妥協なきビジョンと技術力の融合 うまさを引き立てる、前例なきグラスができるまで

サントリーの飲用時品質へのこだわりはグラスにも及び、
100年以上の歴史を持つガラス製品メーカー、
東洋佐々木ガラスとオリジナルグラスを共同開発してきました。
泡持ちを向上させ、「ザ・プレミアム・モルツ」の香りやコクを
引き立たせるグラスはどのようにして生まれたのか?
東洋佐々木ガラスの生産本部 技術部長・柴田憲章さんに、
オリジナルグラス完成までの道のりをお伺いしました。

東洋佐々木ガラス(株)
生産本部
柴田憲章氏

泡持ちを向上させる、理想のグラスづくりへの挑戦

 私たち東洋佐々木ガラスは、1878年創業の東洋ガラスの食器部門と、1902年創業の佐々木硝子が2002年に統合してできたガラス製品メーカーです。1967年には国産初の食器用口部強化グラス「HS※1」を生産し、約50年にわたって国内市場でトップシェアを獲得してきました。

 そんな当社とサントリーさんのお付き合いは約20年前にさかのぼります。ご依頼いただいたのは、「ザ・プレミアム・モルツ」の前身ともいえる「モルツ」のジョッキやタンブラーの制作でした。当時からサントリーさんは飲用時品質の向上に並々ならぬ情熱を傾けており、泡持ちが良く、エンジェルリングがきれいにできるグラスをつくりたいという確固たるビジョンをお持ちでした。

 当然のことながら、ビールの泡や液体はグラスの内側と接触します。ガラスの外側の処理は印刷やカットなど数多くありますが、内面の処理となるとほとんど前例がなく、特殊な技術が必要でした。正直なところ、ハードルの高いオーダーでしたが、なんとしてでもサントリーさんの理想を実現したいという一心でグラス内面の研究に取り組みました。

 研究の末にたどり着いたのは、グラスの内面に微細な凹凸をつけて泡持ちを向上させるプレミアムコーティングです。ただし、内面を処理する際、ガラスの魅力のひとつである透明性を維持することは極めて難しい。そこで採用したのが、当社が2006年に開発した高品位ソーダライムガラス「ファインクリア※2」でした。純度の高い素材を使うことでシャープなクリアさを実現し、理想とする透過率に限りなく近いものが完成したのです。

 透明度の高いグラスに黄金色の液体が美しく輝き、クリーミーな泡をキープする。「ザ・プレミアム・モルツ」のグラスの原点はここにあります。

  • ハードストロングはロングセラーの業務用グラス。2017年には、その新製品がガラス製品として初めてグッドデザイン賞の金賞を受賞。
  • ガラス素材の主流であるソーダライムガラスの強さを維持しながら、ガラスの純度と透明性を向上させた高品位素材。2008年には、鉛を使わずにクリスタルガラスの輝きや重量感を実現した世界初の強化クリスタル「ファインクリスタル・イオンストロング」も開発。

「ザ・プレミアム・モルツ」を引き立てる、計算され尽くした形状

「モルツ」で培ったプレミアムコーティング技術を駆使し、その延長線上に誕生したのが「ザ・プレミアム・モルツ」のグラスです。プレミアムビールにふさわしいデザイン性、そして華やかな香りやコクをいかにして引き立たせるかが開発時に描いたビジョンでした。

 まず、デザイン面では「ザ・プレミアム・モルツ」の缶に描かれているレリーフ模様を外面に施し、プレミアムなブランドイメージを演出しました。それから、円形の口部に対して、底面は四角に仕上げました。これはグラスの安定感や持ちやすさ、「ザ・プレミアム・モルツ」のロゴがお客様の正面に向きやすいという点を考慮してのものです。

 最大のこだわりは形状と口部です。グラスの胴部にくびれをつくることで泡持ちを向上させ、口部は微妙に外側に開いているチューリップ状を採用しました。形状と口部がストレートの場合、ビールが勢いよく喉に入っていきますが、胴部のくびれとチューリップ状によってビールがゆるやかに舌に流れ込んでいきます。こうすることで、「ザ・プレミアム・モルツ」のコクをしっかりと感じられ、華やかな香りが口いっぱいに拡がるのです。

 グラスの内面に処理を施していますから、安全性にも細心の注意を払いました。お客さまの信頼を得ている安心・安全のブランド「HS」で培った技術には自信があり、それらを駆使してグラスの安全性を保っています。

 こうして誕生した「ザ・プレミアム・モルツ」のグラスは、CMなどの影響力もあって、「ビールはジョッキで飲むもの」という従来のイメージを変えたように思います。「ザ・プレミアム・モルツ」の美味しさをより引き立てるためにグラスを開発し、形状や口径にまでこだわるというのは、サントリーさんにしかできない試みではないでしょうか。

ものづくりへの情熱が生んだ、泡持ち1.2倍のスーパープレミアムコーティング加工

 今回、「神泡サーバー」とセットでお届けするグラスは、これまでの「ザ・プレミアム・モルツ」のグラスの形状や口径、デザイン性、安全性などを受け継ぎつつ、泡持ちや透明度のさらなる高みを目指したものです。

 大きな進化のポイントは、プレミアムコーティングのさらに一歩先をゆくスーパープレミアムコーティング加工です。これは環境問題のない特殊なガスの燃焼でグラス内面を処理する業界初のオリジナル加工で、未加工のものと比較して泡持ちが1.2倍という結果を出すことができました。

 ガラスの美しさ、すなわち透明性を維持することも極限まで突き詰めました。純度の高い「ファインクリア」を引き続き使用すると同時に、素材を均質に溶かす技術、不純物が入らないようにする工程管理を最高レベルにまで引き上げたのです。

 ジョッキやタンブラーなど、従来のラインナップを一斉にリニューアルする大規模なプロジェクトだったこともあり、完成までの道のりは決して平坦なものではありませんでした。オファーをいただいた後、すぐにスタッフとミーティングを行い、あらゆる可能性を検討しながら議論を交わしました。プロジェクトがスタートした時点から、サントリーさんの要望に応える最高のものをつくりたいという想いをスタッフ全員が共有していたと思います。

 サントリーさんの理想を実現するためにはどんな研究が必要か、実際に生産ラインで安全に、安定してつくることは可能か、毎日のように検討を重ねました。デザイナーの感性、蓄積してきたテクノロジー、現場のものづくりへの情熱。それらをフルに活用し、理想の形へと落とし込んでいったのです。サントリーさんの妥協を許さない飲用時品質向上への想いと、私たちが培ってきた技術が詰まったこのグラスで、ぜひ、「ザ・プレミアム・モルツ」の神泡をご堪能ください。