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![[植物] 世界初!バイオテクノロジーで「青いバラ」の開発に成功!](img/top_title.gif)
「青いバラを作る」というプロジェクトは、サントリーとオーストラリアのベンチャー企業カルジーンパシフィック社(当時)と共同で、1990年に始まりました。世界でいくつかの研究チームが同様のプロジェクトを行っていたようですので、これらライバルとの見えない競争もありました。
当初の技術的な課題は、次の2点でした。
1)青い花にある数万種類の遺伝子の中から青色遺伝子を取り出す。
2)バラの細胞に遺伝子を入れ、その細胞から遺伝子組換えバラを作製する方法を開発する。
それぞれが数名の研究者が何年がかりで解決できる課題と思われました。
青色色素を蓄積する植物はたくさんありますが、青色遺伝子は、ペチュニアから得ることにしました。ペチュニア(サントリーフラワーズが販売しているサフィニアもペチュニアの仲間です)は、以前から花色研究のモデル植物として研究がされてきました。青色遺伝子は水酸化酵素遺伝子であること、花びらでは働いているが葉では働いていないこと、青色色素を作らない赤いペチュニアには青色遺伝子がないことなどをヒントに数万種の遺伝子から青色遺伝子(ペチュニアには2種あります)の候補を絞込み、6月13日に青色遺伝子の取得に成功しました。続いて、この遺伝子の特許出願を行ないました。またこの成果の論文は世界最高の科学雑誌Natureにも掲載されました。
植物に遺伝子を入れる方法はいくつかありますが、バラにはアグロバクテリウムという土壌細菌を用いました。この細菌は、自分の遺伝子を植物の細胞に運ぶ能力があります。遺伝子を受け取った細胞だけをうまく選び出し、選んだ細胞からバラの植物体に戻すには、植物ホルモンや栄養分の種類、濃度などのパラメーターを最適化する必要があります。この作業を無菌的な条件で、試験管内の植物を用いて行ないます(組織培養といいます)。ちょっと職人芸的なセンスが必要な研究です。バラの場合、遺伝子を入れてから咲くまでに1年ほどかかります。導入する遺伝子がどの程度よく機能するかは遺伝子組換えバラ1本ごと(系統と呼びます)に異なりますので、できるだけ多くの遺伝子組換えバラを作製できる方法の開発が必要です。また、バラの品種によって遺伝子組換えのしやすさが大きく異なります。
赤いバラにやっと遺伝子が入るようになり、1994年にペチュニアの2種の青色遺伝子を入れたバラがやっと開花しました。ところが、遺伝子は確かに入っているものの、色は赤いままで、青色色素は全く検出されませんでした。青色遺伝子を働かせるスイッチ部分(プロモーター)をいろいろ変えてみましたが、やはり青色色素は検出されません。 そこで、今度は、いろいろな青い花を咲かせる植物(リンドウ、チョウマメ、トレニアなど)から青色遺伝子を取得し、それぞれをバラに導入してみました。咲いても咲いてもデルフィニジンができてないという状況が続きました。
そんな状況の研究員を勇気付けたのが、遺伝子組換えカーネーション「ムーンダスト」です。ペチュニアの青色遺伝子を入れたカーネーションではデルフィニジンが蓄積し、花色が青く変化しました。日本では1997年から「ムーンダスト」(花言葉「永遠の幸福」)として販売しています。世界で初めての遺伝子組換え花きの商業化となりました。現在国内では6品種を販売中で、今後も品種を増やしていく計画です。アメリカ、ヨーロッパなどでも販売されています。品種により、ペチュニアまたはパンジーの青色遺伝子を用いています。
パンジーから得た青色遺伝子を導入した赤いバラで青色色素ができ、花の色もはっきりと変化しました。この段階では、まだ青いと呼べるものではありませんでしたが、青いバラへの道筋が見えてきました。
青色色素ができても見た目にどの程度青く見えるかは、バラの性質に大きく依存します。青色色素の含有率が高くなりやすく、青色色素が蓄積した場合に青く見える可能性の高い品種を、数百品種の中から選びました。並行して、いろいろな品種に遺伝子を入れることができように、組織培養の方法の改良を重ねました。

選抜した品種に遺伝子を導入できるようになるまでに1年程度かかります。パンジーの青色遺伝子を精力的に導入しました。1998年〜1999年頃にはやや青みを帯びたバラを得ることに成功、さらに遺伝子導入を継続し、青色色素が100%近く蓄積したバラを咲かせることができました。品種により花の色はさまざまでしたので、これらの中からより青い系統を選びました(2002年)。これらの系統を接木で増殖し同じ色を安定的に咲かせること、正常に生育することを確認しました。
2004年6月に青いバラのお披露目と広報発表を行いました。国内外に大きな反響を呼び、お客様からも暖かい声をたくさんいただきました。
開発したバラは遺伝子組換え技術を用いて開発されたものですので、一般に栽培したり、販売するためには、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に基づき、農林水産省と環境省から認可を得る必要があります。さまざまな実験を行い、今回開発したバラを国内で生産・販売しても生物多様性に影響しないことを証明するために4年間を費やし、2008年1月31日に認可を得ました。
高品質のバラをお届けできる体制を整え、サントリーブルーローズアプローズ(花言葉「夢 かなう」)を世界に先駆けて2009年11月から販売しております。
- ムーンダストについてもカルタヘナ法の認可を受けております。
- ムーンダスト、ブルーローズアプローズとも知的財産権があります。自家増殖はご遠慮ください。

