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社会との対話 社員一人ひとりの「やってみなはれ」を力に

活力ある企業活動は、業務の担い手であり、また生活者でもある社員によって支えられています。
このかけがえのない「人財」をどのように活かし、
組織としての力にしていくのか、その考え方や取り組みについて、
慶応大学教授 花田 光世氏に常務執行役員 人事部長 神谷 有二がご説明し、ご意見をいただきました。

サントリーホールディングス(株)常務執行役員 人事部長 神谷有二

サントリーの暗黙知を明文化してグローバルに共有

サントリーにとって最も大切な経営資源はそこで働く社員、すなわち「人財」です。「やってみなはれ」という言葉に象徴されるように、私たちサントリーには、社員が自由闊達に新たなテーマにチャレンジできる社風があります。そして、こうした風土が活力ある企業活動を生み出す原動力となっています。それは、とりもなおさず社員個々人の多様な能力を認め、引き出し、活かし続けることであり、それこそがサントリーらしさであると考えています。
こうした社風は、暗黙知として連綿と受け継がれてきましたが、純粋持株会社制に移行し、今後、グローバルに、力強く成長していくためには、国籍・言語・習慣などが異なる約2万人のグループ社員に、サントリーグループの理念やめざす方向を正しく伝えていく必要があります。まずは、「やってみなはれ」を再定義し、明確に打ち出していかねばならないと考えています。
そして、こうした組織としての共通の価値観をベースとして、社員一人ひとりの多様性を認め、それぞれがイキイキと「やってみなはれ」を実践できる風土・しくみづくりを行っていくことが、これからのグループ経営、グローバル化をめざす経営に応える「人財」を育成することにつながるのだと思います。

「手ざわり感」を重視した人事施策・制度の運用を

少子高齢化やグローバル化など、社会構造の変化にともない、人々の働くことへの意識や価値観が多様化する中で、サントリーは、ダイバーシティ(多様性の尊重)やワークライフバランス(仕事と生活の両立)の視点から、社員の仕事のあり方をとらえ直し、働きやすい環境づくりに努めてきました。たとえば、出産を契機に、年間70〜80名ほどの社員が育児休職を取得していますが、休職期間の延長や短時間・時差勤務、在宅勤務制度、ジョブリターン制度などの導入を図ったことにより、今や出産を理由として退職する社員はわずかになりました。
これは働きやすさの改善成果ではありますが、私はこのデータは一断面に過ぎないと考えています。さまざまな生活シーンの中で、社員が本当に必要とする施策・制度は何か、それを抽出、導入し、PDCAを回して継続的に改善していかねばなりません。
まず制度ありきではなく、人ありきで、その制度がどう活用されているのか、そして、それが一人ひとりの生活にどう貢献しているのか、絶えず社員の声に耳を傾けながら「手ざわり感」のある、生きた制度をつくりあげていきたいと考えています。

社員がいきいきと自らの成長を実感できる職場に

社員の多様な能力を引き出す取り組みの一環として、「キャリアサポート室」の設置やさまざまな自己啓発支援プログラム「SUNTORY Self Development Program」など、社員のキャリア自律をサポートできる体制を充実させてきています。
しかし、本当に大切なのは、そうした施策をベースに、社員自身が多様な可能性に気づき、それを発揮していく、そして自らの成長を実感できる職場になっているかどうかということだと思います。
社員一人ひとりがいきいきとクリエイティブな仕事にチャレンジすることで、仕事は会社から課せられたものではなく、楽しみや働きがいに変わっていくのではないでしょうか。そして、こうした社員一人ひとりの充実感、あるいは成長の集積がこれからのサントリーグループとしての発展を支える力になるのだと考えています。

「24時間生活の充実、生涯生活の充実」に向けて

サントリーがめざす「GOOD COMPANY」を実現するには、事業を支える社員一人ひとりが「GOOD PERSON」であることが求められます。「GOOD PERSON」とは、企業人としてお客様や社会に価値を提供するということを超えて、一人の生活者・市民として家庭や社会に価値を提供できる人材です。そのためには、仕事だけでなくプライベートな生活まで含めて24時間充実した時間を過ごしてほしい。その積み重ねが結果的にいい仕事に反映されると思うのです。
また、生涯生活の視点で見れば、入社してから定年退職、さらにリタイア後の生活まで、それぞれのステージですべての社員が、いきいきと働き、確かな生きがいを持って自らの目標や夢を実現できるそうした風土づくりや制度の運用こそが大切であり、CSR経営の実践だと考えています。
サントリーグループに集うサントリアン一人ひとりが、「水」のように自在に力強く、仕事でもプライベートでも自らの可能性を広げ、人生を謳歌できるように、それを支援するための努力は惜しみません。

GOODな「人財」を育むための豊かな土壌づくりを

金融危機に端を発した世界経済の沈滞の中で、多くの企業が多様な社員の個性や能力を重視する「個別最適」から全体の機能・利益を重視する「全体最適」にシフトし、モラルダウンを起こしているケースも見られます。これは理念を共有することなく形だけの個別最適を進めた結果であり、こうした中でサントリーが純粋持株会社制のもとで、本格的な個別最適の道を選んだことにエールを送りたいと思います。同時に、これを推進するしっかりしたしくみ・風土づくりを行って全体最適に後戻りしないことを切に望みます。それには「やってみなはれ」「利益三分主義」などサントリーならではの理念や価値観をグループ全体で共有しつつ、個々の企業が異能・多能な人材が活躍できる最適化を進めることであり、そのバランスが何より重要です。2008年〜2009年にかけて雇用が社会問題化する中で、日本では明日を託すべき30代の中堅層が将来にきわめて悲観的な見通しを持っています。一方で、少子高齢化や年金問題への対応策として70歳までの雇用延長を普及促進していくことが国の政策目標とされる中、サントリーがCSR経営の基盤として「社員一人ひとりの24時間・生涯生活の充実」を人事施策の核と位置付け、運用面で注力している点は高く評価できます。

サントリーの事業に欠かせない水は、長い時をかけて地層を通過し、清冽な一滴となります。奥大山と南アルプスでは成分も味わいも違うでしょう。その地層こそが企業の風土や個性であり、流れ出る一滴一滴こそが「人財」です。上質のワインが苗だけでなく良質の土壌があって初めて出来上がるように、サントリーという土壌をいかに耕し、豊穣な地層を形成していくかで、「人財」の実り方も違ってきます。その風土づくりこそ人事施策の根幹であり、今後に期待するところでもあります。

慶應義塾大学 総合政策学部 教授 花田 光世氏

慶應義塾大学
総合政策学部 教授
花田 光世氏

ご意見をいただいて(神谷有二)

企業は、そこに集う社員一人ひとりにとっての土壌であり、その土壌の中で社員がいきいきと働きがいをもって仕事をすることで、はじめてお客様や社会に潤いをもたらすような商品・サービスがかたちとして生まれてくる。そう考えると、あらためて人事という仕事の責任の重さと喜びを感じました。
新たな経営体制に移行した今、私たちは、110年という長い時間をかけて幾層にも積み重なった土壌に共通する地質、すなわちサントリーグループの価値の源泉とは何かをしっかり見極めて、その土壌を守り、さらに豊かにしていかねばなりません。サントリーグループのこれからの土壌を形成していくのは、まさしくグループに集うサントリアン一人ひとりの力です。社員一人ひとりが個性豊かに、力強く成長できるように、サントリーならではの土壌の耕し方というものを追求してまいります。

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