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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2013年6月11日

「中年サンゴリアス」その18 菅藤心『継続して頑張っていたら必ずチームのプラスになる』

こんな少年がラグビーを通じて立派な大人になったというのが「少年サンゴリアス」ならば、サンゴリアスでのラグビー人生を通じて得たものを仕事人生にどう活かしているかというお話を聞くのが新コーナーの「中年サンゴリアス」。中年と呼ぶにはまだ早いメンバーも含め、OBたちの変わらぬラグビー愛や職場での様子を語ってもらいます。


中年サンゴリアス◆菅藤心◆継続して頑張っていたら必ずチームのプラスになる
サントリービア&スピリッツ株式会社 福岡支店 営業二課
2003~2010年度現役


■いろいろな人と会える


いまは業務用の酒販店さんを担当しています。飲食店さんにも行きますので、だいたい夜中まで仕事をしています。僕が担当しているのは、福岡市内の業務用の酒屋さんと、大牟田と佐賀も担当しているので広域を動き回って、週に1、2回は泊まります。現役の頃は東京で酒の量販店で陳列したり、陳列するMPさんを統括するような仕事でしたので、仕事の内容が変わりました。

仕事をしていていろいろな人と会えることが面白いですね。店長はもちろんですが、だいたい社長やオーナーさんとの話が多くなるので、勉強になります。みんな人生を懸けてやられているので、こちらも生半可な気持ちでは出来ませんし、僕も仕事としてしっかりやっているつもりです。いろいろな話が聞けて、人との関係が面白いですね。

引退して最初は大牟田で仕事をしていましたが、ラグビーが盛んではないのでラグビーを活かすということはそれほどなく、逆に福岡で飲んでいたりすると、声を掛けられるということはちょくちょくありました。あまりラグビーをやっていたことを公表しないようにしていますが、酒屋さんからラグビーが好きな人を紹介されたりすることもあります。でもそこに乗っかろうとはあまり考えていません。

■自分が出来ないことも出来る人をつかまえたら出来る

ラグビー3兄弟と言われましたが、福岡サニックスの兄貴だけはまだラグビーをやっています。月に1回は会いますし、上のコカ・コーラウエストにいた兄貴も現役を引退してそのまま福岡にいますので、3人というか家族で会うことが多いです。長崎が実家なので、親も来て家族みんなでご飯を食べたりということもしています。親は嬉しいと思います(笑)。

福岡サニックスの兄貴はプロでやっていて、いまでも一生懸命やっているので、僕からアドバイスするようなことはないですが、怪我をしないようにとは思います。長いこと続けてほしいですが、一方で引退した後の準備をある程度しておいた方がいいのかなとも思います。プロ選手ですが、たぶんうちの実家の運送業を継ぐと思うので、いろいろな準備があって、そのために出来ることをやっておいた方が良いだろうし、人脈をつくっておいた方がいいのではと思います。

ラグビーをやっていていちばん何が良いかというと、人脈だと思います。今後の仕事を考えると、何でもそうですが、自分が出来ないことでも出来る人をつかまえたら出来る訳で、そういったことを含めて人脈を広げることは大切だと思います。

ラグビーから離れて2年、何回か中学生を指導に行ったりはしていますが、運動という意味では体はまったく動かしていません。膝が悪くて引退したので、いまでも毎朝リハビリをやったりしています。体を動かしていないのはやりたくないからやっていないんですが、やっぱり、やり過ぎたんでしょうね。やらないことで、逆に気持ちが凄く楽です。例えば金曜日の夜に飲んで、次の日が休みだったら、選手時代は飲んだ分だけ余計に体を動かしていたりしていましたが、いまはやらなくて良いので、そこが楽ですね。

一方で常にプレッシャーがあって、ラグビーにしかない刺激があったということを、辞めてみて思います。試合メンバーに選ばれれば、大勢の方から見られます。そこでボロを出せない、みんなに迷惑をかけないようにというプレッシャーは、いまはないですよね。ラグビーでは成功することもありますが、ボロが出た時は誰が見てもわかりますよね。そのプレッシャーがあるから毎日準備していた訳で、そこは仕事とはちょっと違うところでした。

■嬉しいけれど悔しいという気持ち

いまのチームの試合は、TVで必ず見ています。昔よりラグビーを見る機会が多くなりました。エディーさん(ジョーンズ前監督)1年目の時に僕もやっていて勉強させてもらって、その後に二冠を獲って凄いなと思いましたし、見ているとしっかりした練習をやっているなぁということが分かりますよね。それから交代で入っている選手、怪我の選手に代わって先発がシーズン初めてという選手が、誰が出ても変わらないですし、顔つきがみんな良いなと感じました。それは2年目に特に感じて、だから僕は福岡でもみんなに「絶対勝つ」って言っていたんです。

代わった選手たちは、チームの一員として浮ついてないですし、実際のプレーを見てもしっかりしたプレーをするし、誰が入っても安定しています。去年もそうですよね。時々電話して聞いたりすると「きついっすよ~」と言われたりしますが、サンゴリアスのホームページは常に見ているので、そこでのインタビューとか「なるほどな」と思います。Bチームのメンバーの練習試合の後のインタビューとか、いちばん分かりやすいのは優勝した後に出ているメンバー、出ていないメンバーのインタビューが載っていましたが、特に出ていないメンバーのコメントにチームの強さが出ていますよね。

辞めた最後の年に怪我もあって僕もそうだったんですが、やっぱり優勝は嬉しかったですし、嬉しいけど悔しいという気持ちを純粋に持っているというのは、そこにチームワークが現れてくるんだと思います。それは経験しないと分からないところだと思いますが、不思議ですよね。僕はそれに最後の年に気づきましたが、若い選手も本気でやっていれば、そういう気持ちになるんだと思います。

■継続すること

凄く良い見本が周りにゾロゾロいて、空気を乱す人間もいないので、若手は自分が出来ることを一生懸命やるだけだと思います。あとは出られなかった時にも、チームの為に何が出来るかを常に考えておくことだと思います。試合に出られなかったら、出ているメンバーに何が出来るのか、出られない間に自分は何が出来るのか、そういうことを常に考えて行動して、ずっと継続することじゃないでしょうか。ずっと出られない人間もいっぱいいますが、そこで諦めちゃうとそこで終わっちゃいますから、チャンスはどこかで1回、2回必ずあるので、そこでいかにパフォーマンスを上げられるかだと思います。

そして頑張っていたら、チームメートは絶対に見ているので、必ずチームのプラスになっているということは間違いないです。出ている、出ていない関係なくて、それを継続することが大事だと思います。1週間やって止めちゃうのか、ずーっと年間を通じて、あいつこの時間になったらこれやっているなとか、いつも腹筋しているなとか、いつもグラウンド走っているなというイメージは、ちょっとした力になりますよね。出られれば良いですが、出られなかった時にも出ている人間はそいつのために頑張ろうとします。特に決勝の前とかはたぶんそういう意識になると思います。

連覇は大変だと思います。モチベーションの部分で、目標設定はあると思いますが、個人個人が本当に意識してやらないと難しいと思いますし、周りがどうのこうのというよりも、自分たちが目標を共有して個人個人がしっかりレベルアップ出来るかどうかだと思います。

この間、ゴールデンウィークに将来的な中期的目標設定をしようと思い、紙に書こうと思ったんですが、パッと出てこないんです。いまのところで売上を伸ばす、シェアを伸ばすというのもありますが、目標設定がいちばん困っているこの2年間の悩みどころです。ラグビーを21年間やってきて、ラグビーでいちばんになりたいという目標が自然とありました。小学校の時から「負けたくない」というのがあって、サントリーに入れば「日本一」という目標がありました。そのために何をするか、というのがあったんですが、それに近い具体的なものが自分の中でまだ見えていません。ですからいまは、目の前のことと与えられたことを、しっかりやろう、そこで結果を残していこうと思います。そこはのんびりと考えたいなと思いますが、目標を設定してチャレンジして行かなければいけないなと思っています。

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