ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
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  • 実験編「赤ワイン」

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ワインを買ったらどこに保管しておけば良い??
~赤ワイン編~

2015年11月

今回は「ワインを買ったらどこに保管しておけば良い?」を赤ワインで実験!!

これまでの実験では、ワインを開けた後の条件の違いで味わいの変化をいろいろと検証してきました。実際に試してみるとかなり違いを感じることができましたが、そもそも!購入してから抜栓するまでの保管環境の影響も気になるところ!
よく耳にしますよね。実際に試してみます! さて、結果やいかに!?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【ワイン1】~果実味豊かな軽めの赤ワイン~
    カルロ ロッシ レッド
  4. 【ワイン2】~華やかな香りで軽めの赤ワイン~
    ジョルジュ デュブッフ ボジョレー
  5. 【ワイン3】~バランスが良いしっかりめの赤ワイン~
    カステル バロン ド レスタック ボルドー 赤
  6. 【ワイン4】~力強い味わいの赤ワイン~
    カーニヴォ

▼ さっそくやってみた!!

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まずはワイン!次のタイプが異なる4種類で試してみました。
 
ワイン1.
フレッシュな果実味で軽めの赤ワイン:
カルロ ロッシ レッド
 
ワイン2.
華やかな香りで軽めの赤ワイン:
ジョルジュ デュブッフ ボジョレー
 
ワイン3.
果実味と樽香のバランスがよい飲み口がしっかりした赤ワイン:
カステル バロン ド レスタック ボルドー 赤
 
ワイン4.
濃縮した果実味で力強い味わいの赤ワイン:
カーニヴォ
 
そして、ためしてみる保管環境は次の3種類。保管期間は2015年の7月中旬から10月下旬までの約3ヶ月間です。
 A:冷蔵(8℃設定)
 B:常温(日陰:扉が閉められる棚の中)
 C:常温(日向:常に日光が当たるような窓辺)
 
A、Bは一般的な保管環境。Cはかなり過酷な保管環境を想定しています。なお、カジュアルなワインでの検証のため、冷蔵はワインセラーではなく一般的な家庭にある冷蔵庫を使用しました。
 
検証の仕方は、4人のメンバーで試飲して、味わいの要素を最高5点で数値化して比較しました。今回は開けた当日のみの検証です。
さてさて、真夏の間ずっと日向に置いていたワインはどうなっているのか??
 
 
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▼ ざっくりと結果まとめ!!

今回も実際に実験をやってみると、保管環境によってワインの味わいの違いをかなり感じることができました!
 
さっそく今回の結論は、
★★ 何はともあれ、冷蔵保管すべし!!! ★★
ということに!
 
冷蔵庫で保管したものは、どれも品質が保たれていておいしく飲めました。常温保管は日向がNGな結果になったのはもちろんのこと、日陰でもかなり味わいが落ちる結果になりました。。また日向では、コルクが少し出てきてしまっているものもありました。
夏場はとにかく、冷蔵保管した方がよさそうです!!!
 
  • 【1.カルロ ロッシ レッド】
    ★基本は冷蔵保管で!★
    今回試したワインの中では、冷蔵保管と日陰での保管の違いが少ない結果に。とはいえ、比べて飲めば違いがわかるレベル。できることなら冷蔵保管しておきたい感じです。日向での保管はバランスが崩れてしまって飲み進まない感じでした。。
  • 【2.ジョルジュ デュブッフ ボジョレー】
    ★絶対に冷蔵保管!★
    今回試したワインの中では、一番保管環境の影響を受けてしまった感じ。日陰での保管でも見た目の色合いも味わいも、かなり変わってしまったなあ、、という感じでした。日向での保管はもはや飲むのをためらうレベルでした。。
  • 【3.カステル バロン ド レスタック ボルドー 赤】
    ★これも絶対に冷蔵保管★
    (2)のワインほどではないものの、保管環境の影響を大きく感じました。日陰の保管でも果実味が落ちて、逆に渋味が前面に出てきて、飲みにくくなってしまった印象。日向での保管は、アルコールや樽の香りだけが残ってしまって、ワインの魅力がなくなってしまった感じでした。
  • 【4.カーニヴォ】
    ★これも絶対に冷蔵保管★
    このワインでもやっぱり、保管環境の影響が大きく出てしまいました。日陰の保管でも果実味や酸味がぼやけてしまって、甘味やアルコール感が強く感じられるように。日向の保管ではもっとその傾向が強く、飲み口がもったりして飲み疲れする感じでした。

 

ワインごとの変化の仕方など、詳しくは「検証結果をくわしく!」で

※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。

【ワイン1】~果実味豊かな軽めの赤ワイン~
カルロ ロッシ レッド

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

ブラックチェリーのような黒い果実やスパイスの香りが特長のワインです。豊かな果実味で酸味・渋味がまろやか、口当たりはやさしい味わい。軽めの赤ワインで持っている要素も多くないので、保管環境による影響も大きそう。

 

【検証結果】

★冷蔵保管がベター!★

今回試したワインの中では一番保管環境の影響が少なかったけれど、それでも夏場は冷蔵保管すべし!

 

まずは、日陰の保管。

果実味や香りの複雑さ、酸味が減って、鮮度が落ちてしまったような印象。アルコール感や渋味、甘味はそのまま残っているので、少し飲みにくいなと感じてしまいました。見た目にも色調が少しオレンジ色がかってきて、変化したことがわかるレベルでした。飲めないことはないけれど、あまりオススメできない結果に。

 

そして、日向の保管。

日陰より影響がより大きく出てしまっている感じ。果実味や香りの複雑さ、酸味がさらに落ちて、その分アルコール感や甘ったるさ、渋味が強調されてしまいました。また加熱した果実やリキュールのような印象も。飲んだ後に苦味やエグミが残ってしまって、飲み進まないなあという感じです。色合いもさらにオレンジ色がかっている感じでした。夏場の日向での保管は絶対に避けた方がよさそうです。

【ワイン2】~華やかな香りで軽めの赤ワイン~
ジョルジュ デュブッフ ボジョレー

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

イチゴなどの赤い果実を思わせる華やかな香りが特長のワインです。渋味は比較的穏やかで、イキイキとした酸味とフレッシュな果実を楽しむ軽やかなタイプです。このワインはフレッシュ感が魅力なので、保管環境による影響も大きそう。

 

【検証結果】

★冷蔵保管がマスト!★
今回試したワインでは一番影響大。夏場は絶対に冷蔵保管を!
 
まずは日陰の保管。
果実味と香りの複雑さがかなり落ちた印象で、逆に酸味が残ってしまってすっぱく感じました。甘味や渋味などその他の味わいの要素がそんなに強くないので、線の細い痩せた印象に。見た目でも、冷蔵はきれいな紫色なのに、日陰はオレンジ色が入って淡い色調になっていました。夏場の日陰での保管は避けた方がよさそうです。
 
そして、日向の保管。
これは絶対NG!味わいを評価する前に、抜栓した瞬間、傷んでしまった果実のような不健全な香りが漂っていました。味わいでは果実味や香りの複雑さがさらに落ちてしまって、抜け殻のような印象。アルコール感や苦味だけが残って飲むのがしんどい感じでした。このワインは夏場の日向での保管は絶対NGです!
 

【ワイン3】~バランスが良いしっかりめの赤ワイン~
カステル バロン ド レスタック ボルドー 赤

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

カシスを思わせる赤い果実の風味と贅沢な樽香とのバランス良い赤ワインです。色調が濃くなく、上品できめ細やかな味わいのため、保管環境の影響も大きそう。

 

【検証結果】

★冷蔵保管がマスト!★
【ワイン2】ほどではないけれど、保管環境の影響大。夏場は冷蔵保管を!
 
まずは日陰での保管。
これも果実味と香りの複雑さが落ちてしまう傾向に。一方で酸味や渋味はあまり変わらず、飲みにくくなったなあという感じでした。飲めないことはないけれど、あまりオススメできない結果に。
 
そして、日向の保管。
なんと、このワインはまだ抜栓していないのにコルクが上がってきていました。。開ける前から味わいの変化を想像させます。。
実際の味わいも、果実味や香りの複雑さがかなり落ちて、酸味も弱くなって感じました。逆に渋味やアルコール感、樽の香り、スパイスの香りや苦味が前面に出てきて、かなり飲み口が重いなあという印象。ワイン自体の色調はあまり変化していませんでしたが、口あたりにどこかザラザラしたような変な質感を感じました。夏場の日向での保管は絶対に避けた方がよさそう。

【ワイン4】~力強い味わいの赤ワイン~
カーニヴォ

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

トースト香やエスプレッソ、チョコレートのような香ばしい香りと、完熟したブドウを思わせる凝縮した果実味が特長の赤ワインです。酸味や渋味は穏やかでスムースな口あたりです。濃い色調で持っている要素も多いので、保管環境の影響は少ないかも。

 

【検証結果】

力強いワインでも保管環境の影響大。夏場の常温保管はNG。

 

まずは日陰での保管。

これは果実味と香りの複雑さ、酸味が落ちてしまう傾向。このワインはもともと、アルコール感や甘味を感じるワインなのですが、それがより際立ってしまった印象でした。また黒い果実のジャムのような果実味が感じられるけれど、ちょっともったりして飲みにくいなあという感じでした。飲めないことはないけれど、あまりオススメできない結果になりました。

 

そして、日向の保管。

これは意外にも、グラフでは日陰の保管とあまり変わらない結果になりました。グラフの要素以外では、アルコール感や甘味、果実を加熱したような印象が加わって、ポートワインのような違う種類のお酒を思わせる味わいも感じられました。飲み口はさらにもったり重い印象で、飲んだ後に妙にエグサが残って、とてもオススメできない結果に。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
今回の実験はかなりわかりやすい結果になりました。
夏場に赤ワインを保管する場合は、『タイプを問わずとにかく冷蔵!』した方がよさそうです。こうなってくると、これからの冬場の時期はどうなの?と気になってきますね。夏場よりは期待できそうですが、これも実際に試してみたいと思います!
 
【日陰の涼しそうな場所もよくないの?】
ちまたでは『床下収納や押入れの奥で保管すれば大丈夫。』というような説を耳にすることもありますが、夏場は日陰でも常温保管は避けた方がよさそうです。
 
【味わいの傾向は?】
日陰でも日向でも、常温で保管すると、果実味や香りの複雑さ、酸味がかなり落ちてしまう傾向がありました。一方で、アルコール感や樽の香り、渋味や苦味はあまり変化せず、相対的に強く感じる傾向がありました。冷蔵⇒日陰⇒日向 の順にその傾向は強く、どんどん重い飲み口になって飲みにくくなっていく感じでした。
 
【この次。】
今回は赤ワインの保管環境の影響を検証してみましたが、白ワインも用意しているので、次回はそれを試してみます!比較的酸化に強い赤ワインでも保管環境の影響をかなり受けていたので、白ワインはあまり期待できませんが、、何事も実際に試してみないとわかりません!白ワイン編もお楽しみに!
 

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