2006年8月 月例研究会(8/3)
月刊「ソトコト」編集長 小黒 一三氏
1950年東京生まれ。1975年慶応義塾大学法学部卒業。同年株式会社平凡出版社(現・株式会社マガジンハウス)入社。雑誌「ブルータス」「クロワッサン」「ガリバー」などの編集を担当。1990年同社を退職し、株式会社トド・プレス設立。1992年ケニアのマサイマラ国立保護区にリゾートホテル「ムパタ・サファリ・クラブ」を開設。1995年には日本相撲協会創立70周年記念の出版物「大相撲」を写真家の篠山紀信氏とともに制作。その後も、「中田語録」の編集、「スガシカオ1095」の出版など数多くのプロジェクトに関与。1999年、世界的に見ても類のない環境ライフスタイルマガジン「ソトコト」を発刊。スローフード、スローライフ、ロハスなどのライフスタイルをいち早く日本に紹介し、雑誌等のメディアを通じて、新たな価値観の提案をしている。
「ロハス」(LOHAS)は、「Lifestyles Of Health And Susutainability」の略で、地球環境保護と健康な生活を最優先し、人類と地球が共栄共存できる持続可能なライフスタイルと、それを望む人たちの総称である。無理や我慢ばかりでは、健康も、エコロジーも、長続きしない。「持続可能」であることが重要だと考えている。
「ロハス」という言葉が注目されるようになったのは、2000年に発売された社会学者ポール・レイ氏と、心理学者のシェリー・アンダーソン氏の著書『 The Cultural Creatives 〜How 50 Million People Are Changing The World 』で、全米15万人を対象に15年にわたって実施した価値観調査により、ロハス志向を持った生活創造者〈Cultural Creatives〉の存在が報告されたことによる。米国のロハスビジネスの市場規模は、今や3510億ドル余(約38兆円)にのぼるとされている。
「ソトコト」は、「エコツーリズム」や「スローフード」を軸に「ロハスピープルのための快適生活マガジン」として人と環境に優しい暮らしの情報を発信している。今でこそ、発行部数が10万部となったが、創刊当時はなかなか受け入れてもらえず苦労した。私たちは、共感をもってもらえる同じ価値観の人達と新しい社会をつくっていければと考えている。ターゲットはどの年代だとよく聞かれるが、もうそんな時代ではない。同じ時代に生きている子ども達でさえ、どういう親に育てられたかで価値観が違う。センスが一緒の人たちに向かって「ソトコト」をつくっている。
この2〜3年「懐かしい未来」という言葉が気になっている。若者たちは月島などの昭和30年代が残っている町並みを見て、「ここっていいね。」と言う。あるいは、手塚治氏の漫画を読み、思い描いていた「未来都市」そのままの「六本木ヒルズ」が現出してもちっともワクワクしない自分がいる。50Mプールに例えるなら我々は、25Mを折り返したのではないかと思う。元々、日本人の生活は「持続可能」なものであった。単に昔に戻るのではなく、未来的な要素を取り入れながら、過去を捉えていこうとしているのではないのだろうか。