ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
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「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」ってほんと?
~肉編~

2016年05月

前回に続いて、今回は『肉料理とワインの相性』を検証します!

よく、ワインと料理の相性が語られるときに「魚には白ワイン、肉には赤ワイン」と、もはや常識のように言われていますが、前回、魚とワインの相性を試してみると、中にはこの常識をくつがえすような結果も得られました。

総勢8名のテイスターが、合わせてみておいしくなるかどうか、それぞれ主観で相性を評価しました。

さて、結果やいかに!?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【料理A】焼鳥(塩):モモ肉を塩で味付け
  4. 【料理B】焼鳥(タレ):モモ肉をしょうゆダレで味付け
  5. 【料理C】豚カツ:付属の中濃ソースで味付け
  6. 【料理D】ローストビーフ:付属の肉汁ベースの甘めのソースで味付け

▼ さっそくやってみた!!

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まずはワイン!タイプの異なる白ワイン3種類と、肉との相性が良いと言われる赤ワイン1種類で試してみました。
 
ワイン1.
フレッシュな果実味で軽めの白ワイン:
酸化防止剤無添加のおいしいワイン(白)
 
ワイン2.
酸味がしっかりした爽やかな辛口白ワイン:
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
 
ワイン3.
リッチな味わいの辛口白ワイン:
ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
 
ワイン4.
力強い味わいの赤ワイン:
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
 
そして、合わせる肉料理は次の4種類。近所のスーパーに売っているお惣菜を使いました。
 
 A:焼鳥(塩):モモ肉で塩で味付けしたもので試しました。
 B:焼鳥(タレ):モモ肉でしょうゆダレのもので試しました。
 C:豚カツ:付属の中濃ソースを付けて試しました。
 D:ローストビーフ:付属の肉汁ベースの甘めのソースを付けて試しました。
 
検証の仕方は、8人のメンバーで試飲・試食して、合わせることでおいしくなったかどうかを最高5点で数値化して比較しました。点数の基準は以下の通りです。
 
 1点:合わせる前には感じなかったネガティブな要素を感じるようになる。
 2点:合わせる前より、ワインもしくは料理の味わいがおいしくなくなったと感じる。
 3点:合わせる前と変わらない、予想通りの味わい。
 4点:合わせる前より、ワインもしくは料理の味わいがおいしくなったと感じる。
 5点:合わせる前には感じなかったポジティブな要素を感じるようになる。
 
さてさて、白ワインと肉料理の相性やいかに??
 

▼ ざっくりと結果まとめ!!

さっそく実際に料理とワインを合わせてみた結果は、
 
★★焼鳥(塩)は、白ワインがどれも高評価!
★★焼鳥(タレ)には、リッチな味わいの白ワインがぴったり!
★★豚カツには、リッチな味わいの白ワインと、力強い赤ワインがぴったり!
★★ローストビーフは、力強い赤ワインがぴったり!
 
ということに!
 
 
今回も肉には赤ワイン!とは必ずしも言えない結果になりました。魚も肉も、ワインの色はあまり気にせず、合わせてみてもよさそうですね。
 
  • 【A.焼鳥(塩)】
    ★定説に反して白ワインが高評価!★
    ワイン1は、ワインも鶏肉もどちらも邪魔せずしっかり味わいが感じられる印象。ワイン2は、ワインの酸味や香りがやや強めだけれど、ネガティブな印象はなくおいしく楽しめる。ワイン3は、ワインも鶏肉もお互いの特長が引き出される感じ。どちらも旨味や風味をしっかりと感じるように。ワイン4は、ワインの味わいが圧倒的に強くて、鶏肉の味わいがまったく感じられない。
  • 【B.焼鳥(タレ)】
    ★リッチな白のワイン3が相性ぴったり!★
    ワイン1は、ワインの甘味とタレの甘味が強めあう印象で、好みがわかれるところ。少し味わいが単調にも。ワイン2は、ワインの酸味や香りがやや強めで、鶏肉の旨味や風味を少し消してしまう感じ。 ワイン3は、ワインも鶏肉もお互いの特長が引き出されて、どちらの味わいもよりしっかりと感じられるように。ワイン4は、ワインの味わいの方が強すぎて、鶏肉の味わいを消してしまう感じ。
  • 【C.豚カツ】
    ★リッチな白のワイン3と赤のワイン4が相性ぴったり!★
    ワイン1,2は、ソースとの相性があまりよくなかった印象。ワインの甘味や苦味がかなり強調されてしまう。ワイン3は、ワインと豚肉の特長をお互いに引き出す感じ。ただ、これもソースとはあまり相性がよくない。ワイン4は、ソースとも相性よく、ワインの味わいも豚肉の味わいもしっかり感じられる。
  • 【D.ローストビーフ】
    ★定説通り赤のワイン4が相性ぴったり!白はイマイチ。★
    白のワイン1~3は、牛肉の血のニュアンスがぐっと出てきてしまって、ネガティブな印象。これはミスマッチに感じる。ワイン4は、ワインと牛肉が自然と調和して感じる。ワインの果実味や肉の旨味がともにしっかりと感じられる。
 
ワインごとの変化の仕方など、詳しくは「検証結果をくわしく!」で。
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
 

【料理A】焼鳥(塩):モモ肉を塩で味付け

【検証結果】
★定説に反して白ワインが高評価!★
 
ワイン1.軽めの辛口白ワイン:酸化防止剤無添加のおいしいワイン(白)
ワインの果実味や鶏肉の旨味、風味がどちらも調和しながらしっかり感じられる印象。ワインの軽やかさやフレッシュな酸味が、鶏肉の脂を流して後口をさっぱりとしてくれる。
 
ワイン2.爽やかな辛口白ワイン:ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
ワインの酸味や香りがやや強めで、鶏肉の旨味や風味を少しだけ消してしまう感じ。ただ、ネガティブな印象はなく、おいしく楽しめる。
 
ワイン3.リッチな味わいの辛口白ワイン:ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
ワインも鶏肉もお互いの特長が引き出される感じ。ワインの果実味をより豊かに感じて、鶏肉の旨味や香ばしさをしっかりと感じるように。ワインの酸味もほどよく後口を爽やかにしてくれる。
 
ワイン4.力強い赤ワイン:ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
ワインの味わいが圧倒的に強くて、鶏肉の味わいがまったく感じられない。。ワインの印象もタンニンが粗く飲み口が重い印象に。
 

【料理B】焼鳥(タレ):モモ肉をしょうゆダレで味付け

【検証結果】
★白のワイン3が相性ぴったり!★
 
ワイン1.軽めの辛口白ワイン:酸化防止剤無添加のおいしいワイン(白)
ワインの甘味とタレの甘味が強めあう印象で、好みがわかれるところ。甘味が強調される分、他の要素を感じにくくなって、少し味わいが単調に。
 
ワイン2.爽やかな辛口白ワイン:ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
焼鳥(塩)と同様に、ワインの酸味や香りがやや強めで、鶏肉の旨味や風味を少し消してしまう感じ。また、後口にワインの酸味が強く残るので、これも好みがわかれるところ。
 
ワイン3.リッチな味わいの辛口白ワイン:ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
焼鳥(塩)と同様に、ワインも鶏肉もお互いの特長が引き出される感じ。ワインの香りや果実味をより豊かに感じて、鶏肉の旨味やコク、香ばしさをしっかりと感じるように。
 
ワイン4.力強い赤ワイン:ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
ワインの味わいの方が強すぎて、これまた鶏肉の味わいを消してしまう感じ。。鶏肉の皮の脂が多い部分は、少し調和がとれてくる印象。

【料理C】豚カツ:付属の中濃ソースで味付け

【検証結果】
★ワイン3とワイン4が相性ぴったり!★
 
ワイン1.軽めの辛口白ワイン:酸化防止剤無添加のおいしいワイン(白)
ワイン2.爽やかな辛口白ワイン:ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
どちらのワインもソースとの相性があまりよくなかった印象。ワインの甘味や苦味、ハーブのような香りが浮いてしまう感じ。ソースなしであれば、揚げ物に柑橘をかけたときのようなフレッシュな印象で悪くない。
 
ワイン3.リッチな味わいの辛口白ワイン:ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
ワインと豚肉の特長を引き出す感じ。ワインに果実の熟れた印象が加わって、豚肉の旨味やコク、衣の香ばしさがより強く感じられる。これもソースとはあまり相性がよくなく、苦味が強調される。ソースはつけないほうがよいかも。
 
ワイン4.力強い赤ワイン:ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
ワインの味わいがやや強めなものの、豚肉の味わいをしっかり感じられる。ソースとも相性がよく、ワインやソースのコクやスパイス感が強調される印象。豚肉の脂身が多い部分はより調和がとれる。
 

【料理D】ローストビーフ:付属の肉汁ベースの甘めのソースで味付け

【検証結果】
★定説通り赤のワイン4が相性ぴったり!白はイマイチ。★
 
ワイン1.軽めの辛口白ワイン:酸化防止剤無添加のおいしいワイン(白)
ワイン2.爽やかな辛口白ワイン:ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
どちらのワインも牛肉の血のニュアンスがぐっと出てきてしまって、ネガティブな印象。ワインもジュースのように単調な味わいに感じる。これはミスマッチ。
 
ワイン3.リッチな味わいの辛口白ワイン:ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
白ワインの中では悪くないものの、やはり血のニュアンスが浮いてしまって気になるところ。ワインは果実の熟した感じが出てきて良い印象に感じる要素もある。
 
ワイン4.力強い赤ワイン:ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
ワインの味わいがまろやかに、肉の旨味、香りを素直に感じられる。脂身が多い部分とは、よりバランスがよく感じる。
 

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
結論としては、
★★焼鳥(塩)は、定説に反して白ワインが高評価!
★★焼鳥(タレ)には、ワイン3のリッチな味わいの白ワインがぴったり!
★★豚カツには、ワイン3のリッチな味わいの白ワインと、ワイン4の力強い赤ワインがぴったり!
★★ローストビーフは、定説通りワイン4の力強い赤ワインがぴったり!
 
必ずしも「肉には赤ワイン」とは言えない結果に。
 
血のニュアンスの強い牛肉は、やっぱり赤ワインの方がよさそうでしたが、それほど強くない鶏肉はむしろ白ワインと相性がよい結果になりました。鶏肉は肉の色が白っぽくて、牛肉は赤みがある色ですが、肉の色とワインの色を合わせてみるのもよいかもしれません。
 
【白ワインの方が相性が良いものが多いように見えるけど?】
今回試した赤ワインは力強いタイプのものだけだったため、比較的味わいが淡白な鶏肉ではミスマッチな結果も得られました。もう少し軽めのタイプの赤ワインであれば、鶏肉とも相性がよいかもしれません。また、血のニュアンスの強い羊肉や鴨肉などの肉であれば、力強いタイプの赤ワインがさらに健闘するかもしれません。今後検証したいと思います。
 
【この次。】
第6,7回「ワインを買ったらどこに保管しておけば良い??」で夏場の保管を実験しましたが、冬場だとどうなのか?を実験してみたいと思います。夏場は冷蔵保管しないとかなり味わいが落ちてしまう結果になりましたが、さてどんな結果になるのか!?乞うご期待!
 

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