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鳥たちに教わった「生物多様性」について

ただ「鳥を守る」のではなく、「鳥たちがすめる環境を守る」。

生物多様性というと、多くの人が、まず「希少動植物の保護」を思い浮かべます。
でも、鳥たちの目で自然を眺めてみると、ほんの少しだけ違った視点もあるんだ、ということに気がつきます。

希少動物――たとえばオオタカを守るのではなく、オオタカがすめる環境を守ること。
それこそが、鳥たちが教えてくれた、自然保護の考え方なのです。

オオタカが生きていくためには、オオタカの餌になる動物がすめる環境が必要です。
そしてオオタカの餌になる動物が生きていくためには、そのまた餌になる動植物が繁殖できる環境が必要になります。
つまり、オオタカを守るためには、それを支えている「生態系ピラミッド」全体を守る必要があるということです。
では、「生態系ピラミッド」を守るのは、オオタカのためだけなのでしょうか。
いいえ。オオタカを始めとする希少動植物たちは、「生態系ピラミッド」全体の「生物多様性」を測る「指標」なのです。

Today Birds, Tomorrow Man

自然環境は、そこにすむ生き物たちが多様で複雑であるほど、より健康で、より柔軟で、周囲の状況の変化にも、より強くなります。
1種類の生き物よりも100種類の生き物、100種類の生き物よりも10000種類の生き物が生きている環境のほうが、強いのです。

生き物たちの関係は、決して「共生」などという「平和」なものばかりではありません。食うか食われるかだったり、同じ餌、同じすみかをめぐって戦う関係だったり、宿主と寄生生物だったりします。
でも、そこに生きる生き物が多様で複雑であればあるほど、全体としてのバランスは整ってきます。
例えば、松だけしか生えていない山は、マツクイムシ(マツノマダラカミキリ+マツノザイセンチュウ)が大発生すれば、全滅してしまいます。一方、様々な木々が入り混じっている雑木の山ならば、そもそもマツクイムシの大発生などは起こらず、たとえ起こって松が枯れたとしても、全体としては大きなダメージもなく生き残ることができます。自然界では、複雑さこそが、健全さであり、強さなのです。

複雑な自然は、いわゆる「生態系サービス」においても優れた機能を発揮してくれます。「水源涵養力」も高まり、「地球温暖化」へのガードにもなり、「洪水や土砂災害」を防止する機能も増してきます。
 オオタカを守る活動は、そのまま、人間がすみやすい、安全な環境の保護にも結びつくのです。

Today Birds, Tomorrow Man.
1973年にサントリーが愛鳥活動を始めたころ、この言葉は、
「今日、鳥たちに起こる不幸は、明日は人間の身に降りかかるかもしれない」
という警告でした。でも、いまは、その意味を180度転回させるべき時なのだろうと思います。

「今日、鳥たちに起こる幸福は、明日は人間のものになるかもしれない」
オオタカを守ることは、そのまま、人間を守ることにつながると信じて、私たちは日々の活動を行っています。

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