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No.8724 (2004. 3. 29)
ウイスキーやブランデー中に
メラニン生成を強く抑制する成分の存在を発見
〜 サントリーと岐阜県国際バイオ研究所の共同研究を日本薬学会で発表 〜
サントリー(株)は、(財)岐阜県国際バイオ研究所との共同研究でウイスキーやブランデー中に細胞内のメラニン生成を強く抑制する成分の存在を発見しました。その研究成果は、日本薬学会(3月29日〜31日、大阪)で発表します。
今回の発表骨子は以下のとおりです。
▼発表演題
「ブラウンスピリッツのチロシナーゼ活性阻害作用」
発表者 (財)岐阜県国際バイオ研究所 大口健司
サントリー(株)研究センター部長 諏訪芳秀 ほか
●チロシナーゼとは
肌におけるシミやソバカスの原因となるメラニン色素は、皮膚細胞内でチロシナーゼと呼ばれる酵素の働きによって作られ、チロシナーゼは紫外線を受けると活性化します。このチロシナーゼを阻害することでメラニンの定着を防止することができ、美白効果が得られることがわかっています。
▼研究の背景
ブラウンスピリッツとも呼ばれるウイスキーやブランデーは、オーク材でつくられた樽の中で長期間熟成させることで、芳香とまろやかさをもち、深い琥珀色へと生まれ変わります。この「樽熟成」の間に、樽から浸出したオーク材成分は複雑な反応を重ね、ポリフェノール類をはじめとする多様な成分を生み出すことが知られていますが、いまだ完全には解明されていません。当社ではそれらの成分が健康増進に関わる生理活性について研究を続けています。今回は、ウイスキーやブランデーと、メラニンに変化させる酵素であるチロシナーゼの活性との関係性について研究しました。
▼実験1 チロシナーゼ活性阻害作用について酒類間での比較検討
| <方法> |
マウスのメラニン色素細胞からチロシナーゼ酵素を取り出し、酒類コンジェナー(お酒の中から水とアルコールを除いた粉末状のもの)を加え、メラニン生成がどの程
度抑えられるかを調べるため、チロシナーゼ活性の50%を抑制するのに必要な濃度(IC50)※1をそれぞれ測定しました。 |
| ※1 IC50: |
チロシナーゼ活性の50%を抑制するのに必要なサンプル濃度のこと。IC50の値が小さいほど阻害活性は高いといえる。 |
| <結果> |
酒類のなかでも、ウイスキー、ブランデーにとりわけ高いチロシナーゼ阻害活性が認められました。(グラフ1) |
(グラフ1) 酒類別チロシナーゼ阻害活性
▼実験2 チロシナーゼ活性抑制作用とウイスキー樽熟成年数との関連
| <方法> |
実験1の結果で、チロシナーゼ活性を抑える作用が最も強かったウイスキーを対象
に調べました。熟成期間の異なるウイスキーのコンジェナーを、チロシナーゼの酵
素反応液に添加し、これらのチロシナーゼ活性を調べました。 |
| <結果> |
チロシナーゼの阻害活性は、オーク樽中での熟成期間と相関しており、熟成期間が
長いほど作用が大きいことが確認されました。(グラフ2) |
(グラフ2) 熟成年数別チロシナーゼ阻害活性
▼実験3 ウイスキーと細胞内メラニン量の関係
| <方法> |
マウスのメラニン色素細胞を培養し、メラニン生成を亢進させるホルモンの一種、α-MSH※2を加え、細胞内でのメラニン合成が一層進む状態と、α-MSHを加えない状態で、チロシナーゼ阻害活性が強かった熟成18年のウイスキーを添加(0〜200ug/ml)して、色素細胞内でのメラニン量の変動を調べました。 |
| ※2 α-MSH: |
α-メラノサイト刺激ホルモン。 表皮のケラチノサイトが分泌するホルモン。メラニン色素細胞(メラノサイト)に働きかけ、チロシナーゼを活性化し色素細胞内でメラニン生合成が促進する方向で作用する。 |
| <結果> |
ウイスキーには、メラニン生成の抑制作用があることが細胞内メラニン量の測定でも確認できました。すなわち、ウイスキー中の強いチロシナーゼ活性阻害成分は、
メラニン色素細胞内に入り込み、そこでのメラニン生合成量を抑える働きをもつことが分かりました。(グラフ3) |
(グラフ3) 長期熟成ウイスキーのメラニン生成抑制作用
▼まとめ
本研究により、長期間にわたる樽熟成という工程を経たウイスキーやブランデーにはチロシナーゼの働きを強く抑制する作用が、他の酒類と比較してとりわけ強くあることが明らかになりました。また、ウイスキーの樽熟成期間が長いほどチロシナーゼ活性抑制作用が強いことも確認されました。このことから、チロシナーゼ活性を抑制する成分は、オーク樽による熟成期間中に生じると考えられることが示唆されました。
また、ウイスキーはチロシナーゼ活性の抑制だけでなく、メラニン色素細胞内に到達し、そこでメラニン生成の抑制に影響を及ぼす働きがあることが確認されました。
▼日本薬学会について
日本薬学会は「くすり」に関係する研究者や技術者が、学術上の情報交換を行い、学術文化の発展を目的とする学術団体です。新しい医薬品の開発・製造・安全性の確認、臨床への供給など薬を使ってさまざまな病気を克服するという目的のもと、2万人を超える会員の情報源として機能しています。日本薬学会は、さらに新しい未来を創造しながら、生命現象の解明と医薬品の適正使用をめざして会員とともに人類の健康と福祉のための努力を通して、着実な発展を続けています。
以 上
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