The Chita Life 風と僕の好きなもの

Story

  • 海の見える丘のうえで暮らしたい、と昔から思っていた。たぶん道楽者と親戚中から言われていた叔父の影響だ。子供の頃から叔父の家に顔をだすのが好きだった。叔父の好きなものしかそこにはなかった。好きなものに囲まれるとそこにはなんだか素敵な風が吹く。大人になったら叔父のようになりたいと思っていた。誰にも言わなかったけど。
  • この家でいちばんのお気に入りはバルコニーだ。時間に追われて誰かと自分をくらべて生きていくことにあまり意味はないのかもな。ここにいるといつもそうやって自分を思い出す。
  • 料理は正直ヘタクソだ。好きだけど。僕のまわりには不思議と料理好きの友人が多い。僕の腕がいっこうにあがらないのは彼らがさっとつまみを作ってしまうからだ。と思うことにしている。

Items

風と僕の好きなもの

Records

  • 「センチメンタル・シティ・ロマンス」:叔父からもらった最初のレコードだ。今聴いてもまったく古くない。どうして古くなる歌とそうでない歌があるのだろう。このレコードをかけるとたいていの友達が反応をする。

  • 「空中散歩/フィッシュマンズ」:大好きなバンド。この浮遊感がたまらない。知多を飲みながら聴くならこれだ。フィッシュマンズを教えてくれたのは昔の彼女だ。誰かを好きになるとそのひとの好きなものを吸収するからいいね。

Records

  • 「HHhH」:自分がこんなに難しい本を読み切るとは思ってなかった。ストイックな作者がノンフィクションに立ち向かう。文学好きの女の子が絶賛していたから読んだんだけど。

  • 「あなたを選んでくれるもの」:ミランダジュライというひとは不思議なひとだ。こんな風に生きていけたらいいな。ある映画をつくるときの彼女らしい迷路の歩き方。

  • 「いちばんここに似合う人」:ミランダジュライを好きだというともてる。と思ったけどそうでもなかった。ミランダジュライを好きな女の子はどうやら僕みたいなタイプよりあいつみたいなタイプのほうが好きみたいだ。なんとなくこれを読むとわかる。

  • 「アラスカ―極北・生命の地図」:星野道夫という写真家の壮絶な写真集。自分の生きている場所以外にも世界はある。僕がここで知多を飲んでいるあいだにもアラスカでクジラが大きなジャンプをしているかもしれない。そういうことをこの人の写真は教えてくれる。

  • 「ストーナー」:なんにもおきない。ひとりの男が淡々と生きていく物語。なのに心が動く。あまりに美しい文章で。この翻訳が凄いのかもしれない。小説っていいなとあらためて思った。