バーボンウイスキー・エッセイ アメリカの歌が聴こえる

デスペラード

今年、2016年1月18日、グレン・フライというミュージシャンが世を去った。わたしがハイティーンの頃だった。ドン・ヘンリーらとともに結成したバンド、イーグルスでグレンの作った曲は洋楽を好む多くの若者たちを魅了した。

イーグルスは1972年、デビュー曲『テイク・イット・イージー』がいきなり大ヒット。さらに1973年に出した2枚目のアルバム『デスペラード』(Desperado/ならず者)は名盤であり、イーグルス・ファンでなくても引き込まれ、40年以上経った21世紀のいまもこころに沁みる名曲が収録されている。

ちなみにイーグルスの代名詞ともいえる『ホテル・カリフォルニア』は3年後の1976年に発表された。

さて『デスペラード』。このアルバムはちょっと変わっていて、全体がひとつの物語として展開されているコンセプト・アルバムと呼ばれるものだ。

主人公はビル・ドゥーリンとビル・ダルトンという実在の人物。ふたりはアメリカ犯罪史上に名を残すアウトローである。19世紀末、西部開拓が終わりを告げた頃に登場したギャング、ドゥーリン=ダルトン・ギャング団(別名ワイルドバンチ)を率いていた。

しかしながらアメリカが国として大きな発展を遂げつつあるなかで、銀行強盗、列車強盗を繰り返す時代遅れのギャング、20世紀になってマフィアの伸張やアル・カポネが登場し、近代的都市型犯罪が生まれる前の古風なギャングだった。

強盗団が結成されたのは1893年。ケンタッキー州の北に位置するインディアナ州を拠点として、カンザス州、ミズリー州、アーカンソー州、オクラホマ州で悪行を繰り返した。ただし、ならず者たちでありながら義賊的な愛され方もされ、一般市民が法の目をかいくぐって彼らを援助していたとも言われている。

イーグルスのアルバム『デスペラード』の1曲目タイトルがその『ドゥーリン=ダルトン』。物語の序章ともいえる曲で、ハモニカとアコースティックギターのイントロ、哀愁のあるメロディーがなんだかギャングの末路を暗示させる。

アルバムにはイーグルスのメッセージも感じられ、ドゥーリン=ダルトンの姿とカントリー・ロックのイメージの強い時代遅れの自分たちとを“ならず者”として投影し、そこから脱して新たなサウンドの世界へ挑もうとする姿が読み取れる。

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