チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

マルハニチロ
チーズハムカツ

第25回 2017年01月

マルハニチロ<br>チーズハムカツ

チーズの味わい

この連載初の揚げ物登場です。
薄切りのロースハムでチーズソースを挟んで揚げてあります。
「明確にチーズを食べている。」という感じではありませんし、お弁当のイメージが強いかも知れませんが、実はおつまみとしても使えるのではないかと思って選んでみました。
サックリ衣と、やさしい味わいのハムとまろやかなチーズソースのハーモニーで、結構ワインが進む1品です。


よく合うワイン

モマンドール ブリュット

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

青リンゴ レモン 白い花

爽やかに揚げ物が食べられる、とても良いマリアージュ。

モマンドール ブリュットは、日本の食卓に合う味わいを目指して、フレシネ社とサントリーが共同開発した辛口のスパークリングワインです。
チーズハムカツと合わせてみると、「やはりスパークリングワインと揚げ物は相性がいいな。」と改めて納得させられる心地よさを感じさせてくれました。モマンドールの軽快な酸と泡立ちがハムカツの油っこさを流し、ワインの味わいもイキイキとした柑橘のフレーバーが際立って、クッキリとする印象です。カツの味わいも、衣、ハム、チーズソースの3つの味が渾然一体とまとまる印象です。さらに、ワインと一緒に食べると次の一口も爽やかに美味しく感じられて、いいことずくめのマリアージュでした。

オックスフォード ランディングヴィオニエ 2015※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 白胡椒 キンモクセイ

味わいの濃度を高める、重量感のあるマリアージュ。

オックスフォード ランディングは、ヤルンバの創業者のひ孫が、1958年に新たにひらいたワイナリー。自然と共生したワインづくりを実施しています。
チーズハムカツと合わせてみると、スパークリングワインの時とは対照的な、逆に濃度を高める感じのマリアージュとなりました。衣の油のコク、チーズソースのコク、ハムの味わいがワインによってさらに増幅される感じで、しっかりと「食べた」という気分になりました。ワインの味わいも、元々爽やかというよりは、コックリとしたコクのある味わいなのですが、こちらもまた濃密な黄色を思わせる果実味がグッと際立って、ワインとカツがお互いを濃厚にしている印象です。最後に少しホロ苦味が出て高まったコクを軽くしてくれるところも心地よくて、モマンドールとは全く異なった反応ですが、これもまた魅力的なマリアージュです。

マテウス ロゼ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ラズベリー さくらんぼ キャンディ

ワインの果実味がグッと広がって感じられるマリアージュ。

世界100カ国以上で愛されるワールドワイドブランド。微発泡でほんのり甘いキュートな味わいは、いつ飲んでもほっとする安心感があります。
チーズハムカツと合わせてみると、果実味がグッと広がる感じを受けました。元々ラズベリーや赤いさくらんぼを連想させるような、キュートな果実味が特長のワインなのですが、ハムカツと合わせるとその果実の輝きみたいなものが、パッと強調されるように感じます。やや苦味も強調される印象があり、ワインの味わいそのものを、ハムカツが強化してくれるような気がしました。微発泡によって、後味に油っこさを感じることもありませんし、合わせる事による違和感を全く感じない素直なマリアージュだと感じました。

ブラゾン ド オーシエール 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー 鉄 黒胡椒

一気にワインが親しみやすくなる、あたたかなマリアージュ。

ドメーヌ ド オーシエールはドメーヌ バロン ド ロートシルト社が1999年からラングドック地方のコルビエールではじめたワイナリー。南仏の力強さと、エレガンスが融合した独自の味わいを持ちます。
チーズハムカツと合わせてみると、ワインの味わいの表面だけではない、奥行きの部分が見えてくる感じになりました。ワイン単品ではエレガントながらも、やや親しみにくかった味わいが、ハムカツと合わせる事でなめらかにほぐれて甘さを感じさせ、動物やスパイスを感じさせる香りが大きく広がります。このワインが持つ本来の魅力を見せてくれた気がしたマリアージュでした。ハムカツもほど良いコクを感じさせながら味わいが長く残り、結構合ってるなあと不思議なくらい納得した組み合わせです。

チャレンジまとめ

前回と比較すると、一気に日常な感じのマリアージュです。昨年10月掲載の冷凍パスタ取材時に、冷凍食品の進化をまざまざと見せ付けられたので、冷凍食品とワインとのマリアージュをもう少し探求してみる事にしました。という事で今回は、これまでやってこなかった「揚げ物」です(ちゃんとチーズも入ってます)。
結果ですが、このチーズハムカツ、なかなかに優秀なワインのお供になる事が判明しました。
ハムカツの油分は、ワインの硬さをやわらげてまろやかにしてくれますし、ワインの酸やタンニン分は、その油がくどくなるのをいい感じで洗い流してくれる効果があって、きちんと美味しさを感じさせてくれながら、重くないといういいマリアージュになりました。一番誰もが間違いなく愉しめるマリアージュは、スパークリングワインと合わせる「洗い流しのマリアージュ」だと思いますが、個人的に今回試して一番面白いと思ったのは、ヴィオニエとの「濃縮のマリアージュ」でした。それぞれの味わいがグッと濃厚になって、重量感を増していくこの組み合わせ。是非一度お試し下さい。



■ 関連サイト
マルハニチロ チーズハムカツ(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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