No.7951 (2001. 6. 29)
サントリーの技術陣が「アメリカ醸造化学者学会 最優秀賞」を受賞
― 「電子スピン共鳴法を用いたビール香味安定性の改善についての
発酵プロセスにおける技術的アプローチ」 ―
サントリー(株)商品開発研究所ビールグループおよび基礎研究所の技術陣(内田雅昭、小野美代子)は、「アメリカ醸造化学者学会」において2000年度に発表した研究論文「電子スピン共鳴法※を用いたビール香味安定性の改善についての発酵プロセスにおける技術的アプローチ」により、年間で最優秀の論文に与えられる『エリック・ニーン賞』を受賞し、6月27日(水)に行われた同学会年次大会にて表彰されました。
また、小野美代子はサントリー在職中の功績に対して、日本人としては初めて「アメリカ醸造化学者学会」より『特別功労賞』を受賞しました。
(小野美代子は2000年5月に当社を定年退職しました)
今回の受賞は、96年に同学会で発表した研究「電子スピン共鳴法を用いたビール香味安定性の迅速予測法」を実際のビール醸造工程に活用し、「抗酸化力」に優れたビールを製造する方法を見出したことが高い評価を得たものです。
「電子スピン共鳴法」による分析法を用いて、醸造工程中のビールの「抗酸化力」を評価し、特に発酵プロセスにおいて、発酵に必要な酵母を増殖させるために与えられる空気の量、空気を与えるタイミングを最適化することでビールの「抗酸化力」を飛躍的に向上させることが可能になりました。
この方法は当社の全てのビール工場に導入されており、「抗酸化力」を増強させ、おいしさを長持ちさせるビールづくりにつながっています。
ビールはつくりたてが一番と言われています。古くなったビールが爽快でなくなるのは、ビールが酸化劣化したためと考えられています。当社は、この酸化劣化反応のメカニズムに着目し、活性酸素生成を抑える力「抗酸化力」をもったビールをつくれば、ビールの香味安定性が向上し、おいしさを長持ちさせることにつながると考えました。
1996年当社研究チームは、「抗酸化力」が強ければ強いほどビールの香味安定性が向上しおいしさが長持ちすることを明らかにしたうえで、「電子スピン共鳴法」を用いてビールの「抗酸化力」を測定することに成功しました。これにより、製造直後のビールでも市場での香味安定性を迅速に予測することが可能となりました。この研究は、96年度の「アメリカ醸造化学者学会 最優秀賞」を受賞しています。
| ※ 電子スピン共鳴法: |
マイクロ波を使った分光器で、活性酸素や非常に反応性の高くなった分子を特異的に分析できる装置を用いる方法 |
― 記 ―
| ▼学 会 名 |
「アメリカ醸造化学者学会/ASBC
(The American Society of Brewing Chemists)」 |
| * |
1934年、アメリカのビール分析法を統一するために設立されました。ビール醸造のさまざまな課題を化学・分析技術の面から研究し、より良い品質のビールを目指す各ビールメーカーの拠り所となっています。また、「ヨーロッパ醸造協議会/EBC(European Brewing Convention)」、「汎米ビール醸造学会/MBAA(Master Brewers Association of the Americas)」とならぶ、ビールに関する世界で最も権威のある国際学会のひとつとされています。 |
| ▼受賞タイトル |
(1)『エリック・ニーン賞』
― Eric−Kneen Memorial Award for the year 2001 ―
(2)『特別功労賞』
― Award Acknowledges Exceptional Lifetime
Achievement in the Science of Brewing ― |
| ▼受賞者名 |
(1)内田雅昭、小野美代子
(2)小野美代子 |
| ▼対象論文 |
| 「電子スピン共鳴法を用いたビール香味安定性の改善についての発酵プロセスにおける技術的アプローチ」 |
以 上
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