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2009年4月 <ご参考資料> サントリーホールディングス株式会社
ウイスキー中から抗アレルギー成分の
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| ▽発表演題 | 「ウイスキーコンジェナーの抗アレルギー作用」 | |
| ▽発表者 | (財)岐阜県国際バイオ研究所 静岡県立大学 サントリー |
伊藤智広・大口健司・野澤義則・赤尾幸博 糠谷東雄・脇本敏幸 諏訪芳秀・小池美奈子・塚根まり子 |
| 今回の発表骨子は以下のとおりです。 | ||
<研究の背景>
近年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増加しており、日常食品の中でアレルギー疾患を増悪させたり緩和させる成分にも注目が集まるようになりました。この結果、甜茶など種々の植物が抗アレルギー作用を有することが明らかにされ、これらを活用した飲料等が開発されています。
お酒は、含まれるアルコールがアレルギー疾患を増悪させるため、予防や治療上、あるいは患者の体験からも摂取を避けられてきました。このため、お酒に含まれている抗アレルギー成分は、多くの探索研究から抜け落ちてきたのが実情です。
ウイスキーは、オーク材でつくられた樽の中で長時間じっくりと熟成させることで、芳香とまろやかさをもち、深い琥珀色へと生まれかわります。この「樽熟成」の間に、樽から滲み出したオーク材成分は複雑な反応を重ね、ポリフェノール類をはじめとする多様な成分(コンジェナー)が生成します。こうしたコンジェナーの中に、抗アレルギー作用をもつ成分が含まれていることは明らかにされていましたが、それが何であるのかは不明でした。
多くの植物からの抗アレルギー成分の探索が一巡した今、ウイスキーのポリフェノールに含まれる抗アレルギー素材を同定し、その構造を明らかにすることにより、その潜在的な有用性を検討しました。
<今回の研究の目的と成果>
はじめに、ウイスキー中のコンジェナーについてその抗アレルギー成分を調べると、リオニレシノールとシリンガアルデヒドが強い抗アレルギー作用を持つ代表的な成分として構造決定されました(図1)。

| 実験1 |
ラットの好塩基球細胞をアレルゲンで刺激すると、ヒスタミンやプロテアーゼなどアレルギー反応をひき起こす“ケミカルメディエーター”が放出されます。ウイスキー中から活性成分として同定したリオニレシノール、シリンガアルデヒドは、この“ケミカルメディエーター”放出によるアレルギー反応を抑えることが分かりました(図2)。また、この活性は抗アレルギー作用のある医薬品として使用されているクロモグリク酸ナトリウムと同等でした。

| 実験2 |
ラットの好塩基球細胞をアレルゲンで刺激し、その細胞内でリオニレシノール、シリンガアルデヒドをはじめとするウイスキー成分がどのようなメカニズムでアレルギー反応を抑えるのかを調べました。細胞内の情報伝達系の解析実験から、(1)アレルギー反応をひき起こすSykという蛋白質の活性化(リン酸化)を抑える作用があること、(2)同じくアレルギー反応を増悪させる、細胞内へのカルシウム流入を抑える作用があること、(3)アレルギー反応の原因となる、活性酸素を発生させるNADPH酸化酵素(NOX)の働きを抑えていることがそれぞれ明らかになりました。(図3)

| 実験3 |
ラットに、アレルゲンを注入しアレルゲンがひき起こす皮膚反応を調べました。その際、シリンガアルデヒド、リオニレシノールを経口投与すると、ともに血管透過性※の亢進による皮膚アレルギー反応を強く抑制しました(図4参照)。
| ※ 血管透過性・・・・ | 通常は血管壁を通過しない、蛋白などの高分子が血管壁から外へ出てしまう病的反応。これにより紅斑、発赤、浮腫、痒みなどが起きます。 |

| まとめ |
今回の共同研究では、ウイスキー中にその存在が予測されていた抗アレルギー成分を同定し、その構造を明らかにしました。本研究では、それらの抗アレルギー成分とは、リオニレシノールとシリンガアルデヒドに代表される熟成成分であることが示され、その作用メカニズムを明らかにしました。これら2成分の抗アレルギー作用の強さは、動物実験では現在使用されている医薬品、DSCG(クロモグリク酸・2Na)と同程度であることが判明しました。花粉症などアレルギー疾患へ予防あるいは治療効果のある食品素材として期待されます。
以上