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(参考資料)
新サントリー美術館の建築に際して
「伝統」と「現代」の融合が、この美術館の建築的テーマである。
公園に面して建つ外観は、白い単純な形をした箱のように見えるだろう。公園の緑と清潔な白い色は美しいコントラストを形成する。さらに目をこらして細部を眺めれば、この箱の表面は繊細な縦格子に覆われ、その背後にはガラスの開口部が控えている。透明なガラスは、美術館を訪れた人間と公園の緑を結びつけ、縦格子は、プライバシーを確保して美術館を静溢な空気で満たし、さらに建物を日射から守るための日除けの役割もはたしている。日本建築の伝統的なヴォキャブラリーである縦格子を、現代のエコロジカルな技術として再生させようという試みでもある。縦格子は白磁を思わせるクリーンな表面を持ち、このテクスチュアはこの美術館の収蔵品の器たちが有する、豊かな艶を連想させるであろう。
美術館の最上階には広々とした木製デッキのテラスと、ガラス張りのサロンがある。サントリー美術館は、単にアートを展示するだけではなく、アートを依り所にして、人々が集い、語り合う場所でもある。このテラスとサロンは、そのために用意された空間である。ある時は眼下の公園の緑とともに、またある時はかなたにひろがる東京の夜景をさかなにして、アートを愛する人々がこの空間で語り合い、時を楽しむのである。サントリー美術館は都市の喧騒の中にこのような静かなやすらぎの空間を提供する役割も果すであろう。それは未来の美術館の、新しいあり方を予感させるものになるかもしれない。
隈 研吾
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