家庭用ビールサーバー開発の軌跡 ご家庭でも最高品質の「ザ・プレミアム・モルツ」を

ご家庭でも最高の状態で「ザ・プレミアム・モルツ」を飲んでほしい――。
飲用時品質の向上にこだわり続けてきたサントリーでは、
これまで数々の家庭用ビールサーバーを開発してきました。
そして2018年、これまでの研究と改良の成果を最大限に活かした
2種類の「神泡サーバー」が誕生。サントリービール マーケティング本部の
福本匡志が、誕生に至るまでの挑戦の軌跡をご紹介します。

サントリービール(株)マーケティング本部 課長
福本匡志氏

飲用時品質向上のために、家庭用ビールサーバーを自社で開発

 ドラフトアドバイザー制度や樽生三原則をはじめ、飲用時品質にこだわり抜くことは、サントリーが脈々と受け継いできた哲学のようなものです。飲食店の方々にビールの注ぎ方や樽生サーバーの管理方法をアドバイスしていることもあり、ご家庭で飲むお客様にも最高の状態で「ザ・プレミアム・モルツ」をお届けしたい、そう考えたのは自然な流れでした。

 一方で、ご家庭で「ザ・プレミアム・モルツ」を飲む場合、グラスに注がずに飲むお客様もいらっしゃいますし、注ぎ方も人それぞれ。お客様任せになっている部分が数多くありました。数あるお酒の中でもビールにしかない泡は非常にユニークなものであり、泡のきめ細かさ、液体と泡のバランスなどによってビールはもっとおいしくなる。けれど、缶ビールではうまく泡がつくれない…。その課題に対して、なかなか答えを見出だせずにいました。

 どうすれば最高の状態で「ザ・プレミアム・モルツ」をご家庭で飲んでいただけるか。考え抜いた末に目をつけたのが、手軽に品質の違いが感じられる家庭用ビールサーバーです。早速、市販されているサーバーを色々と調べましたが、「ザ・プレミアム・モルツ」に相応しいものがなかなか見つからず、「だったら自社で開発しよう!」と。そうして2012年、家庭用ビールサーバーの第1号として「ミニガスを使った缶専用サーバー」を開発しました。

クリーミーな泡を実現した、超音波式サーバーという転換点

 そこからビールサーバーと徹底的に向き合い、改良を重ねる日々が始まりました。2012年の「①ミニガスを使った缶専用サーバー」は、ご家庭に設置するにはサイズが大きく、ガスを取り扱うというリスクが課題でした。スペースをとらず、ガスを使わずにクリーミーな泡を実現しない限り、ビールサーバーはお客様の暮らしの一部になり得ない。その想いはずっと胸の中にありました。

 2013年に開発した「②クリーミー生サーバー」は、ガスを使わないという点において、サントリーのビールサーバーの大きな転換点になりました。ガスの代わりになるものとして導き出した答えは“超音波” 。1秒間に3万回の振動を液体に加えることで、きめの細かいクリーミーな泡が実現できたのです。

 超音波に光明を見出した私たちは、2014年に「③超クリーミー泡サーバー」、2015年に「④最新型!超クリーミー泡サーバー」を開発しました。アップデートのポイントは、ユーザビリティの向上に尽きます。スペースを取らないための小型化、ビールを注ぐ時間の短縮、洗浄時の簡易性、あるいはインテリアとしても遜色のないデザイン性。ときにはお客様のご自宅にお伺いし、使用感や利用シーンを調査することで改良していきました。

試行錯誤の末にたどり着いた“脱・超音波”の「神泡サーバー」 

 細かいチューニングを繰り返していく中で、お客様から「ホームパーティーに呼ばれた際や、キャンプやバーベキューなどのアウトドアの際にもビールサーバーを持っていきたい」という声が寄せられました。そのご要望に沿って開発したのが2015年の「ハンディ泡サーバー」 。さらに、翌年にはビールサーバーの上部を取り外して持ち運べる「⑤超クリーミー泡2WAYサーバー」も開発しました。

 ただし、ユーザビリティの追求にゴールはありません。これまでのキャンペーン形式では、サーバーをお客様が手に入れるまでには多くの「ザ・プレミアム・モルツ」を購入していただかなければなりませんでしたが、まずはそのハードルを下げたいという思いがありました。加えて、2013年以降、すべての家庭用ビールサーバーに採用してきた超音波でさえ、動力が電池という点がお客様にとってネックになっていないかと考えたのです。そして、電池を使わない、すなわち“脱・超音波” のハンディ型ビールサーバーの開発に着手しました。

 ところが、超音波以外でクリーミーな泡を実現することは想像以上にハードルが高く、気づけば試作品の数は過去最高の50台を超えていました。例えば、ボディソープのポンプだったら液体に圧を加えられないか、いや、お菓子づくりの道具は使えるかもしれないぞと、当時は寝ても覚めてもビールサーバーのことばかり考えていましたね。

 苦心の末に生まれたのが、完成までにおよそ1年半を要した今回の「手動SS式神泡サーバー」 です。超音波に代わるものとして採用したのは、小さなスクリュー。それをゼンマイの力で回転させることで、液体に圧をかけてクリーミーな泡をつくる仕組みです。スクリューの最適な回転スピード、あるいはスクリューが確実に液体をとらえるためのベストな位置がなかなか定まらず、研究に研究を重ねました。その甲斐もあって、超音波を使わない手動式のハンディ型ビールサーバーとしては、現時点で最高のものが完成したと自負しています。

 今回は、3缶や6缶の「ザ・プレミアム・モルツ」とセットで「手動SS式神泡サーバー」をお客様にお届けできることになりました。さらに、24缶ケースには、ボタンひとつで簡単にクリーミーな泡を愉しめる「電動超音波式神泡サーバー」がセットになります。ご家庭でおいしい“神泡”を、お客様の手でつくっていただきたいと思います。

「神泡サーバー」が実現した“泡の後乗せ”と“泡再生”

 最後に、「手動SS式神泡サーバー」の使い方と特長をご紹介します。まずは「ザ・プレミアム・モルツ」に「手動SS式神泡サーバー」を取り付け、泡を立てないように液体をグラスの内側に沿わせて6分目まで注ぎます。次にグラスを平らな場所に置いて、「手動SS式神泡サーバー」のレバーを上下に連打します。すると、スクリューが回転して液体に圧がかかり、クリーミーできめ細かい泡を後乗せできるのです。

 そもそも、ビールの泡は液体中に含まれる炭酸の気泡と気泡がくっついたもので、液体に圧力をかけることで炭酸が泡に変化します。ビールを勢いよくグラスに注ぐと泡だらけになり、静かに注ぐと泡が立たないのは液体にかかる圧力が異なるためです。そして、泡がたくさんできるということは、液体中の炭酸がどんどん泡に変わってしまうということ。つまり、勢いよく注ぐと気の抜けたビールができあがってしまうのです。

 では、「手動SS式神泡サーバー」で注ぐとどうなるか? まず、泡立たないようにグラスに注ぐので、液体にしっかりと炭酸が残ります。そして、スクリューで撹拌してつくったきめの細かい泡を後乗せできるので、口当たりが良く、「ザ・プレミアム・モルツ」特有の華やかな香りとコクが引き立ちます。泡持ちが良いのはもちろんですが、「手動SS式神泡サーバー」を使った際は、ぜひ “泡再生” を体験してみてください。ぐっと傾けてビールを飲んだ後にグラスをテーブルに置くと、一度はなくなったはずの泡がみるみると再生していきます。これは、液体中にしっかりと炭酸が残っている証拠なのです。

 「ザ・プレミアム・モルツ」は、ハレの日に自分へのご褒美として飲みたい特別なビール―—。お客様からそんな声をいただくたびに、「ザ・プレミアム・モルツ」をご家庭でも最高の状態で召し上がっていただき、笑顔になってもらうことが私たちのゴールなのだと確信します。だからこそ、私たちはお客様が「ザ・プレミアム・モルツ」を飲むその瞬間にまで責任を持ち、飲用時品質向上のための歩みを止めることはないのです。