バーボンウイスキー・エッセイ アメリカの歌が聴こえる

シカゴ・マシーン

前回エッセイでMLBワールドシリーズにおいてシカゴ・カブスが1908年以来の優勝を成し遂げたことに触れた。今回は当時のシカゴの様子を眺めながら、アメリカが禁酒法制化へ至る、ひとつの要因となった話をしたい。

1920年代にはカポネを代表とするギャングの抗争で知られた都市ではあるが、それ以前の様子からもアメリカの歴史の一端が見えてくる。この話にはクラフトバーボン「ベイゼルヘイデン」を伴としよう。 歴史の流転を見つめるのには、バーボンの長い歴史を物語るエピソードを抱いたボトルがふさわしい。

これはひとりの男の名を冠したバーボンである。ベイゼル・ヘイデン。彼は1796年にケンタッキーで蒸溜を開始した。そして3代目のレイモンド・B・ヘイデンはシカゴが摩天楼の大都市へと変革した頃の1882年、尊敬する祖父への思いを込めて自社ブランドに「オールドグランダッド」と記す。

その110年後の1992年、ビーム家6代目ブッカー・ノウがライ麦比率の高い、独特の心地よいスパイシーさとハーブティーのような感覚を抱いたスムースな飲み口のクラフトバーボンを開発する。製品にはビーム家創業者と同じようにジャーマン・ドイツ系としてバーボンづくりに命をかけた、偉大なるオールドグランダッド「ベイゼルヘイデン」の名を冠した。


シカゴはアメリカ中西部イリノイ州(州都はスプリングフィールド)の大都市。現在の人口は、ニューヨーク、ロサンゼルスに次いで3番目で、約270万人。周辺の都市圏を含めると約950万人(2010年統計)という数になる。

イリノイ州の北東部、ミシガン湖の南西部先端にシカゴは位置している。五大湖とイリノイ川を経由してミシシッピ川と結ばれるのだが、良港であるシカゴは古くからその交通の要衝として栄えた。

1852年にはイリノイ・セントラル鉄道が開通して内陸交通の要としての地位がより高まる。小麦をはじめとする穀物、そして畜産関係の集積地として発達。さらには近隣での鉱業の発展もあり、1861年からの南北戦争時に人口は30万人に達して西部最大の都市に成長していた。

ところが1871年に大火によって壊滅的な状況に陥る。シカゴ大火で家を失った人は10万人にのぼった。この甚大な被害から立ち直るためにおこなった都市計画によって高層建築ラッシュが起こり、摩天楼発祥の地となる。木造を禁止し、レンガ、石、鉄を使用した建物を奨励。建築家はもちろんのこと建設業界にとって大市場となり、現在、シカゴを紹介する写真や映像に見られる壮観というか圧倒的な高層ビル群の姿を形成していくようになった。

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