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No.9299 (2005.11.10)
アラキドン酸とDHAの摂取による
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| ▼演題 | “Arachidonic acid supplementation improves cognitive functions in patients with organic brain lesions” |
| ▼発表者 | 金沢大学大学院医学系研究科再生脳外科学教室 小谷 進 |
<研究の背景>
アラキドン酸とDHAは脳を構成する重要な栄養素として知られていますが、加齢とともに脳内のアラキドン酸とDHAの量は減少することが報告されています。しかし老齢動物(ラット)にアラキドン酸を摂取させることにより、脳内のアラキドン酸の量が増加し、若齢動物(ラット)と同程度に回復すること、そして老化にともなう脳機能の低下が改善されることを発表しました。(日本動物心理学会・日本基礎心理学会合同大会 2001年9月)
また、60歳以上の健常高年者がアラキドン酸を摂取することにより、認知能力(情報処理能力、集中力)が改善することも確認し、発表しています。(日本栄養・食糧学会シンポジウム 2003年5月)
今回、さらに研究を進展させ、アラキドン酸とDHAを摂取することにより、高次脳機能、特に記憶力にどのような効果が得られるかをアーバンス神経心理テスト※2を用いて検討しました。
<実験方法>
もの忘れを訴える60歳以上の正常高年者(14人)に、アラキドン酸およびDHA含有油脂(アラキドン酸 240mg、DHA 240mg相当量)を摂取させ、3ヶ月後にアーバンス神経心理テストによって、即時記憶、短期記憶、注意(集中力)、言語、視空間/構成の認知に関する高次脳機能を調べました。
また、同様の方法で脳卒中や脳挫傷等の後遺症により、5年以上高次脳機能障害が改善しなかった器質的脳障害者(10人)についても調べました。
<結果>
もの忘れを訴える60歳以上の正常な高年者を対象とした試験では、アラキドン酸およびDHA含有油脂を摂取することにより、即時記憶と集中力が摂取前に比べて有意に改善することが確認されました(図1)。このことより、加齢とともに低下しがちな高年者の脳機能、特に記憶力と集中力を改善するために、アラキドン酸とDHAを摂取する意義があることが明らかとなりました。

また、脳卒中や脳挫傷等の後遺症として高次脳機能障害が残り、5年以上にわたり症状が改善しなかった器質的脳障害患者を対象とした試験では、摂取前に比べて即時記憶と短期記憶が有意に改善することが確認されました。(図2)。このことにより、器質的脳障害を持つ方の高次脳機能、特に記憶力を改善するために、アラキドン酸とDHAを摂取する意義があることが明らかとなりました。

※1 「アラキドン酸」とは
アラキドン酸はDHA(ドコサヘキサエン酸)と同様に、脳・肝臓・皮膚などの身体のあらゆる組織を構成する主要な多価不飽和脂肪酸のひとつです。食品中には肉、卵、魚などに多く含まれており、食事から摂取する必要がある『必須脂肪酸』のひとつとして知られています。アラキドン酸はDHAと同様に母乳にも含まれており、乳幼児の成長、発育には欠かせない栄養素であることが明らかにされていますが、最近、このアラキドン酸が高齢者の脳の働き(認知能力)にも重要な役割を果たすことが明らかにされ、乳幼児だけではなく高齢者にとっての脳の栄養素として注目されています。
<サントリーとアラキドン酸について>
サントリー(株)は1989年に微生物発酵技術を用いて、アラキドン酸を高濃度含有する油脂の製造に成功しました。その結果、動物やヒトが摂取することが可能となり、従来知られていなかったアラキドン酸の様々な効能が明らかになってきました。
※2 「アーバンス神経心理テスト」とは
1998年にC. Randolph らが開発、標準化した心理検査です。短時間で、簡便かつ高精度に、高次脳機能障害等の評価を行うことができ、即時記憶、短期記憶、注意(集中力)、言語、視空間/構成の5つの認知領域別に数値化することができます。この評価系により、即時記憶、短期記憶、集中力が、加齢とともに著しく低下することが金沢大学の研究グループにより明らかにされています(図3)。

▼Society for Neuroscienceについて
Society for Neuroscienceは、脳・神経系に関する研究の進展や情報提供・教育を目的として1970年に設立された、脳や神経系に関する研究者による非営利目的の学術団体です。現在の会員数は全世界で37,000名以上であり、脳に関する研究に携わる科学者の組織としては、世界で最も大きな組織です。
以上
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