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山崎蒸溜所 2016年10月27日

藤井工場長が語る、山崎蒸溜所30年の歩み。

山崎蒸溜所で、操業当時から変わらず受け継がれているものづくりの精神とは。また、革新はどのように行われてきたのか。1985年の入社以来、山崎蒸溜所内で仕事をしてきた藤井敬久工場長が、その30余年の歩みについて語ります。

ウイスキーづくりを「楽しむ姿勢」が生む、自由な発想。

山崎蒸溜所、藤井敬久工場長
山崎蒸溜所、藤井敬久工場長
1987~1988年の大改修で新たに導入した木桶発酵槽(上)と直火蒸溜釜(下)
1987~1988年の大改修で新たに導入した木桶発酵槽(上)と直火蒸溜釜(下)

「1985年といえば、ウイスキー需要がピークを迎えたのが1983年だったので、ちょうどその頃でした。私が入社して最初に配属されたのはウイスキー研究室という部署だったのですが、その『会社』らしからぬ雰囲気に驚いたことを今もとてもよく覚えています。

新入社員ゆえ、初めて経験する仕事の世界に、颯爽とした、スマートなイメージを抱いていたのですが、実際に出社してみると、ベテランの大先輩たちが、子供のように楽しそうに理科の実験のようなことを延々としている。まるで遊んでいるかのように。想像とあまりにも違い拍子抜けしましたが、仕事を続けるうち、『楽しんでやる』という姿勢や遊び心は、とても重要であると知りました。

というのも、ウイスキーづくりには自由な発想が必要だからです。ウイスキーづくりは科学的に解明できていない部分も多く、理論通りにはいかないため、それが成功するか失敗するかは挑戦してみないとわかりません。挑戦にはリスクが伴いますが、とにかくやってみようという気持ちが、新しいもの、よりよいものを生むのです。当時の先輩たちをはじめウイスキーづくりに携わる人間は自由な発想を持ち、挑戦する人たちであると言えますね。

そうして実験のように楽しげに見えた先輩たちの研究は、1987~1988年に蒸溜所を大改修した際、蒸溜釜や発酵槽の設計をはじめ多くの場所に活かされました。この大改修で新たに導入した木桶の発酵槽と直火蒸溜釜などが、今日の山崎蒸溜所のウイスキーの品質につながっていることは間違いありません」

引き継がれる、チャレンジスピリット。

鳥井信治郎像と藤井工場長
鳥井信治郎像と藤井工場長

「サントリー創業者・鳥井信治郎の『やってみなはれ』という言葉はよく知られているように、リスクを恐れて立ち止まるより、前に進む、挑戦することを選ぶ気質が山崎蒸溜所には根付いています。

この言葉には続きがあるのをご存知ですか? 『みとくんなはれ』、つまり『必ずやり遂げてみせますから、見ていてください』という言葉です。何でもかんでもむやみに『やってみろ』というのとは違う、リスクもしっかり頭に入れて十分に対策を練り、その上で最後までやり抜く覚悟を持って初めて『やってみなはれ』となるんです」

ウイスキーは時間のかかる製品。
だから新しいチャレンジは、いち早く始める。

「長くウイスキーの開発そのものに関わる仕事をしながら、時代の中での移り変わりを見てきたので、私自身、ウイスキーがとにかく時間のかかる製品だということをよく知っています。だからメンバーには、それを肝に銘じて仕事をするよう伝えています。

長い時間を要する仕事をする上で不可欠なのは、スタート時のデータをきちんと保管すること、十分なサンプルを確保すること、検証をしっかり行い記録を残すこと。そして何より、『これだ』と思ったことは、いち早く始めることが重要です。

一生懸命つくるのは当たり前ですが、ウイスキーは嗜好品、愉しく飲まれるものなので、それがつくられる現場も楽しい気持ちがあるべきとも常々話しています。その環境をよりよく整え、楽しさの中で志気を高め合う職場をつくることが、私の役目だと考えています」

山崎蒸溜所の品質を伝える、さらに一歩踏み込んだスタッフ研修をスタート。

案内を担当するスタッフの研修をスタートしました
案内を担当するスタッフの研修をスタートしました

「ちょうど今年の秋から、蒸溜所ツアーの案内を担当するスタッフを対象とした新しい蒸溜所内研修を始めました。単に知識を増やすのではなく、発酵中のもろみは時間の流れの中でどう変化するか、ブレンダー室に並ぶ原酒サンプルは、どのようにして膨大な樽の中から採取されるのかなど、現場で何が行われているかを細部にわたって見て、知って、感じるための研修です。

ご案内を担当するスタッフが、知識だけでなく、現場の実感をもって、この山崎蒸溜所で行われていることや、つくり手の想いをお伝えできれば、より皆さまに喜んでいただける。わざわざ遠くからお越しのお客様に、我々のウイスキーづくりにかける想いを、余すところなくお伝えできればと考えています」

「信頼を裏切るわけにはいかない」というメンバー全員の思い。

「ここ数年、山崎蒸溜所に諸外国からたくさんのお客様が来てくださるようになりました。夏休みシーズンなど、ここは海外なのではないかと錯覚するくらい、外国人のお客様がたくさんいらっしゃいます。

だから私が『世界でも高い評価をいただいているのだから……』などと話すまでもなく、メンバーひとりひとりに、自然にその事実が浸透している状態です。メンバーの仕事を見ていると、以前にも増して、厳密さ、厳格さを増しているように思います。

工場長の私が『そこまでやるのか』と感じるレベルです。その個々の仕事ぶりから、評価に対する信頼を裏切るわけにはいかないという思いが伝わってきます。山崎蒸溜所で継承されているものがあるとすると、こういう姿勢が現場にあまねく浸透していることだと思います」

美味を追求する、山崎蒸溜所。

2013年に導入した新蒸溜釜の設置の様子
2013年に導入した新蒸溜釜の設置の様子

「2013年に新しい蒸溜釜を導入しました。 (関連記事: 新蒸溜釜を導入して1年が経ちました。 ) この新蒸溜釜の導入は、山崎蒸溜所でより良い原酒を生み出し、日本、そして世界のウイスキーファンに山崎を愉しんでいただきたいという思いから決断したものです。

搬入だけで3日間を要する大掛かりな工事となり、現在の蒸溜所スタッフには初めてのことだったため、ひとつひとつの作業が緊張と不安の連続でしたが、それらが無事に3年稼動し、狙い通りに質の高い原酒を生み出してくれていて、ひと安心しています。製品そのもののクオリティも、もっともっと高みを目指せると確信しています。

ウイスキーは、需要に合わせて急に増産することができません。だからこそ、手に取ってくださったおひとりおひとりには、十分にご満足いただけるものをお届けしたいという気持ちで、各部門のメンバーが一丸となって仕事を続けているところです。

山崎を愛してくださる方々にご満足いただけるよう今後ともおいしいウイスキーづくりを目指してまいりますので、山崎蒸溜所、そしてシングルモルトウイスキー山崎をこれからも温かく見守っていただけたら幸いです」

藤井敬久(ふじいたかひさ)

  • 1962年大阪府生まれ。サントリースピリッツ株式会社 山崎蒸溜所工場長。1985年、サントリー株式会社に入社。ウイスキー研究室に配属。樽貯蔵技術開発、原酒開発を担当。2000年にブレンダー室に配属、2003年主席ブレンダーに。2010年より現職。

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