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登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ぶどうづくり

登美の丘ワイナリーの自家ぶどう園の甲州を収穫完了しました。

今年2015年は9月に天候不順があったものの、10月に入ってからは非常に天候に恵まれ、日照豊かな日が続きました。甲州種ぶどうがしっかり完熟するのを待って収穫を10月29日・30日に行ないました。ちなみに、2014年は11月3日と例外的に遅くなりましたが、今年2015年は平年並みとなりました。
 

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現在、登美の丘ワイナリーの自家ぶどう園の甲州種ぶどうの畑では、みなさんがぶどう狩りなどでおなじみの棚仕立てで栽培しています。
日本固有のぶどう品種である甲州は、樹勢(樹が枝木を伸ばす勢い)が強いため、垣根仕立てでコンパクトにつくるよりも樹を自然に沿って棚仕立てにしていますので、一面に広がる棚の下に、薄紫色に輝くように明るい果実がたわわに実っている甲州がご覧いただけるかと思います。
収穫に際しては、自分の肩よりも高い位置に実った甲州種ぶどうを見上げながら切って、不健全な果実の粒がないか1房ずつ確認しながら、もし不健全な粒があれば取り除く作業をして、コンテナに入れるという一連の作業をずっと行ないます。地面にコンテナを置くと1房ごとにスクワットを繰り返すことになるため、樹からぶどうを入れるコンテナを吊るすようにしています。

 

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また、ぶどうの棚の高さは作業効率が良いように、あまり中腰にならないですむ高さにしていますが、傾斜地のために場所によっては棚が高くなっている所があったり、背の低いスタッフの場合、棚のぶどうまで手が届かないために、作業用の脚立を使って収穫作業を行なうことになります。もちろん、この脚立はかなり軽いものなのですが、やはり収穫作業は垣根仕立てに比べると大変です。

 

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甲州種ぶどうも粒が緑色から薄紫色に変わっていきます。甲州種ぶどうが色づいていく推移もご覧ください。
9月上旬の天候不順で色づきがぼんやりとしていた頃もありましたが、天候が回復してしっかりと色づいて熟してきた甲州種ぶどうをさらに完熟するのを待って、熟して香り豊かで果実成分がリッチな味わいのぶどうになりました。
 

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 登美の丘ワイナリーのこの区画の甲州種ぶどうが植えつけられたのは1978年と1984年。すでに樹齢が30年を超えていますが、しっかりと果実を実らせてくれています。その甲州の樹のどっしりとした幹は直径20cmを超える太さです。海外からのワインメーカーに、登美の丘ワイナリーの甲州のぶどう樹をご覧いただくと、その樹の太さにみなさん驚かれます。海外でも樹齢20年を超えたぶどう樹から獲ったぶどうで醸したワインを「ヴィエイユ・ヴィーニュ」といって古木を訴求するワインメーカーも、ここまでぶどう樹は太くはならないと言います。日本という気候がなせることなのでしょう。

 

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甲州種ぶどうは、2010年に「国際ぶどう・ぶどう酒機構」(O.I.V)に品種登録されて世界的に話題になりましたが、さらに2013年には、この甲州種ぶどうのDNA解析がされ、ヨーロッパのコーカサス地方で生まれたぶどうがシルクロードを経て日本にやってきたということが証明され、さらにそのシルクロードの旅の途中で中国のトゲブドウと交配していたという学会発表がありました。
実は、そのトゲブドウが登美の丘ワイナリーの昔の見本園にありました。当時の画像をみると、まさしくその名の通りだということがわかります。
そういう視点で、もう一度甲州種ぶどうの枝をよくよく見ると、そのトゲブドウの血を引く証として、小さなトゲがあることが確かに分かります。

 

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トゲブドウ

 

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甲州のトゲ

 

収穫された甲州種ぶどうは、非常に熟していて果皮にしっかりとした香りが感じられました。
これからワインとなっていくのが非常に楽しみです。「登美の丘 甲州 2015」が発売されたら、このブログの記事を思い出しながらお楽しみください。
 

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自家ぶどう園の甲州100%使用の元詰めワイン

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