バーボンウイスキー・エッセイ アメリカの歌が聴こえる

トラフィック・レボリューション

1783年、パリ条約によって独立国家として正式に承認されたアメリカ合衆国。東部13州で国ははじまった。そのなかでアパラチア山脈以西に土地を所有していたのはバージニア州とノースカロライナ州の2州だけであった。

1792年、バーボンウイスキーを生んだバージニア州ケンタッキー郡がケンタッキー州に昇格(15番目)。1796年にノースカロライナ州から分離したのがテネシー州(16番目)。つまり18世紀末までにアパラチア山脈以西での独立州はケンタッキーとテネシーの2州のみということになる。

前回、ウエスタン・サルーンの西部とは、どこの場所を指すのか述べた。19世紀初頭においては、いまでいうアメリカ西部は存在していなかったのである。では今回はアメリカが少しずつ拡大していった初期の話をしよう。

まずはグラスに「ノブクリーク シングルバレル」をどうぞ。ビーム家7代目フレッド・ノウが2011年に生んだ逸品。9年熟成樽のなかから選び抜いた1樽の究極の香味は、オークの香ばしさ、キャラメル様の甘さが特長的だ。アルコール度数60%の強さがありながら、柔らかい温もりがある。その香味に抱かれながら200年前のアメリカを見つめてみよう。

 

19世紀になり、1803年に17番目の州が誕生する。ケンタッキー州の北に位置するオハイオ州である。1812年、18番目は飛び地のように南にポツンとニューオーリンズのあるルイジアナ州が誕生する。アメリカという国が大きくステップアップしていくのはこの後のことになる。

きっかけは米英戦争(1812−1815)。1814年末に講和条約が結ばれ、その翌年からアメリカの躍動がはじまったといえるだろう。

この戦争により、イギリスとの貿易が途絶えてしまう。1815年からは国内生産を高めなくてはならず、工業が発達していく。一方で農業の充実を肥沃な内陸部に求めることになる。つまり西へ西へとフロンティアがすすんでいった。

1816年、ケンタッキー州の北、オハイオ州の西隣にインディアナ州。翌年、20番目はミシシッピ州。1818年にはシカゴのあるイリノイ州。その翌年、アラバマ州。1820年にはマサチューセッツ州から独立してメイン州。そして1821年、24番目に中西部の拠点となるセントルイスがあるミズーリ州が誕生した。

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