SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2013年6月19日

#334 中靍 隆彰 『ボールを持っていない時もチームのために』

小学4年生からラグビー一筋。足の速いラグビー選手が、また1人サントリーに加入しました。早稲田大学時代、香港セブンズやU20日本代表の大会で世界と対峙し、課題を見つけてきた中靍隆彰選手。トップスピードへの速さに加えて、ファンの方に見て欲しいポイントを語ってくれました。

◆ラグビーしかなかった

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—— ラグビーを始めたのはいつですか?

福岡出身ですが、小学4年生の時に玄海ジュニアラグビークラブというラグビースクールに入り、ラグビーを始めました。父親がラグビーをしていて、両親が僕にラグビーをやらせようとしていたんですが、ずっと断っていたんです。周りの友達もラグビーをしていませんでしたし、ラグビーよりもサッカーに興味がありました。

1つ上に兄がいるんですが、兄が「そのスクールに行ってみても良い」と言ったことで、一緒に連れて行かれるようになったんです。その兄(中靍憲章)は今も九州電力でラグビーを続けていています。

—— ラグビーを始めた時の印象はどうでしたか?

最初は嫌でしたが、中学生くらいから本当のラグビーの面白さを感じるようになってきて、そこからどっぷりとハマりました。中高一貫校に入って、平日は学校の部活で高校生に混ざって練習をしていて、週末はラグビースクールに通っていました。

中学の時は自由にやらせてくれる監督で、自分たちでサインプレーを考えたりもしました。当時は楽しくて仕方がなかったですね。ハマったきっかけは、良いメンバーが揃っていたことと、やればやるだけ上達していったことが面白かったからだと思います。

—— 他のスポーツには興味はありませんでしたか?

ラグビーしかなかったですね。

—— 当時のポジションは?

中学の最初の頃は、背が凄く小さかったので、スクラムハーフやスタンドオフをやりました。中学3年になると、急に足が速くなったので、そこからはウイングやフルバックをやっていました。

—— 大学は早稲田大学に進みましたが、早稲田を選んだ理由は?

早稲田大学か慶応大学に行きたくて、慶応を受験した後に早稲田を受験しようと思っていたんですが、そのことを監督に話をしたら、早稲田1本で行くと勘違いされてしまい、慶応大学は受験しませんでした。

僕が早稲田大学に入る前は強かったんですが、僕が入ってからは1度も優勝出来ませんでした。4年間のうちに1回は優勝出来るだろうと考えていたんですが、勝つことの難しさを実感しましたね。

◆スピードをそのままで体を大きくしていきたい

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—— サンゴリアスに入りたいと思ったきっかけは?

2011年の香港セブンズに呼ばれた時に、成田さん(秀悦)と一緒のチームでやらせてもらい、サントリーについて色々聞いているうちに、サントリーに入りたいという気持ちになりました。大学生である僕と仲良くしてくれて、トップリーグやサントリーについて教えてもらいました。

サントリーには早稲田大学から隆道さん(佐々木)を始め、素晴らしい先輩が入っていて、僕もサントリーの一員としてプレーしたいという気持ちが強くありました。

—— サンゴリアスに入る前にジュニアジャパンにも呼ばれましたが、ジュニアジャパンはどうでしたか?

1カ月弱という長い期間の合宿で、対戦相手も強く、タイトな日程の中での合宿でしたが、凄く良い経験が出来ました。レベルの高い選手と数多くの試合を、トップリーグを経験する前に出来たことが良い刺激になりました。

—— これまで外国人選手と試合の経験は?

高校代表やU20の代表では経験がありましたが、まだまだフィジカルの面で通用していないと感じています。体を大きくしたいんですが、ただ大きくするのではなく、自分の持ち味であるスピードをそのままで体を大きくしていきたいと思います。

—— どういったスピードが持ち味になりますか?

止まった状態から、一気にトップスピードに持って行くことが持ち味です。成田さんほど速くはありませんが、スタイルは似ていると思います。

—— サンゴリアスに入って、大学時代との違いは感じますか?

ラグビーの面でも、ラグビー以外の面でも、大学時代は甘かったと思います。社会人でラグビーをされている方々は、ラグビー以外の面でも自立していて、規律をしっかりと守って生活していると思います。ラグビーに関しても、ハードな練習をしていて、大学とはレベルが違うと思います。今はまだ、何とかチームについていっているという感じです。

—— 大学時代にやり残したことはありますか?

自分としては、その時その時のベストを尽くしていたつもりではありますが、サントリーに入って、こういうやり方もあったんだと気付いたこともありますし、大学時代は規律について、あまり周りの選手に言わないタイプでしたが、もっとチーム全体に求めても良かったと感じています。

—— 大学時代にリーダー役をやっていたんですか?

ラグビーの面では特に役職はついていませんでしたが、寮長をやっていました。チームではウイングとしての自分の仕事に徹するという感じでやっていました。

◆プレー中は熱くならないように

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—— サンゴリアスに入って、新たに発見したことは何ですか?

優勝しているチームは、練習ではどこのチームよりもハードワークをしていて、グラウンド以外でもしっかりとした規律があると思います。大学のチャンピオンである帝京大学にも、同じことが言えると思います。

サントリーは会社からのサポートもあり、恵まれた環境でラグビーをさせていただいていると思います。そういうことを忘れず、常に向上心を持って取り組んでいきたいと思います。

—— 課題は何ですか?

体作りをして、フィジカルでも負けないようにしたいと思います。僕の持ち味であるスピードを活かしつつ、体を大きくしたいと思います。

—— ディフェンスは得意ですか?

テクニックの面ではまだ足りないと思いますが、気持ちの面では怖さは感じないですし、いつでもタックルに行きます。

—— 自分の性格は、どんな性格だと思いますか?

ラグビーやスポーツに関しては、凄く負けず嫌いだと思います。優勝したいという思いが強いですね。ただ、プレー中は熱くならないようにしています。大学時代に熱くなりすぎて失敗をしてしまったので、冷静にプレーすることを心掛けています。

—— 今シーズンの目標は?

出場する試合では、常に活躍したいです。同じポジションには多くの先輩方がいて、教えていただくこともたくさんあります。その中でも、自分の持ち味を活かして、レギュラー争いに絡んでいきたいと思います。

—— 中長期的な目標はありますか?

あまり考えていませんが、常に日本代表を意識してやっていきたいとは思っています。ただ、サントリーでレギュラーとしてしっかりと活躍し、チームが優勝すれば、自ずと日本代表に繋がっていくと思うので、まずはそこしか考えていません。まだレギュラーとして試合に出られるという感覚がないので、これから成長していきたいと思います。

—— ファンの人に見て欲しいポイントはどこですか?

もらったボールをトライに繋げるのはもちろんですが、ボールを持っていない時もチームのためにプレーし、大学の時よりも成長したと思ってもらえるようなプレーをしたいと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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