飲用時品質向上へのたゆまぬ努力 最高にうまいビールを、 最高の状態で届けるために

最高にうまいビールをつくったその先、お客様の口に運ばれる瞬間にまでこだわる――。
樽生で「ザ・プレミアム・モルツ」を提供する飲食店に向けて、サントリーは飲用時品質の向上に取り組んできました。最高にうまいビールを、最高の状態で届けるために、サントリーはどんな活動をしてきたのか?ドラフトアドバイザーの大野浩がご紹介します。

サンリーブ(株)
品質営業部 ドラフトマスター
大野浩氏

サントリーには、樽生ビールのスペシャリストがいる

 飲食店で樽生の「ザ・プレミアム・モルツ」を提供する際、グラスやディスペンサーが汚れていたり、注ぎ方が悪かったりすると、本来のうまさが損なわれてしまう可能性があります。つまりは、飲用時の品質が落ちてしまう。私たちドラフトアドバイザーの仕事は、飲用時品質向上のための知識や技術を身につけ、それらを広く紹介すること。“樽生ビールのスペシャリスト”として、日々、さまざまな勉強をしています。

 主な活動として、ベストコンディションで「ザ・プレミアム・モルツ」をご提供いただけるように、毎日飲食店に訪問し、提供状況を確認しています。その際のベースとなるのが「樽生三原則+こだわり2ヶ条」。グラスや器具の毎日の洗浄、適正なガス圧、樽の管理の仕方の三原則と、クリーミーな泡を保つためのグラスの洗浄と自然乾燥、そしてこだわりの注ぎ方の2ヶ条です。

 常に最高の状態で「ザ・プレミアム・モルツ」を提供してもらうことが第一の目的ですが、その先にあるのはお店に繁盛してもらいたいという想いです。ときには見やすいメニューを一緒に考えたり、ビール以外の新製品を案内したりするなど、コンサルタント的な提案をすることもあります。サントリーでは、こうしたドラフトアドバイザー制度を約30年前からスタートしているのです。

飲用時品質向上のための品質提案活動の日々

 飲食店でのチェック項目は、「樽生三原則+こだわり2ヶ条」以外にも多岐に渡ります。ディスペンサーのヘッドやタップ、ビールホース、それに食洗機やグラススポンジが清潔に保たれているか、隅々にまで目を凝らしています。ビールが通る回路の中の目に見えない汚れを可視化できるツールを開発するなど、どうすれば全国一律の基準を設けられるか、試行錯誤を重ねてきました。

 一般のお客様にはあまり知られていませんが、樽生やグラスの管理を怠ると、ビールの品質には大きな影響が及ぼされます。例えば、樽生のガス圧は適正な圧力を間違えば品質の低下に繋がりますし、樽の鮮度を保つため、1樽が何日で消費されているかにも注意を払っています。

 1980年代にドラフトアドバイザー制度を始めたころと比べると、飲食店の方々のビールに対する意識は遥かに向上しています。ファーストオーダーの大半がビールという文化が根付いていることもあり、ただビールを出せばいいという時代ではなくなってきているのです。そういった意識が飲食店の方々に浸透してきている現状を目にすると、長年にわたって地道な品質提案活動を行ってきた甲斐があったことを実感します。

最高の状態で飲むビールには、未体験の感動がある

 飲用時品質向上の一環として、私たちは1985年から樽生品質セミナーも実施してきました。企業や飲食店、あるいは一般の方向けにセミナーを開催し、多くの方々に受講していただきました。

 セミナーの内容は「樽生三原則+こだわり2ヶ条」をベースに、五感で最高品質の「ザ・プレミアム・モルツ」を体感いただくことで、飲用時品質の重要性をご理解いただいています。ただ、口で説明するよりも、やっぱり実際に飲んでいただくほうがスムーズですね。例えば、ウイスキーのテイスティンググラスを使って、泡のない「ザ・プレミアム・モルツ」とクリーミーな泡を乗せた「ザ・プレミアム・モルツ」を比較してもらうと、多くの方に香りの違いと泡の重要性を理解していただけます。

 セミナー用に、グラスに下から光を当てる機械も開発しました。この機械に「ザ・プレミアム・モルツ」を注いだグラスを置くと、神泡のすごさが一目瞭然でご理解いただけます。写真の左側がわざと粗く注いだ「ザ・プレミアム・モルツ」で、泡にブツブツと穴が空いて光が透けて見えますよね。一方、サントリーのこだわりの注ぎ方で注いだ右側のビールは、泡が光を通していない。それだけきめが細かくて、表面が滑らかな証拠なのです。

樽生やグラスの管理はもちろんですが、注ぎ方ひとつで飲用時品質が変わってしまう。セミナーでは、「お店の方の協力がなければ、最高の『ザ・プレミアム・モルツ』はお客様に届きません」とお願いしています。実際にこだわりの注ぎ方で注いだ「ザ・プレミアム・モルツ」と、そうでないものを飲み比べていただくと、「こんなに違うんですか!」と皆さん驚かれます。飲用時品質にこだわって注いだビールには、これまで経験したことのない感動があるのです。

一人でも多くの人に、最高の「ザ・プレミアム・モルツ」を

 以前、ビール醸造家が私たちのセミナーに同行したときのことです。私たちの活動を見た醸造家が、「醸造家が最高のビールを作ったら、それがそのままお客様に届いていると思っていた。でも、ドラフトアドバイザーがいて、飲食店の皆様と協力することで、最高のビールが最高の状態で届けられているのですね」と話していました。

 私たちとしては、醸造家がこだわり抜いて、情熱と努力を惜しまずつくり上げたビールを最高の状態で飲んでいただきたい。その一心なのです。それに、樽生で飲む「ザ・プレミアム・モルツ」は本当にうまい。華やかな香りやコク、それにクリーミーな泡は、樽生で飲むことによって強く実感できると思います。だからこそ、私たちも醸造家と同じようにこだわり抜き、情熱と努力を惜しまず飲用時品質の向上に努めているのです。

 ここまで樽生の飲用時品質にこだわっているメーカーは珍しかったこともあり、当初から挑戦の連続でした。では、なぜサントリーはそこまでするのか? それは、お店の提供方法や環境によって、せっかくの「ザ・プレミアム・モルツ」の品質が落ちてしまうこと、醸造家たちの想いを無駄にしてしまうことをできる限りなくしたいと思っているからです。

 最高のビールをつくった以上は、お客様の口に運ばれる、その瞬間にまで責任を持ちたい。一人でも多くの人に最高の「ザ・プレミアム・モルツ」を飲んでいただくためには、一切の労を惜しまない。地道に、愚直にうまいビールをつくり、届けることは、サントリーがずっと受け継いできたこだわりなのです。