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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2012年12月28日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #018 『モール』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「モール」(解説:池谷 陽輔)
 
相手と組み合った状態で、押すか押されるか勝負のプレーです。ボールを持っている選手がタックルを受けながらも倒れず、立った状態で我慢している時が起点です。モールになってしまえば、ディフェンス側はモールを倒しては(崩しては)いけません。倒しても良いのは1対1のタックルの時だけで、組み合ってモールが成立したら、倒したら反則です。モールになったら、あとは押すか押されるかです。倒れる場合は、相手が崩したか、自分から崩れたかになりますが、相手が崩したのが明らかであれば、相手の反則になります。
 
モールが形成されやすいケースで、はじめにあがってくるのがラインアウトです。他のケースとしては、ボールキャリアが立っていて、そこにタイミング良く次の選手(サポートプレーヤー)が入ってきて、そのまま押していくという形ですが、サントリーの場合はあまりこういったモールは組みません。東芝などがよくやるプレーですね。

 
モールで難しいのは、我慢して立っていることと、全員がまとまって押すということです。スクラムと違って、綺麗にセットした状態から始まるわけではないので、いかにうまくまとまって押せるかですね。うまくまとまって押せた時は気持ち良く押せます。人数のかけ方は、ラインアウトからがほとんどですが、サントリーの場合はラインアウト参加者はみんな参加する場合もあれば、そうでないケースもあります。
 
中心にボールを持っている選手がいて、その選手がだいたい舵をとるんですが、いちばんしんどいのは両サイドの人です。相手からのプレッシャーをいちばん受けるところなので、両サイドが大変ですが、両サイドだけでは押せないので、後ろがちゃんとその選手のお尻をパックして押してあげるんです。普通は相手が2人以上になるので、どうしても1人ではしんどいですね。
 
モールはアタックのオプションの1つで、押せないとなると1つの選択肢がなくなるということですから、相手も守りやすくなりますし、こちらは武器が1つ無くなる訳ですから厳しくなります。今年の前半戦はモールを組もうという場面が何回かありましたが、正直なところあまり押せていなかったですね。伝統的には東芝がモールは強いです。それから神戸製鋼、今年はトヨタ自動車も強いですね。サントリーは伝統的に、“モールにこだわって押すというよりも、押されないようにする”というスタンスがあります。
 
コツは、最初です。いかに早く集まるかと、形です。いかに前の選手のお尻を押すかですね。極端に言うと前の選手が立っていても、後ろの選手がちゃんと形になっていれば、押せるんです。前の選手が真っ直ぐ前を向いてプレーしていた方が、押しやすい。いかに早く集まるかと、いかに前が頑張るか、がコツでしょう。
 
スクラムはうまく組んだらそんなに疲れないんです。ずっと長い間押していくスクラムなんてないですから。スクラムと比べると、モールは押せたらずっと押すし、押されたらずっと押されてしまうので、それがしんどいですね。

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