりが、不可欠なのです。

守り、育てる-計画に沿って森の自然な回復を促す

いい土をつくるためには、木や草、動物や微生物の力を借りて、土を耕す必要があります。私たちは、これらの「森がもつ自然な力」を手助けして、いい土がつくられるように導いていきます。
たとえば、針葉樹が育ちすぎて光の入らなくなった森。地面に草木が生えないと、雨は土壌に蓄えられることなく、地表を流れていってしまいます。近年では、鹿や害虫に植物が食い荒らされ、自力では元に戻ることができない森も増えています。こうした森を適切に整備し、水を蓄える力の大きい健全な森に変えていきます。
健全な森とは、多様な樹木や植物、生き物がバランスよく生息し、生物多様性に富んだ森のことです。自然に育った多様な種が関わり合うことで、いい土壌が育まれ、病害虫の被害からも自然に回復する強い森になります。

  • 間伐で光が入るようになると、
    薄暗かった森林の地面にも
    草木が生えてくる

  • 間伐した木々。
    CO2を長く固定しておくためには、
    「木を活用する」ことも、
    とても大切

  • 鹿の食害から守るため、
    必要に応じて植生保護柵を設置
    (写真提供:丹沢大山自然再生委員会)

  • 社員による森林整備体験。
    枯れ枝を払って、光環境を改善

調べる-水、土、森を十分に科学する

サントリー「天然水の森」の活動は、工場周辺のエリアを徹底的に調べることから始まります。工場で使用する量以上の地下水を育む森をつくるには、まず水源涵養エリアを特定し、その土地の水源涵養力と工場で使用する水の量を勘案して、面積を決める必要があります。
この調査の主体となるのは、サントリー水科学研究所です。水の成分、地形や地質・地層、工場とその周辺の井戸などを調査し、どこから、どのような地層を通って、どれくらいの年月をかけて、どのように流れてきた水なのかを推定します。これらの調査結果に基づいて、工場の水源涵養エリアがどこなのかを特定していきます。
涵養域がわかった後は、その周辺で、国や地方自治体、地域の皆様と相談し、実際に森に分け入って、さらに調査を進めます。そのうえで、「天然水の森」の協定を結び、整備のお手伝いを始めることになります。

  • 水科学研究所による
    水文調査。さまざまな調査
    から水源涵養エリアを特定

  • 森に入って川の水量・水質を調査

  • 水の成分分析

それぞれの森の問題解決に、最適な専門家に相談するところから、仕事が始まります。

放置人工林、ナラ枯れ、松枯れ、拡大竹林、鹿による食害…。日本の森のさまざまな問題解決に最適な先生に研究をお願いし、その成果を全国の天然水の森の整備に水平展開、あるいは森に合わせてアレンジしていくことが、私たちの最も重要な仕事です。

  • 外来種「マツノザイ
    センチュウ」による
    松枯れ

  • 「カシノナガキクイ
    ムシ」の大発生
    により、全国のナラ
    が全滅の危機に

  • 増えすぎた鹿
    により、山の
    生物多様性は、
    危機に直面

サントリーホールディングス(株)
エコ戦略部
シニアスペシャリスト
山田 健

計画する-森に合わせて整備計画を策定する

森の場所、面積が決まったところで、これからの整備計画を策定します。ここでも調査は欠かせません。各分野の専門家にご協力いただいて、森の環境を調べています。どのような土に覆われているのか、どのような植物が生えているのか、どのような生き物がいるのか、それらを総合的に判断し、10年、50年、100年先を見据えた計画を立てていきます。
森は、それぞれに異なる多様な問題を抱えています。それらの問題に応じて森をいくつかの実験区に分け、さまざまな施業方法の比較検討を行っていきます。いきなりすべてを実施するのではなく、実験の結果を見極めながら、時間をかけて理想の方法を探っていきます。健全な森を育てるためには長い歳月が必要なのです。
だからこそ、サントリー「天然水の森」は数十年という長い期間にわたる森林整備の計画を立てています。

  • 森の植生調査。樹木の種類や状態を細かく確認

  • 実験的施業を繰り返し、最善の整備
    方法を検討サントリー「天然水の森」
    計画策定時に考慮する視点

サントリー「天然水の森」計画策定時に考慮する視点

水文
森の地下での水の流動と水質を分析し、植生の変化が、地下水の水質・水量に与える影響を評価しています。
植生
まずは現状の植生を調査し、森ごとの将来像に合わせた理想的な管理方法を模索していきます。
森林生物
森にすむ鳥や動物、昆虫、土壌生物などを調査し、生物多様性が地下水に与える影響を調べています。
土壌
地下水涵養にとって最も重要なのは土壌。その土壌を採取し、物理・化学・微生物など、さまざまな側面から分析します。
砂防
大切な土壌が雨で流されないように、土壌侵食や土砂災害を防ぐための最良の手段を探っています。

涵養面積7,000haの目標は、数十年、数百年つづく活動の第一段階にすぎません。
自然との理想的な共生関係を実現するために、大地の声、動植物たちの声に耳を傾けながら、私たちの活動は続いていきます。

つなぐ 活動を広め、日本のすべての森を健全に

私たちが専門家とともに手探りで得た研究成果は、ホームページや書物を通じて、すべて公開していきます。水源涵養林や環境林をめざす、全国のボランティアや企業、行政等の皆様に、積極的にご利用いただきたいと考えています。
また、林業家の皆様には、「天然水の森」で新しい技術を身につけていただき、その技術を地域の再活性化のために活かしてもらうなど、サントリー「天然水の森」だけでなく、周辺の森すべてがよみがえることを私たちは願っています。
私たちの活動をきっかけにして、日本の森が、100年、1000年とつづく健全で豊かな森に生まれ変わっていくように。「水と生きる」企業として、これからもこの活動を一層充実させていきます。

2011年4月には、水科学フォーラム
「天然水の森を科学する」を開催

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