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2005年6月 <ご参考資料> サントリー株式会社
ウイスキー中の糖尿病合併症を予防する可能性のある
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| ▼演題 | 「ウイスキー中のアルドース還元酵素阻害活性成分」 |
| ▼発表者 | 静岡県立大学薬学部 助教授 糠谷東雄 福山大学生命工学部 助教授 原口博行 京都府立医科大学医学部 教授 矢部千尋 サントリー(株)諏訪芳秀 根本明日香 輿水精一 |
<研究の背景>
ウイスキーは、オーク材でつくられた樽の中で長期間熟成させることで、芳香とまろやかさをもち、深い琥珀色へと生まれ変わります。この「樽熟成」の間に、樽から浸出したオーク材成分は複雑な反応を重ね、ポリフェノール類をはじめとする多様な成分を生み出すことが知られています。当社ではそれらの成分が健康増進に関わる生理活性について研究を続けています。
<今回の研究の目的>
過去においては、飲酒は2型糖尿病の増悪因子とされてきました。しかし、近年では欧米あるいは国内の複数の疫学研究により飲酒習慣はむしろ2型糖尿病の発症に対して予防的に働き、特に適量飲酒が発症リスクを軽減することが実証されてきました。
糖尿病では合併症(糖尿病性網膜症、同腎症、同神経症)が病状を深刻化させます。本共同研究では、ウイスキーの適量飲酒が糖尿病やその合併症の発症を予防する可能性を検証する目的で始められました。昨年の日本糖尿病合併症学会で、ウイスキーが糖尿病合併症の発症を加速・増悪させるアルドース還元酵素活性を抑制する作用を持ち、その作用はお茶や他の種類のお酒に比べて強いこと、ウイスキーの樽熟成期間が長いほど作用が増加することを明らかにしました。
今回の研究では、こうした作用を持つウイスキー中の成分を単離し、糖尿病合併症を引き起こしやすい高グルコース(高血糖)条件下で赤血球中のアルドース還元酵素を介して生成するソルビトールとこの成分の関係に着目しました。
図1 アルドース還元酵素活性による糖尿病合併症発症のメカニズム
▼実験1 アルドース還元酵素阻害活性成分の単離・構造決定
<方法と結果>
ウイスキーコンジェナー(乾燥物)をアルドース還元酵素の阻害作用を指標として分画を行なった結果、活性物質を単離することに成功しました。この構造を解析したところ、ポリフェノールの一種のエラグ酸と決定されました。(図2)さらに、アルドース還元酵素の阻害活性の強さを、もとのウイスキーコンジェナー、およびEpalrestat(アルドース還元酵素阻害薬(医薬品))と比較したところ、ウイスキーコンジェナーの約40倍の活性を示すことが明らかになりました。(図3)また、総活性に対する寄与率は約30%と算出されました。
(図2)エラグ酸構造式
(図3)単離成分のアルドース還元酵素阻害作用
▼実験2 エラグ酸の高グルコース下赤血球ソルビトール蓄積阻害効果
<方法と結果>
ラット単離赤血球を高濃度グルコースと活性成分(エラグ酸)を含む培地で3時間培養し、糖尿病合併症の発症に関わるソルビトール蓄積量を定量しました。その結果、エラグ酸は、ソルビトールの蓄積量を抑制することが示されました。(図4)
(図4)活性成分エラグ酸のソルビトール蓄積阻害作用
▼まとめ
ウイスキーから強いアルドース還元酵素阻害活性を示す物質を単離し、構造決定することに成功し、樽由来のポリフェノールの一種、エラグ酸であることが決定されました。さらに、この成分が糖尿病合併症の発症に関わる細胞内ソルビトール蓄積を抑制することを示しました。このような生理活性を有する成分を含む食品の長期摂取によって、糖尿病合併症の発症が抑制される可能性があります。
▼日本糖尿病学会について
日本糖尿病学会は、糖尿病に関する学理及び応用の研究調査並びにそれについての発表、知識の交換、情報の提供等を行い、糖尿病に関する研究の進歩、知識の普及を図り、もって我が国における学術の発展に寄与することを目的として 1957年に設立され、会員数は12,000名を超えます。今回は、第48回学術集会となります。
以上
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