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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

沖縄県 沖縄市 1992年受賞

琉球國祭り太鼓
全島の若者を組織し、伝統芸能を独自にアレンジ・発展させた太鼓団体

代表:照屋 辰弘 氏

1999年11月更新

写真
若者による新しい芸能

 「腕が折れるか、バチが折れるか、二つに一つだ!」

 会長の照屋氏が檄を飛ばすと、それに応えて、揃いの装束に身を包んだ若者たちが、エネルギッシュで勇壮な太鼓を披露する。きびきびしたバチさばきと真剣な眼差しで、沖縄の若いエネルギーと溌剌とした心意気を太鼓にぶつける「琉球國祭り太鼓」は、沖縄市を中心に県内外で幅広い活動を展開する太鼓団体である。結成は1982年。現在、県内に15支部500名の会員を擁し、長崎・大阪・東京など県外に8支部、アメリカ・ブラジルなど海外5支部が活動している。女性会員も多く、平均年齢は22〜3歳、広い若者層の参加に支えられている。

 沖縄には古くから「エイサー」と呼ばれる盆踊りがある。旧暦7月15日の夜、青年男女が太鼓や三線にのせて踊りながら地域の家々を一軒一軒めぐり、祖先の霊を慰め、家庭繁栄と健康を祈願する伝統行事である。このエイサーを土台に、「祭り太鼓」は新しい感覚による創作を試みる。音楽にはロック、ポップスのリズムをいかし、振りつけは空手、棒術などから取り入れた。こうした独特のアレンジと、大太鼓をメインに100名規模で打ち鳴らす迫力は観客を魅了して止まない。

 沖縄における太鼓の特徴は、演奏技術を研鑚する「技」というより、集団で演奏する事でえられる仲間意識、交流の輪の広がりを大切にする「舞」の太鼓である。首里城正殿に架けられた梵鐘の銘文には「万国津梁(琉球国は世界の掛橋で、人々をあたたかく迎える)」と刻まれているが、その気概をもって年間100回をこえる県内の各種イベントに出演し、日本各地の祭り、地方博にも応援に駆けつける。また、和太鼓、バレエ、ジャズダンスの団体とのジョイントなどジャンルをこえて新たな試みに挑戦し、一方で地域の福祉施設、結婚式などにはボランティアで足を運ぶなど地道な活動も続けている。若者のエネルギーは時として、車やバイクの暴走行為という歪んだ形で表れることもあるが、太鼓によって「ハンドルをバチに」持ちかえさせ、その健全な育成に貢献しているとの自負も持っている。

 その熱演ぶりは全島的な太鼓ブームに火を付け、「祭り太鼓」に刺激を受けた新しい太鼓団体が次々に誕生している。89年には県内外の太鼓団体が一堂に会し競演した「第1回国際太鼓フェスティバル」が開催され、その参加団体が結束して「沖縄太鼓連盟」が誕生、横のネットワークも広がりつつある。

 沖縄復帰から 20周年を迎えた92年、沖縄の若者の気概を全国にアピールすべく、「琉球國風軍団」計画を発表した「祭り太鼓」。新装なった首里城の開園行事で、500名の若者が太鼓を響き渡らせ、沖縄文化の新たな胎動を示し、世界に向けて、「万国津梁」の風を巻きおこした。

 94年に琉球新報社の「社会活動賞」、 95年に「沖縄県文化協会長賞」、96年に「沖縄県観光功労賞」受賞、98年にアルゼンチン沖縄県人移住90周年祭典、99年に、ペルー日本人移住100周年祭典、ロサンゼルス沖縄県人移住90周年祭典に出演など、活動の輪は世界に広がりつつある。

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