メインコンテンツへ

WHiSKY on the Web ウイスキーミュージアムウイスキーと文化映画とウイスキー男と女編 > 不機嫌な果実

ウイスキー映画大全


男と女編

『不機嫌な果実』

IMMORAL AFFAIRES
夫と不倫相手、出会うはずのない2人を結び付けた
スコットランドのシングル・モルト・ウイスキー

不機嫌な果実

(1997 日本)
監督/成瀬活雄
脚本/筒井ともみ
原作/林真理子
出演/南果歩、根津甚八、美木良介、鷲尾いさ子、鈴木一真

(ストーリー)
現代を生きる女性を描き続ける直木賞作家・林真理子。彼女が生み出すファム・ファタルは、都会のどこかをさまよっている現実味を持った女性ばかり。『不機嫌な果実』の主人公麻也子(南果歩)は結婚6年目を迎えた主婦。子供のいない彼女は秘書をしている。夫との生活にも飽きてきた麻也子は、昔の恋人と浮気をするが「私だけが損をしている」と思い込んでいて満たされない。そんなある日、麻也子は仕事先の会長の甥と知り合い、急激にひかれていく。

ある晩、麻也子の夫の航一(美木良介)と彼女の昔の恋人で、いまも浮気が進行中の野村(根津甚八)はお互いの素性を知らないまま、偶然バーで言葉を交わす。きっかけはスコットランド生まれのウイスキー。真っ赤な照明の店、カウンターの中に女性バーテンダー、キリコ(鷲尾いさ子)がいる。どこかミステリアスな彼女には大柄のワンピースがよく似合う。キリコが浮気相手の麻也子の古い友人と知って、話しかけながら飲んでいる野村。キリコが静かにグラスを磨いているとそこに航一が入って来る。

「すみません、この間のすごくおいしくて、あれを」とキリコに注文する。彼女はショット・グラスを航一の前に置いてシングルモルトウイスキーのボトルを取り出すとグラスに注いだ。ひと口飲んだ航一は「おいしいですね」と呟く。「お好きですか?」と聞いたキリコは、航一がうなずくと「お好きなだけ飲んでね」と彼の前にボトルを置いた。航一がウイスキーを飲んでいると近くにいた野村がウイスキーのボトルをみつめて、興味深そうに航一に声をかけた。野村は得意げに航一にこのウイスキーの故郷について説明する。スコットランドの南西部、アイラ島からほど近いジュラという小さな島、そこには昔ジョージ・オーウェルという名の作家がいたことも。

「どうですか、よろしかったら1杯?」とボトルを手にする航一に「何か催促したみたいで・・・。」とグラスを差し出す野村。バーではウイスキーを囲んで、見知らぬ者同士がその場限りの飲み友達になることもある。妻の不倫相手と妻に不倫された夫が、お互いの素性を知らずに飲むストレートウイスキーは、どこかスリリングな味わいがする。


【ねえ!キスしてよ】 / 目次へ / 【ぼくの美しい人だから】