グローバル ブリーディング&リソースセンターへようこそ

「花」という製品づくり

グローバル ブリーディング&リソースセンターでのわたしたちの仕事は、大きくわけて2つあります。1つは、新しい品種を開発すること。もう1つは、その品種を増やすこと。新品種の開発には、交配に長い時間をかける熱意と根気、どんな花をつくるかというアイデアと創造性、そして組織培養や属間交配など最先端のバイオ技術も必要です。そして新しい花ができると、試験官の中で培養し、ウイルスや病気のない培養苗(SE)※1をつくります。それを温室の中で大きくして、屋外の環境にも慣れさせます。
この培養苗を日本だけでなくヨーロッパやアメリカに振り分け、各地で増やしてもらうのです。みなさんのお庭に届く苗や鉢花は、この培養苗からつくられた母株からとった枝をさし木にして増やしたものです。

環境の厳しさこそ最適の条件

  • グローバル ブリーディング&リソースセンターがあるのは琵琶湖の南東ですが、気候は日本海側に近く、晩秋から3月くらいまで、冬のあいだはほとんどずっと曇り空です。雪も50cmくらい積もります。夏は気温が35℃を超え、梅雨は湿度100%近い日が2か月近く続きます。花を育てるにはかなり過酷な環境です。
    けれども、この環境こそが新品種の開発にはむしろ最適なのです。ここで開発された数千もの品種は何度も試験栽培され、ほんのわずかの優れたものだけが選抜されます。たとえどんなに魅力的な花でも、栽培できる環境が限られているものや、大量生産に向かないものは容赦なく外していきます。それを見定める条件のひとつが、人の力ではつくることのできない自然の環境です。
    近江の厳しい環境でもちゃんと咲く花なら、ふつうに人が住んでいるような場所であれば世界中のどこでもきれいに育ちます。

驚きの花をつくります

  • サントリーの花事業部立ち上げの時代から花に携わってきたわたしが、所長になって2年あまり。現場の仕事は、11人の社員と36人のパートさんが進めています。植物が相手ですから、休みはありません。その一方で、新しい品種を生み出すためには世の中のトレンドも掴んでいかなければならない。みんなの代わりにわたしが週に1、2日は東京の本社に出かけ、情報の橋渡し役を努めています。
    わたしたちはこれから、どんな花をつくっていくのか? この1年、30年来の仲間である開発のメンバーを中心に、じっくりと考える時間をもちました。これまでモットーにしてきた「きれい、かんたん、長く咲く」というのは植物そのものの性質の話です。そこからさらに一歩進めて、人の心に訴えかける花を追求したい。そうしてまとまったのが、「驚きのある花をつくろう」という目標です。
    これまで、毎年新品種を発表してきたサントリーフラワーズ。ここ数年は特にいいものが打ち出せていると自負しています。これからもサントリーの驚きの花にご期待ください。

わたしの花語り【はながたり】…サンパラソル※2

わたし自身も、かつては品種の開発にたずさわっていました。30年前、最初に手がけたのがこの花。思い入れはひとしおです。サンパラソルのもととなるマンデビラ属は交配がむずかしいので、はじめてタネができたときは本当に嬉しかった。もちろん、きれいな花はサントリーのものに限らず、全部好きですよ。

  • ※1・・・SEとは世界標準であるオランダNaktinbowのスーパーエリート(SE)システムと同等の基準の社内品質基準をクリアした培養苗のことです
  • ※2・・・サンパラソルの商品ページはこちら
  • ■取材日:2015年11月12日

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