はじめに
昨年はオーストラリア・クィーンズランド州の大洪水、ニュージーランドのクライストチャーチ大地震、そして東日本大震災に続き、タイでも大洪水が発生するなど、世界中で大きな自然災害に見舞われた1年でした。
これほど文明が発達した現在でも、大自然の猛威に対して、人間がいかに無力であるかを痛感しましたが、特に3月11日の東日本大震災は、1年以上経った現在でもその爪あとが強く残っており、復旧・復興への長い道のりを感じずにはいられません。
あらためて、世界各地で発生した自然災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます。
サントリーグループの復興支援について
サントリーグループは東日本大震災からの復旧・復興に向け、発生直後には3億円の義捐金と100万本のミネラルウォーターを提供、さらに、ビール類・清涼飲料の缶製品の売り上げに応じて積み立てた40億円の義捐金をもとに、小型漁船取得のための漁業支援や次世代を担う子どもたちへの支援を実施しました。
本年も、復興支援の継続のために、産業復興を目的とした漁業支援として20億円の追加拠出を決定。サントリーグループとしては、合計63億円を超える規模になりますが、今後も引き続き、漁業支援、子ども支援を中心に被災地の復興・再生支援に力強く取り組んでまいります。
CSRの原点「利益三分主義」
サントリーグループでは、こうした東日本大震災への復興支援に加えて、クィーンズランド州の大洪水、クライストチャーチ大地震、タイの大洪水に際しても積極的な支援活動を進めてきました。これは、現在までサントリーグループに脈々と受け継がれている創業の精神「利益三分主義」の実践にほかなりません。
創業者・鳥井信治郎は「事業によって利益を得ることができるのは、人様、社会のおかげだ。その利益は『事業への再投資』『お客様やお得意先ヘのサービス』に加え『社会への貢献』に役立てたい」との強い信念に基づき「利益三分主義」を唱え実行しました。
豊かとはいえなかった時代に、信治郎は恵まれない人々への慈善活動や社会福祉活動に力を注ぎました。「利益三分主義」の精神は、今日まで継承され、サントリーグループは、現在でも創業時から続く特別養護老人ホームや保育園の運営、幼稚園から高等学校までの一貫教育の支援を行っています。
2代目の佐治敬三が社長に就任したのは、池田内閣が前年に所得倍増計画を打ちたて、我が国が高度成長への道を突き進んでいた1961年です。日本は物質的に豊かになりましたが、そうしたモノの豊かさと同時に心の豊かさが必要と考えた佐治敬三は、芸術・文化・学術の振興に情熱を傾けました。
昨年で開館50周年を迎えた「サントリー美術館」、開館25周年の「サントリーホール」をはじめ、「サントリー音楽財団※」「サントリー文化財団」を設立して活動を推進するなど、文化に対する幅広い貢献活動を通じて社会に潤いを提供するための取り組みを積極的に展開しました。
※ サントリー音楽財団の事業は、2009年9月に公益財団法人サントリー芸術財団に移行。
環境への取り組み
そして現在、サントリーグループは、自然の大きな営みに対する敬意と感謝を示しながら、持続可能な社会を目指した環境経営を力強く推進しています。サントリーグループの事業の多くは、水や農作物など、かけがえのない自然の恵みによって支えられており、地球環境を次世代に引き継ぐことが大切な責務と考えています。
中でも、ウイスキー・ビール・清涼飲料などの事業を経営の中核に据え、「水と生きる」をCSRビジョンに掲げるサントリーグループにとって、かけがえのない水に対する責任は重大で、水のサステナビリティを実現するために幅広い活動を展開しています。
工場で使用する地下水量以上の水を育む、水源涵養活動「天然水の森」を2003年から実施してきましたが、昨年、当初目標として掲げていた水源涵養面積7,000haを超える面積まで拡大。また、水に対する徹底した品質保証、工場における節水、厳しい排水管理、さらには水の大切さを子どもたちに伝えていく次世代環境教育「水育(みずいく)」など、「水のサステナビリティ」への多様な取り組みも充実させています。
今後も科学的な知見を取り入れながら、100年先を見据えた取り組みを積極的に推進してまいります。
またサントリーグループは使用する資源、エネルギーの効率を最大限に高めるための研究を重ね、その成果を活かした活動も強化しています。
昨年は、環境に配慮して、飲用後に小さくたためる軽量ペットボトル「P-eco(ペコッと)ボトル」を導入。さらに、使用済みのペットボトルを再生するメカニカル・リサイクルシステムの構築に、国内の飲料メーカーとして初めて成功。この技術を活かした「リペットボトル」の導入を開始しました。これらの環境配慮型ボトルの使用比率をさらに拡大させることで、石油由来資源やエネルギー使用量の大幅な削減を実現していきます。
おわりに
2010年11月、社会的責任に関する世界初の国際標準規格としてISO26000が発行され、7つの中核主題(組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者課題・コミュニティ参画および発展)が示されました。「人と自然と響きあう」を企業理念に掲げるサントリーグループは、ISO26000に定めるグローバルスタンダードに沿って、安全かつ安心で質の高い商品・サービスを提供し、あらゆる人々の人権を尊重し、よき企業市民として一層積極的に地域課題に取り組み、地球環境の維持・発展に努めてまいります。
ステークホルダーの皆様との継続的なコミュニケーションを通じて、社会の要請・期待を認識し応えていく企業、社会と共生しながらグローバルに成長を続ける「Growing for Good」な企業、サントリーグループの実現に向かって邁進してまいります。
今後ともご支援ご指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
2012年6月
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長
佐治 信忠




