チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ベルジャポン
キリ&スティック

第16回 2016年03月

ベルジャポン<br>キリ&スティック

チーズの味わい

 なめらかな味わいで人気のキリ クリームチーズをベースにしたディップと、サクサクのクラッカーがセットになったチーズです。クリームチーズは一度、第3回で試していますが、今回はチーズのお供として登場する事の多いクラッカーと一緒に味わった場合に、味わいがどのように変化するのかを見て行きたいと思います。
 こちらの商品は、チーズディップ、クラッカーともに基本に忠実という感じの安心感のある味わいで、合わせる素材を素直に活かしてくれる感じがあります。胡椒をふったり、ジャムを合わせたり少しアレンジしても美味しそうです。


よく合うワイン

エル・グリルトロンテス 2015※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

マスカット 白いバラ はちみつ

より華やかになり、味わいに厚みを増すマリアージュ。

エル グリルは名前の通り、「焼きもの」に合うをコンセプトに開発されたワイン。アンデス山麓の標高の高い畑で育てられたトロンテスは華やかな香りと引き締まった酸があって、とてもイキイキとした味わいです。
元々マスカットや白桃といったやわらかな果実感が特長のワインですが、チーズと合わせる事で、メロンを感じさせるリッチな華やかさが出てきました。酸も乳脂肪に包まれてまろやかになり、味わいに厚みが出てくる感じで、チーズディップとの相性は抜群です。ただ、クラッカーはあまり味わいに影響を与えていない感じでした。

サントリー 登美の丘ワイナリー
メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン ロゼ 2014
※終売しました

日本
サントリー 登美の丘ワイナリーメルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン ロゼ 2014※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

さくらんぼ ピンクの花 フランスパン

メリハリのある果実味と心地よい香ばしさ。ピッタリのマリアージュ。

登美の丘の最高峰「登美」に使われるぶどうを使ってつくられた辛口ロゼワイン。美しいピンク色で、ハリのある味わいを持つ食事にピッタリのロゼです。
チーズと合わせてみると、ワインの味わいのメリハリが強調される感じになりました。果実感はよりフレッシュに、酸味はよりイキイキと動きのある感じに変化しました。そしてワインの樽発酵由来の香ばしさと、クラッカーの香ばしさが相乗効果を生む感じで、中盤から後半にかけて味わいがグンとふくらんできました。チーズはワインの果実味を強調しながらも、素直な乳の旨味を出してきて、とても美味しいマリアージュだと思いました。

サンタ バイ サンタ カロリーナカルメネール / プティ・ヴェルド 2015

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシス コーヒー 針葉樹

甘くて香ばしい、リラックスするマリアージュ。

人気の”サンタ バイ サンタ カロリーナ”の新製品。カルメネールとプティ・ヴェルドという力強さと凝縮感のある2つの品種を50%ずつブレンドした、しっかりとした飲み応えのある赤ワインです。
元々このワインにはコーヒーを思わせる香りや味わいがありますが、チーズとクラッカーの味わいがこれに加わる事で、カプチーノを飲んで、クッキーを食べているかのような味わいが出てきました。甘くて香ばしい、不思議とリラックスする香りと味わいです。チーズもクラッカーもワインもきちんと味わいが出てきて、それぞれが反応して全体の味わいのコクを増していく感じでした。これもまたいい組み合わせだと思います。

ワインの味わいに落ち着きとまろやかさが増すマリアージュ。

南フランスのよく熟した有機ぶどうを使ってつくられたオーガニックワイン。力強さよりも、やわらかさや優しさを感じる味わいです。
チーズと合わせるとワインの味わいに落ち着きとまろやかさが増す感じがしました。元々が優しい果実味を感じるワインなのですが、口の中でその味わいが広がるのをチーズとクラッカーが助けてくれている感じです。ただ、残念な事に新しく魅力的な味わいが生まれてくるというわけではなく、どちらかというとチーズとクラッカーが全面的に引き立て役になっている印象でした。他のワインとの反応が良かったので、辛い評価になりましたが、この組み合わせでも悪い部分は全くなく、十分に美味しく感じます。

チャレンジまとめ

 今回はチーズのお供として登場する事の多い、クラッカーを一緒に味わった場合味わいがどのように変化するのかをテーマとしてマリアージュを行いました。結論から申し上げると、クラッカーを一緒に食べる事でマリアージュは確実に変化します。第3回でクリームチーズとワインのマリアージュ実験を行った時には、味わいの変化はほぼ同じ傾向でした。それは果実味が増して、コクが出るというパターンです。クリームチーズは乳脂肪が高めで味わいにクセがないので、このタイプのマリーアジュになりやすい傾向があります。それに対して、今回のマリアージュではクラッカーによる「香ばしさ」という新しい軸が加わる事で、ワイン毎に異なる反応を見せてくれました。特に面白かったのが、ロゼのメリハリクッキリ系のマリアージュ。果実味と樽熟成というこのワインの持つ2つの特長を拡大鏡で見るように際立たせてくれました。これはクリームチーズだけではなかなか出なかった味わいだと思います。クリームチーズでなくとも、クラッカーを一緒に食べる事で味わいにふくらみが出るというのはありそうなので、またどこかで試してみたいと思います。
 フランス人は「パンにはチーズ、チーズにはパン、そしてどちらにせよワインだ。」と言います。確かにチーズとパンやクラッカーとワインという組み合わせは三位一体と言っても良い相性の良さだと感じました。このチーズはクラッカーでチーズをディップするという食べ方自体も楽しいですし、全体の平均点もとても高くて、ワインのお供として非常に汎用性が高いと思います。小容量小分けパックな事も色々便利に使えそうです。




■ 関連サイト
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柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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