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世界で初めてビール酵母の全ゲノム解読に成功

サントリービールの美味しさは、厳選された原料を、サントリーオリジナルの酵母を用いて発酵することによって生まれます。 しかし、酵母による発酵というプロセスには、まだまだ未解明の部分がたくさんあります。
そこでサントリーでは、ビール酵母の設計図である「ゲノム」を世界で初めて全て明らかにしました。
ヒトゲノムの解読によって、遺伝子診断による病気の予防やテーラーメード医療が可能になりつつあるように、ビール酵母ゲノムの解読によって、発酵中の酵母の全遺伝子の動きをモニタリングし、どの遺伝子がいつ、どれだけ働き、どのような味や香りに関わっているかを調べることが可能となりました。
その結果、目的とするビールの香味に最適な酵母を選択したり、遺伝子診断でビール製造現場の酵母の健康状態を把握することもできるようになったのです。

遺伝子、ゲノムとは?
遺伝子とは生物の部品である「タンパク質の設計図」で、ゲノムはそれら遺伝子全体の集まりです。つまり、ゲノムとは「生物全体の設計図」のことを意味しています。

下面発酵と上面発酵

現在、世界のビールの主流はラガータイプと呼ばれるビールで、世界の生産量の90%以上、日本では99%以上がこのラガータイプのビールです。このタイプのビールは下面ビール酵母※の働きによって造られています。
そこで、私達はこの下面ビール酵母であるSaccharomyces pastorianus Weihenstephan Nr.34のゲノム解読を行いました。
※ここではビール酵母=下面ビール酵母とします。

ビール酵母は2種類の酵母のハイブリッド

ビール酵母(学名:サッカロミセスパストリアヌス、Saccharomycespastorianus)は、パン酵母や清酒酵母に代表されるサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)と、その近縁種であるサッカロミセスユーバヤヌス(Saccharomyceseubayanus)とのハイブリッドで、とても複雑なゲノム構造を持っていることが明らかになりました。

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細胞融合のイラスト
自然界で偶然に起こった細胞融合

世界初!ビール酵母DNAマイクロアレイの開発

DNAマイクロアレイとは、数センチ角内に対象となる生物の遺伝子の断片を貼り付けたチップのこと(右写真)で、非常に多くの遺伝子の働きを一度に解析することができます。
私たちは解読されたゲノム情報を基に、ビール酵母の全遺伝子(約12,000)の働きをモニタリングすることのできるDNAマイクロアレイを開発しました。
これを用いれば、ビール酵母の遺伝子とビールの味と香りの関係を解明していくことが可能になります。
また、 このDNAマイクロアレイを用いた解析を行うことによって、ビール酵母を分類したり、遺伝子診断によるゲノム構造変化を調べることができるようになりました。

DNAマクロアレイ
DNAマクロアレイ
美味しいビールを造るための酵母を遺伝子診断で選べるようになります

ビール醸造に関与している遺伝子と、その機能を明らかにすることによって、美味しいビールを造る酵母を選択したり、発酵条件を決めることができるようになります。その一例として、ビール酵母特有の遺伝子(非Sc型SSU1)が、“天然の香味安定剤”である亜硫酸の生成に大きく寄与していることがわかりました。

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酵母の健康診断(遺伝子診断)ができるようになりました

ゲノム解読によって、ビール酵母がゲノムレベルで変化しやすい生物であるという事がわかってきました。ビール製造現場で酵母のゲノム構造変化が起きると、発酵遅延や良くない香味が発生する可能性があります。
そこでサントリーでは、ビール酵母DNAマイクロアレイを用いて、酵母のゲノム構造変化をモニタリングする方法を確立しました。
さらに、DNAマイクロアレイよりも迅速かつ簡便に酵母のゲノム構造変化を検出できる方法を開発し、ビール製造現場でその変化を監視するシステムの構築を行いました。
このような、いわば「酵母の健康診断」を行うことにより、よりよい状態の酵母でビールを造ることができ、お客様により美味しいビールを安定してお届けできるようになりました。

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※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

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