チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

KRAFT
フィラデルフィア
クリームチーズ 6P
ローストオニオン

第19回 2016年06月

KRAFT<br>フィラデルフィア <br>クリームチーズ 6P<br>ローストオニオン

チーズの味わい

フィラデルフィア クリームチーズの少し酸味を帯びたほんのりと甘い香りに加えて、ローストオニオンの香ばしさが食欲をそそります。
柔らかくてクリーミーな口当たりと、ヨーグルトを連想させるまろやかな酸味、優しい塩味のフィラデルフィア クリームチーズの良さは残しながら、ローストオニオンによって、コクがプラスされている感じです。
チーズ自体にはほぼクセがないので、オニオンの香りがよく引き立ちます。


よく合うワイン

ロス ヴァスコスソーヴィニヨン・ブラン 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ルビーグレープフルーツ パッションフルーツ 青草

チーズのコクが強調され、まろやかな味わいに感じられるマリアージュ。

ロス ヴァスコスはボルドーの名門ドメーヌ バロン ド ロートシルトがチリで手がけるワイナリー。弾けるような鮮やかな果実味と、引き締まった酸味のフレッシュな味わいの辛口白ワインです。
チーズと合わせると、熟したトロピカルフルーツを思わせる甘い果実味が口の中に広がって、まろやかでリッチな味わいを強く感じるようになりました。ただ、このワインの大きな特長である、イキイキした酸や、青草を思わせるフレッシュさは、影を潜める様な印象を受けました。グッとコクは出ますが、ワインの爽やかさはあまり感じられなくなるマリアージュです。

登美の丘 シャルドネ 2013

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 杏仁豆腐 はちみつ

味わいが次々に変化していく、起承転結のあるマリアージュ。

サントリーが山梨県に所有する登美の丘ワイナリーの自園で育ったシャルドネ種からつくられるワイナリーの顔とも言えるワイン。3年の熟成を経て、今まさに飲み頃の色気を感じさせる状態になっています。
チーズと合わせると、「まずローストオニオンの香ばしさがトップに出て、それがだんだんとコクのある黄色い洋梨や杏を思わせる果実感に包まれていき、ワインの樽の香ばしさとうまく馴染んで行きながら、綺麗に味わいが伸びて消える。」という起承転結のある物語を読んでいるような、流れのあるマリアージュを見せてくれました。
チーズのまろやかさや香ばしさ、ワインの香りやコクなど、双方の持っている味わいが色々と引き出される、とても良いマリアージュだと思います。

レオナルド キヤンティ 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー スミレの花 クローブ

フライドオニオンが爆発!オニオン好きにはたまらないマリアージュ。

誰もが知っているレオナルド ダ ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」がラベルになった、ダ ヴィンチの生まれた村でつくられるキャンティです。軽やかな果実味とイキイキした酸味を持つ、フードフレンドリーな赤ワインです。
チーズと合わせると、不思議なほどにローストオニオンの香りが目立つ結果となりました。ワインの味わい自体は、元々よりも豊かにふくらみを感じさせ、酸もまろやかになって、全体にボリュームが出る感じで味の変化としてはプラスの方向ですが、香りはオニオンが支配的になります。
オニオンが好きならとても美味しいし、苦手なら凄く嫌という、オニオン好きの方にはたまらないマリアージュだと思います。

ル オー メドック ド ラグランジュ 2012

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス 針葉樹 赤いバラ

両者がぶつかってしまって、混じっていかないマリアージュ。

サントリーがボルドーに所有する、シャトー ラグランジュが、オー・メドック地区の畑からつくる赤ワイン。2012年が初ヴィンテージ。メドックらしい、引き締まった構造のあるワインです。
チーズと合わせると、不思議と両者がぶつかってしまって、うまく混じりあっていかない結果となってしまいました。ワインは単体で飲むよりもタンニンの硬さが目立つ印象になり、チーズはチーズで、どこにも味の行き場がなくて口の中で(少し苦味を出しながら)じっと留まるという感じです。
ワインもチーズも単体では美味しいので、この二つは合わせない方が良いという事なのでしょう。

チャレンジまとめ

第3回で試したフィラデルフィア クリームチーズのフレーバータイプです。他に黒胡椒もありますが、今回はローストオニオンで試してみました。ローストオニオンは、味わいに香ばしさやコク、少し苦みを与える素材です。それだけに、爽やかさや酸味が特長のワインよりも、樽で熟成したような香ばしさとコクのあるワインがこのチーズには合うと思います。実際に、今回の4種のワインの中では樽熟成の要素のある登美の丘のシャルドネが一番良い相性を示しました。また、今回は試す対象ではありませんでしたが、たまたまオフィスにあったバロン ド レスタック ボルドー(樽熟成由来の香りが強くする赤ワイン)でもマリアージュを試してみたところ、全体の甘みとコクが強調されて美味しく感じました。
以前に試したフレーバータイプのチーズであるブルサン(第4回)やベルキューブ(第12・13回)の時も、同じ傾向がありました。フレーバータイプのチーズの場合は、そのフレーバーに近いワインが好相性を見せると言って良いと思います。例えばハーブ風味のチーズであれば、少しハーブを思わせる香りのあるソーヴィニヨン・ブランからのワイン。今回のようにコクと香ばしさのあるフライドオニオンフレーバーであれば、コクと香ばしさをワインに与える樽熟成したワインという感じです。その点から考えると、フレーバータイプとしてもう一つ多くの製品がある「黒胡椒タイプ」の場合は、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンといった、スパイスのフレーバーを感じるぶどうからのワインが合いそうです。
似たフレーバーを合わせるのは、ワインと食材を合わせる時の一つの大きな目安となります。試してみて下さい。



■ 関連サイト
KRAFT フィラデルフィア クリームチーズ 6P ローストオニオン(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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