閉じる

水のサステナビリティ

「天然水の森」(水源涵養/生物多様性の保全)

サントリーグループは、「天然水の森」活動を通じて、水資源や生物多様性の保全に取り組んでいます。

「天然水の森」活動

サントリーグループは、商品の製造段階で多くの地下水を使用します。良質な地下水の持続可能性を保全するため、2003年から各地の行政や森林所有者と数十年にわたる中長期の契約を結び、サントリー「天然水の森」として水を育む森づくり活動を行っています。
サントリーでは「水と生命(いのち)の未来を守る森」を目指し、飲料・酒類などのグループの中核事業に貢献する活動として「天然水の森」の活動に取り組んでいます。その活動にあたっては、科学的根拠に基づいた綿密な調査・研究を行い、その場所に合わせたさまざまな計画や目標を定めています。また、この活動をより持続可能なものとするために、水源涵養(かんよう)機能の向上と生物多様性の保全を大きな目標として、技術やリテラシーを継承するための人材育成支援や次世代環境教育にも力を注いでいます。

「サントリーが必要とする水」から「より広く社会に貢献する水」へ

「天然水の森」は、まず弊社水科学研究所が水の成分分析をはじめ、地形や地下の地質、工場とその周辺の井戸などを調査し、工場で使用する地下水の水源涵養(かんよう)エリアを設定しています。それぞれの土地の条件を勘案して森の設定面積を算出した後、森林所有者と森林整備を協力して行う契約を結びます。締結にあたっては、30年以上の契約を原則とし、中長期を見据えた活動を行っています。
また、国内自社工場で汲み上げる地下水量を育むために、2009年に必要な森林面積の中期目標を設定し、2013年には目標以上の約7,600haまで拡大しました。さらに2014年には、サントリーが必要としている水だけでなく、より広く社会に貢献していくために、2020年までに全ての国内自社工場でくみ上げている水量の2倍以上の水を育む、という新たな目標を掲げました。2018年3月時点でサントリー「天然水の森」は全国14都府県20カ所で約9,000haとなり、それぞれの森の特性にあわせた水を育む森づくりを進めています。

  • ※1
    上記図中では、1つの展開地で複数の契約・協定期間がある場合は、そのうちの長い期間を表記しています
  • ※2
    5年ごとに自動更新
  • ※3
    京都府長岡京市では、「西山森林整備推進協議会」のメンバーとして、地域の方々と協働して森林保全活動にあたっています。この活動の面積は「天然水の森」の総面積に算入していません

「天然水の森」についてはこちら

数十年あるいは数百年先を見つめた森づくり〜「天然水の森」のめざす姿

日本の国土の約7割は森林に覆われていますが、日本の森は必ずしも健全な状態とはいえず、深刻な状況の森もあります。サントリーが設定している「天然水の森」においては、事業活動による影響の低減に留まらず、荒廃した森林をより健全な状態にする取り組みを進めることで、生物多様性の保全に貢献しています。サントリーは「天然水の森」において以下の森林整備目標を設定し、地域の方々とともにさまざまな活動を続けています。

<「天然水の森」整備目標>

  1. 水源涵養林としての高い機能をもった森林
    健全な森林土壌は、降った雨をやさしく受け止めながら、ゆっくりと地面にしみこませ、同時にフィルターのように物理的・化学的・微生物的な浄化を行っています。さまざまな木や草が茂る森林は、さまざまなフィルターがあることと同じであり、健全な土壌を守り育みます。
  2. 生物多様性に富んだ森林
    多様な植物が存在する森林は、多様な動物が住みやすい環境を生み出します。森に棲む動植物や微生物などのさまざまな生命は森林の多様性・健全性を示すバロメーターです。
  3. 洪水・土砂災害などに強い森林
    森林の木の根には、まっすぐに伸びて「杭」の役割を果たすものや、細かい根をびっしり張って土をつかむ「ネット」の役割を果たすものなどがあります。多様な木々が混在することで、土壌が流出しにくい災害に強い森林になります。
  4. CO2吸収力の高い森林
    植物はCO2を吸収して酸素を生み出しますが、成長の遅い森林はCO2をあまり吸収しないと言われています。CO2を吸収しやすい成長力の高い森林を目指し、適切に管理しています。
  5. 豊かな自然と触れ合える美しい森林
    人が集い、野鳥などの動植物と触れ合える空間をつくります。子どもたちの環境教育のフィールドとしても活用しています。

動画:活動の理念 水と生命(いのち)の未来を守る森づくりーShort Version

次世代にむけた持続可能な森林保全活動

「天然水の森」の健全性を保つためには、持続的な保全活動が必要です。全国に広がる「天然水の森」は、それぞれ異なる特徴と課題があるため、科学的根拠に基づいた調査・研究(Research)をベースに、それぞれに適切なビジョン(=活動整備計画)の作成(Plan)、整備活動(Do)、効果検証(Check)、改善検討(Action)のRPDCAサイクルを回し、50年先、100年先を見据えた活動を行っています。

【RPDCAのR】科学的根拠に基づいた調査・研究

「天然水の森」を理想の森にするには、その地域の特性を理解することが大切です。そのためには、地質・土壌・砂防・水文・植生・鳥類・昆虫・微生物など、多彩な分野の専門家による調査・助言が欠かせません。そこで、エリアごとに大学などの研究機関と最先端の技術を活用した共同研究や森林整備を行っているほか、行政・森林所有者・地域住民・企業・ボランティアなどの皆様の協力を得て、各種活動を続けています。

【RPDCAのR】レーザー航測の活用

「天然水の森」の調査・整備では、精度や効率を高めるために最新の地形解析技術であるレーザー航測を活用しています。
セスナ機以外にもヘリコプターやUAV(通称ドローン)を活用し、複雑な地形に沿って飛行できることで緻密な3次元地形データを計測できます。従来の地形図や航空写真からは読み取れなかった地形情報や、現場に行くことが困難な急峻なエリアについても地形状況を知ることができます。
こうしたデータを活用することによって各種調査・分析の精度が上がり、ほかの調査研究や整備活動をより効率的に進めることが可能になりました。

動画:レーザー航測

地下水流動の見える化

「天然水の森」の活動は、森の水源涵養(かんよう)機能の向上が大きな目的の1つです。
その成果を評価するため、サントリーでは地下水流動シミュレーションモデルを用いた地下水涵養量の定量評価を、2006年から試みています。
地質や植生、詳細な地形データ、雨量、河川流量、地下水位などのさまざまな現地データをもとにモデルを構築し、地下水がどこを通って、どれくらいの歳月をかけて工場に届くのかなどの地下水流動シミュレーションを試行し、さらに現地調査の情報との整合性を何度も確認しながら、目に見えない地下への理解を深めています。
これらの結果を整備計画に反映し、より効果的な水源涵養活動につなげていきたいと考えています。

  • 水文調査などの現地情報を併せて効果検証する

  • 地下水流動シミュレーション

地下水を見る試み ーゲットフローズー

【RPDCAのP】中長期的な活動整備計画(ビジョン)の立案

さまざまな視点で調査した結果をもとに、それぞれの森の特徴や課題に応じた中長期の目指す姿や整備計画の立案・策定をしています。

  • 地形図(左)では分からない起伏が、
    レーザー航測(右)では解析可能に

  • ゾーニング

動画:ゾーニング

【RPDCAのD】プロによる整備活動

整備計画に基づき、それぞれの森に必要となる整備活動(=施業)を実施しています。施業内容は、間伐や搬出、植樹や下草刈り、作業道づくりなど多岐にわたります。また、高度な技術の必要性や適切な施業時期への配慮があるため、活動方針をしっかりと共有した上で地元森林組合や林業事業体に委託しています。

・間伐・枝打ち

スギやヒノキの人工林では、適切な間伐・枝打ちを行い、林内に光が届くようにします。これによりさまざまな草や広葉樹が生えて、豊かな植生の回復を促していきます。間伐作業で出た材は林内で土留め工などへの利用や、「育林材」として搬出し、副産物として大切に使っています。

  • サントリーグループでは、持続可能な水と森を育むための活動から生まれた木材を「育林材」と呼んでいます

動画:健全な森林へ誘導

・道づくり

森の調査や整備には作業道や歩道が不可欠です。道ができることによって、木材の搬出だけでなく、調査や施業で使える機器や実際に踏査できる頻度が変わり、より精度の高い活動が可能になります。「天然水の森」では、自然にやさしく、丈夫で長持ちする道づくりを推奨しており、その作業道はおどろくほど周囲の自然に溶け込んでいます。こういった自然と調和した道は、単に人間が使うだけでなく、さまざまな動物の通り道になり、ワシやタカなどの猛禽類(もうきんるい)の絶好の狩場になるなど、森に棲む生き物たちの生活環境の一部として機能しています。

動画:自然にやさしい作業道づくり

・獣害対策

日本各地で増えすぎた鹿が、地表を覆う下草や樹皮を食べ尽くしてしまう被害が深刻化しています。間伐で林内に光を入れて、草や低木が生えても、鹿がすべて食べてしまうと、生物の多様性が乏しくなるだけでなく、土壌の流出や表層崩壊の原因となってしまいます。「天然水の森」ではその対策として、鹿が入れないようにする植生保護柵の設置や鹿が好まない草や低木を応急的に移植して表土を保全するなど、生物多様性の保全や土壌の流出を防いでいます。また、シカの行動調査を実施することで、より効率良く植生を保護できる方策を探求していきます。

動画:獣害対策

・苗づくり、植樹

鹿の食害などによって植樹が必要な場合、異なる土地の植物はその土地の生態系を崩してしまうことがあるため、地域性を尊重し、地元で採れた種を使って苗づくりを行います。

  • 地元で採取した種子

【RPDCAのCA】モニタリング、再調査

整備した後は、その内容が森の保全に正しく貢献できているのかをモニタリングし、評価します。特に地下水、土壌、鳥類、植物など生態系全体にどういった変化が生じるかを確認し、必要に応じて計画を見直します。持続的に活動をするためには、このように自然の変化に柔軟に対応する必要があるのです。

森林整備をする人材の育成支援

日本全国の森を健全化するためには、「天然水の森」にとどまらず、同様の活動を全国に広める必要があります。そこでサントリーは、「天然水の森」における研究活動の成果を広く公開しています。また、より効率の良い施業技術や作業道づくりといった森の整備に欠かせない技術やノウハウを伝承するために、「天然水の森」をフィールドとして人材育成のための講習会や実践研修、天然水の森フォーラムを実施しています。

  • 作業道講習会

  • 効率的かつ効果的な間伐技術の継承

生物多様性の保全

森林の生態系は、土壌や草木を底支えとするピラミッドを形成しています。この生態系ピラミッドを健全な状態に保つために、土壌や草木を豊かで多様な状態にする必要があります。
水や農作物を主原料とするサントリーグループの事業活動は、このような健全な生態系によって支えられています。それらを守ることはサントリーグループの当然の責務であると認識しており、生物多様性とそれを支える自然環境の保全につながる、多彩な活動を展開しております。
国内の工場とその水源涵養エリアである「天然水の森」をはじめ、既存の事業においては、継続的な生態系モニタリングによるリスク評価と計画的な管理を行っています。新規事業を展開する際にも工場の水源涵養エリアを特定し、他の「天然水の森」同様、さまざまな分野の専門家のご協力のもと、リスク評価を徹底しながら、中長期的ビジョンに基づいた管理を行っています。

たとえば、「天然水の森 阿蘇」のある水源涵養エリアの森林では、猛禽類の狩場の創出のための間伐実験など生物多様性の修復・保全や水源涵養機能の強化を目指した整備・実験・調査を実施。さらに、下流域では、地域の方との協定締結によって、休耕する冬期の田んぼに水を張る「冬水田んぼ」や魚道の設置、大学や近隣小学校のご協力による生き物調査など、流域全体で生態系が豊かになるよう目指しております。

2011年1月には、経団連の「生物多様性宣言推進パートナーズ」に加わり、2017年11月には、IUCN-J(国際自然保護連合日本委員会)が運営する愛知ターゲット達成に向けて取り組む人々が参加・協働するプラットフォーム「にじゅうまるプロジェクト」に参画し、生物多様性の豊かな社会づくりに向け、率先して行動しています。

  • 森林の生態系ピラミッド:
    土壌、草木を守ることは、
    生態系全体を守ることにつながります

  • 水田の生態系ピラミッド:
    生き物の多様性を復活することで、
    持続可能な水田農業を目指します

鳥類の目から見た「天然水の森」の多様性

「天然水の森」では、豊かな生物多様性を回復することを大きな目的の1つとしており、日本鳥類保護連盟の専門家による野鳥調査を毎年行っています(その他、昆虫・動物調査も定期的に実施しています)。「天然水の森」及びサントリーグループの全ての主要な拠点では、生物多様性行動計画(BAP)を策定し、継続的な改善に向けて取り組んでいます。
森林が本来持っている機能を回復すれば、そこに生育する動植物相にも変化があります。生態系の最上位に位置するワシやタカなどの猛禽(もうきん)類に注目することで、彼らを支える生態系全体の変化の状況を、総合的に把握できると考えています。
また、2020年目標では「国内すべての『天然水の森』においてワシ・タカ類の営巣・子育ての実現」を掲げており、野鳥調査を通じて「天然水の森」の自然を鳥類の目から見つめ、生物多様性豊かな森づくりを進めることを目指しています。オオタカ・ノスリ・ツミ・ハイタカ・フクロウなどの猛禽類の営巣が、各地の天然水の森で確認されています。

「愛鳥活動」についてはこちら

動画:あじさいの3ヶ月

「天然水の森フォーラム2017 〜水と生命(いのち)の未来を守るために」を開催

このフォーラムは、「天然水の森」での多岐にわたる調査や整備における知見の共有化を目的に2011年からスタートし、2017年9月の開催で通算7回目となります。普段からご指導・ご協力いただいているさまざまな分野の専門家の方々をお招きし、「天然水の森」 での研究内容や整備での試行錯誤、今後の活動方針などを総合的に報告いただくとともに、ポスターセッションでは具体的な意見交換を行うなど、討論を深めました。

天然水の森フォーラム2017

東京大学「水の知」(サントリー)総括寄付講座

サントリーホールディングス(株)は、東京大学総括プロジェクト機構「水の知」(サントリー)総括寄付講座を2008年4月に設立し、5年間にわたり実施しました。水に対する社会的な関心を高めることで、水問題の解決と豊かな水環境の創成を推進するとともに、学術分野における研究者の育成に寄与することを目的に、以下さまざまな活動を行いました。
一例として、この講座で実施した学生向け講義の記録を「水の知」として出版したほか、「水の日本地図」出版や、Webコンテンツ「水の知検定」公開、「サイエンスバー」の実施、サントリー「水大事典」や「水育(みずいく)」わくわく大百科、水育「出張授業」の監修、教育用コンテンツ「水ドリル」の作成など、両者の知見を活かして「水の知」を広く社会に伝える取り組みを積極的に行いました。

  • 「水の知」を出版

  • 「水の日本地図」を出版

  • 小学生向け教育用コンテンツ「水ドリル」

「水の知」についてはこちら

「森と水を科学する」についてはこちら

従業員による森林整備体験

「天然水の森」では、2013年まではボランティア活動として多くのグループ従業員とその家族が森林整備体験に参加しました。
2014年からは、サントリーの「自然との共生」の価値観を従業員一人ひとりが自ら体感し、理解することを目的に全社従業員を対象とした森林整備体験研修としての活動を開始。これまでに累計約7100名が参加しました。

動画:社員森林整備体験プロジェクト

環境広告・Webサイトによるコミュニケーション展開

「天然水の森」での水源涵養活動を広くお客様にご紹介することを目的に、2013年6月より環境広告を新聞およびTVCMに出稿しました。なお、TVCM「サントリー天然水の森」(土づくり篇)は、環境省および一般財団法人 地球・人間環境フォーラムが主催する「第17回 環境コミュニケーション大賞テレビ環境CM部門」において優秀賞を、Webサイト「人類以外採用」は第3回Webグランプリ:企業グランプリ部門グランプリを受賞しました。
「天然水の森」の活動や知見などを広く社会の方々にご理解いただくとともに、さまざまな活動に活用していただけるよう、サントリーホームページ上に専門Webサイトを開設し、森ごとのビジョンや活動事例などをご紹介しています。

  • TVCM
    「サントリー天然水の森」
    (土づくり篇)

  • Webサイト
    「人類以外採用」

「育林材」プロジェクト 〜水と森を育むために生まれてきた木材の活用

サントリーグループでは、持続可能な水と森を育むための活動から生まれた木材を「育林材」(登録商標)と呼んでいます。山や森には無駄なものは無いはず、何一つ無駄にしたくないという基本的考え方をもとに、スギやヒノキといった人工林だけでなく、ミズナラやアカマツ、竹などの広葉樹も、私たちの森づくりから生まれた副産物として大切に使っていく活動を進めています。

「育林材」を加工したテーブル・椅子の社内利用

「天然水の森」の森林整備作業で生じる「育林材」を有効活用するために、従業員のアイデアによって実現したのが、「育林材」を加工したテーブルです。現在、お台場オフィスの社員食堂および「サントリー大学」※1のスペースに「天然水の森 ぎふ東白川」の「育林材」を使用した各種テーブルやカウンターを設置しています。
また、サントリーグループの国内外の研究開発拠点「サントリー ワールド リサーチセンター」(けいはんな学研都市)でも、2015年の竣工に併せ、「天然水の森 奥大山」と「天然水の森 きょうと南山城」の「育林材」を使用したフローリングや家具を、サントリープロダクツ(株)木曽川工場では、「天然水の森 ぎふ東白川」(同工場の水源涵養エリア)の「育林材」を使用した椅子を設置しています。
こういった「育林材」を活用したテーブルや椅子に接することで、自然を体感できる環境の中で感性を磨き、従業員自らが「天然水の森」の活動を再認識しています。

  • 「天然水の森」の「育林材」が活用されたテーブル

  • 「育林材」を使用したサントリー
    ワールドリサーチセンターのエントランス

「育林材」の社外利用

「天然水の森」より搬出された「育林材」は、スギ・ヒノキ材を中心に市場を通じて幅広く流通しています。その中には、「天然水の森」の近隣の公共施設の建築物や家具などに活用されたものもあり、地元の方々と触れ合いつつ、自然のめぐみを還元できるきっかけとなっています。

西脇市日時計の丘公園に設置された「育林材」机・テーブル

Page top