2008年4月8日、CSRや地球環境の専門家、消費者代表の方々をこの春に稼動したばかりの「サントリー天然水(株)奧大山ブナの森工場」にお招きし、同工場における取り組みとサントリーのCSR 活動全般についてディスカッションしていただきました。
開催日: 2008年4月8日 場所: サントリー天然水(株)奧大山ブナの森工場
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- サステナビリティ日本フォーラム代表理事
後藤 敏彦氏 
- ライフデザイン研究所FLAP 代表
岩木 啓子氏 
- (有)チェンジ・エージェント 代表取締役社長 / ジャパン・フォー・サステナビリティ ゼネラルマネジャー
小田 理一郎氏

- 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事・環境委員長
辰巳 菊子氏 
- 鳥取大学農学部付属フィールドサイエンスセンター教授
日置 佳之氏
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- 専務取締役 CSR・コミュニケーション本部長
寺澤 一彦 
- 取締役 技術開発部長
環境部担当
小嶋 幸次 
- サントリー天然水株式会社 代表取締役社長
徳田 昌嗣

- 品質保証推進部長
榎本 義己 
- 品質保証推進部 部長
冨岡 伸一 
- CSR・コミュニケーション本部 部長
内貴 研二
工場見学を終えて
- 後藤
- 5年ほどサントリーのCSRを拝見していて、スローガンにされている「水と生きる」取り組みが、地に着いて深まってきていることを実感しています。一つのコンセプトが深まるのは、非常にいいことです。ここ奥大山ブナの森工場の取り組みは、設備的な部分も含めてそうとう進んでいますね。
- 辰巳
- 説明をうかがって、サントリーの「水」に対する社会への伝え方は印象的だと思いました。「サントリーにとっての水」というだけではなくて、社会的にも水に対する関心は高くなっているのではないかと思います。
一つ気になっているのは、天然水はいつまでもあるのかということです。いずれ地下資源のようになくなってしまうのではないか。サントリーが持続可能性を追求しているのであれば、誤解を与えないためにもアピールすることが重要です。
- 徳田
- この工場の建設にあたっては、地下水の枯渇を心配する声が地元にありました。そこで、県庁や地元の役場、鳥取大学、島根大学の皆様にご協力いただき、産官学による「環境影響評価委員会」を設けまして、地下の岩盤、その上の地層、地下の水流を調査しました。そしてこの委員会で採水による環境負荷の影響がないことが確認され、この調査結果が新聞に公表されたことで住民の皆様の不安を解消することができました。最終的には大自然の水の循環の中に、この工場が位置することを理解していただけたと思います。
- 小田
- 奥大山ブナの森工場で特に感心したのは、1klの商品をつくるのに使う水の量が非常に少ないということです。ぜひここで行っている節水・省水の取り組みは他の工場でも展開していただきたい。また、エネルギーの熱回収についてもどのようになっているのか関心をもっていましたが、雪室にしましても、潜熱蓄熱システムにしてもすばらしいと思いました。
- 徳田
- この工場では潜熱蓄熱材を利用した省エネシステムを導入しています。これによって、生産工程で発生した熱をエネルギーとして蓄えておき、必要なときに活用することができます。こういったものが世の中にもっと広まれば、一方の工場では熱が余るのに、一方の工場はどんどん使うというような、今の日本が抱える無駄が少しは減少するのではないかと思っています。
- 日置
- 私は専門が自然再生という分野で、奥大山ブナの森工場の緑化についてご相談を受けました。緑化の分野では、現在、「よそから植物を持ち込まず、生物多様性を損なわない緑化を行うべきである」という理念が掲げられていますが、これを実現した例は、まだ非常に限られています。今回、奥大山ブナの森工場では、徹底して地元産の苗にこだわり、この生物多様性緑化を実現させました。一企業の緑化としては非常に先進的な取り組みであると高く評価できます。
- 小田
- 今回工場を見学させていただいて、サントリーの取り組みは日本の中では高いレベルにあると実感しました。ただ、それがサステナビリティという観点から十分かというとまだまだです。これは日本の企業全般にあてはまることですが、今後取り組まなくてはならないことはいろいろあると思います。
- 徳田
- 工場を運営していくうえで、環境を軸にした取り組みは非常に重要だと考えています。工場自体はよちよち歩きを始めたばかりですが、「自然共生型工場」をめざして、さらに高い次元の活動を追求していきたいと思います。
- 寺澤
- サントリーのCSR活動、特に環境活動に力点をおいたのはここ数年です。以前から各工場でいろいろな取り組みを行っていましたが、課題解決にはそれだけでは不十分です。商品の開発から生産、販売、在庫管理まであらゆるところに課題があります。それに対して企業としてどう取り組むか、どういう方向に力を入れていくか。これから取り組むべき非常に重要なテーマだと認識しています。
雪室を見学
水と生きるサントリー
- 寺澤
- さまざまな環境課題がありますが、なかでもサントリーの事業基盤である「水」に対して真摯に向き合い、そのサステナビリティを追求した活動を強化していくことが当社としての社会的責任を果たしていくことにつながると考えています。
- 岩木
- サントリーにおけるCSR、また環境の取り組みは、水という自然の恵みそのものを商品として提供し続けていくための環境保全という考え方で行われているので、説得力があると感じます。
森林保全の一つの大きなファクターとして、地域と関わり、地域を活性化することがあると思います。日本では今、林業はほとんど成り立たず森林がどんどん荒廃しているので、市民グループも活動しています。たとえばサントリー製品を買ったら1%はストックされ、森林保全に使われるというような流れをつくれないでしょうか。これにより、サントリーは環境に配慮する企業としてイメージ向上にもつながると同時に、市民グループの活動を支援することもできる。私たちも商品を買うことによって、間接的に木を植えることや環境保全に役立つ。そういうしくみをつくっていただけたらいいなと思います。
- 日置
- 鳥取県は「とっとり共生の森」という制度を発足させ、企業と地元が契約を結んで企業側に森の管理をお願いしていますが、サントリーは30 年という長期契約を結んでいますね。森をつくるのは時間がかかる事業ですから、サントリーの真剣さや、腰の座った事業を展開される企業であることが伝わってきます。
水と地球温暖化は非常に関係があるともいわれています。日本国内では危機意識はかなり低いかもしれませんが、温暖化は降雨量にも影響し、世界的な水危機が一層深刻化するともいわれています。サントリーが森を涵養するのは商品に直接関係するからだけではなく、温暖化を防ぐうえで非常に役立つわけですから、水から温暖化防止もしくはCSR という流れに期待します。
- 小嶋
- 「水」に重点をおいた活動が、ほかのさまざまな環境課題の牽引車となればと考えています。環境問題のポイントは、今まで環境意識をもたなかった人間がどうしたらもてるようになるかという点です。たとえば温暖化では「CO₂」といってもかたちとして見えないので、「エネルギー」という言葉に置き換えて理解しやすくしようとします。その点「水」は目に見えるので、お客様一人ひとりの環境への意識をも高めるきっかけになりうると思うのです。
- 日置
- まさにそのとおりで、水は地下水にもなるし雨にも雲にもなる。循環をわかりやすく説明していくには水はとてもシンボリックな存在といえます。今の環境教育で一番足りないのは、環境問題の本質は何かを大づかみに示すことです。そういう意味でこの工場は、循環をトータルに見せていくという非常に大きな材料をもっている場所だと思います。
- 岩木
- ネーチャーゲームで自然に触れ合うだけで、環境教育といわれているケースも多くありますが、循環ということを理解し、そこにどう関わるかを考えることにつながらなければ意味がありません。サントリーの場合、「水育」として循環を理解させるプログラムをつくり取り組んでいます。水をキーワードに循環という価値観をのせて発信していくことには、大きな意味を感じます。




